新、旧字体の混交  (中島 節) -2013. 2. 1-


 昨年10月中旬、不整脈治療のため筑波大学付属病院に五日間入院。 時間を持て余している時、手渡されていた注意書きや書類などに書かれている筑波大学附属病院という表記に興味を引かれた。 新旧の字体が混じり合っているからである。学と属は新字体なのになぜ附だけが旧字体なのか。

 常用漢字は文章を分かりやすく書くことを主眼として1981年に制定された。 しかし 企業名、人名や小説などには旧字体が現在も使用されているのが現実である。 さて大学で、XX大學と 学に旧字体を使っている大学があるかどうか調べてみたがちょっと見当たらない。 新旧字体の画数を比較すると8 : 15 になるから、新字体の学を選ぶのは当然のことか。

 また専属、配属、属国などに使用されている属の画数も新旧(屬)比較すると12 : 21 になり、圧倒的に新字体が有利である。 一方 付は5画で、その旧体字 附は8画と両者の差は少なく簡単な漢字であるためか、 他の大学(東京大学、富山大学、横浜市立大学、千葉大学)でも旧字体附を使用している。 しかし、たまたま読んでいた 阿部知二訳「月と六ペンス」に「聖ペトロ医学校付属病院」に出合って、なにか ほっとした気分になった。 多分、新字体に一貫性を持たせるための訳者の心遣いであろうか。

 ところが 驚いたことに、新聞の大学案内募集欄に國學院大學栃木短期大学の活字が踊っていた。 歴史ある国学系の大学らしく昔からの固有名を大事に保持している。 しかし その系列大学にXX短期大学と新字体が使用されている。 また その欄に使用されている説明には、国学院大學受験者対象、国学院大学栃木学園教育センターのようにあり、 正式名称と一般向け呼称に漢字の使用を使い分けしていることが分かり興味しんしんである。

 さらに 興味深い大学名に二松學舎大学がある。 明治10年に開学された漢学塾二松學舎の表記を大切に受け継ぎ、戦後は新旧漢字を混在させた二松學舎大学を正式名にしたと推察される。 しかし 一般的には二松学舎大学と表記されている。尚、戦後設立された東京学芸大学は学、芸ともに新字体で統合されている。

 さて最後になった「附」を『漢語林』大修館で見ると、 「いま 国語では いずれのばあいも付で書かれることが多い。 ただし 官庁・法律の用語では「附属」「附則」などには附を用いる」とある。 これは 附の使われる傾向を述べたもので、これが使われる理由には触れていない。 終わり。


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