不整脈の治療(1) (中島 節) -2012.10. 7-


 退院してから半月が過ぎ、すっかり秋らしくなりました。 ご参考までに、二回に分け私の「治療」について書いてみます。現在は 時々起きる不整脈を除き、特別異状はありません。 脚力も戻り、以前の散歩も出来るようになりました。 退院後の初診察は来週、その時あらためて治療の結果判定、今後の治療法が示されることでしょう。

 先ず心臓の構造、働きについて。握り拳より少し大きい重さ約300gのボール状をした臓器で、表面は約1cmの筋肉でできています。 内部は2階建てになっていて、1階は心室、2階は心房と呼ばれ その真ん中に仕切りがありますから、 心臓は4箇の部屋から成り立っていることになります。 酸素と栄養をたくさん含んだ血液は左心房、左心室を経て大動脈で全身に送り出され、 各臓器で使用された血液は 再び大静脈を通って右心房、右心室へ送られてきます。

 そこからまた 左心房、左心室に戻り、同じことの繰り返しになります。 この血液の流れは 心臓の収縮、1分間50〜80回(いわゆる正常な脈拍数)のペースで起きています。 そして この収縮ペースは右心房の洞結節が出す電気刺激でコントロールされていて、この刺激に何か異状が生じると不整脈を引き起こすらしい。 そこで 右心房を流れる肺静脈と右心房の連絡を絶てば 心房細動は治ると考えられようになった。

 ここで患者の登場です。 私の不整脈は頻脈、バラバラもあり、心房が正常に収縮できず、心房の内部に血栓ができる危険があるという診断で、 心房細動の手術を行うことになりました。 ペースメーカーの挿入という方法もありましたが、先ずアブレーション・肺静脈隔離術という聞き慣れない手術をし、 術後も不整脈が出る場合はペースメーカーを挿入するという方法を選択しました。

 大雑把に説明すると、隔離術とは静脈へ局部麻酔注射をしてから、不整脈を起こしている根源、 右心房にカテーテル(右脚の付け根から直径1.3ミリ4本を一纏めた5ミリほどの結構太いものと、右鎖骨下から細い1本)を挿入し、 肺静脈に流れている電気経路を 約60度に温めた電気で遮断することです。手術時間は3〜6時間。

 入院した日に色々な検査を済ませ、夕方 家族同席のもと主治医から手術・術後の説明を受ける。 この後 直ぐ点滴開始、夕食となる。 そして 翌日2日目、8時半、ベッドに載せられ尿管を入れ、すっかり病人に早変わりし、家族に見送られエレベーターで1階の手術室へ。 手術室と云うと寒々とした外科手術室を想像したが、ここは天井からX線装置が一つぶら下がり、 ベッドの廻りに画像モニターが数個ある検査室といった感じ。

 9時、手術開始。カテーテルの血管挿入に痛みはほとんどなく、驚くほど簡単に異物は心臓に届く。 途中何度か、痛くありませんか、気分は如何ですか との問いかけがある。 痛い時は遠慮しないで と云いながら。万一に備え複数の医師や研究医が進行を見守っている。 手術中 数回は「痛い」がひとりでに口から漏れ出る。 「キュー」という痛みが1,2秒間、心臓自体でなく みずおちあたりを襲う。 心臓自体は痛みを感じないから、肺静脈を取り巻く神経が焼き切られるとき痛みを感じるのかも知れない。

 実質的な手術時間は4時間ぐらいで終了し、別室へ移され、カテーテルの抜き取り、止血が行われる。 肩は簡単のようだが、股間の方は大事で、若い医師が抜き取り後、数分間は静脈を強く押しつけ止血に努める。 手術は順調にいったから週末には退院できるかもの意外な言葉に、一週間入院を覚悟していただけに喜びが倍加し、ほっとする。 約1時間、完全止血を見届け手術終了。10階からの看護師の迎えを受け、妻に付き添われ病室に明るい気持ちで戻ることができた。

 帰室後は脚の付け根からの出血予防のため、6時間ベッド股関節を曲げず安静にしていなければないのが辛かった。 結局午前9時〜午後9まで安静を強いられ、24時間振りの6時からの夕食も寝たまま、妻からのスプーンで食べさせて貰う。 お互い不慣れの食事法、誠にじれったい一時であった。 夕食後は もう寝ることと、看護師の仕事しかないので、一日の付き添え疲労に感謝し、妻と息子には帰宅して貰う。

 それから30分経った頃、手術に関係した医師団が術後の経過診断に訪れ、痛みは・気分は尋ね、1,2分で引き上げて行く。 9時になり右脚は自由になり、上半身を起こすことも許されたが、点滴継続、それに導尿カテーテルは付けたまま。 まだまだ半身不随の身、当番看護師の動きも気になり、長い夜となった。
(2012-10- 7)


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