決め手は指輪  (中島 節) -2013. 3. 1-


 去る一月のアルジェリアのテロ人質事件で、日揮関係者が10名も尊い命を落としました。心からご冥福を祈ります。 この時 日揮社員新谷さんの身元確認が最後になり、その決め手は指輪の刻印だったと報道されました。 このような事件の時、もし指輪をしてない人だったらどうなるのだろうと、余計な心配をして仕舞いました。

 というのは、私と同じ年代の日本人には結婚指輪を交換する習慣はなかったから、指輪をしている人は殆どいない。 高校の教員時代に、同年代の仲間で指輪をしている方は皆無。 高専へ転勤した時、民間会社から転勤してきた先生で1,2名指輪をしているのを見て驚いた記憶がある。

 私が結婚したのは1957(昭32)年です。 安月給の中から無理して婚約指輪は贈ったが、結婚指輪は交換しませんでした。 指輪は仕事の邪魔になるなどと言って、着用することの少なかった家内は、30数年後、これをペンダントに再利用するため、貴金属店を訪ねた。 ところが驚いたことに、この指輪が宝石でないことを知らされた。 でも大事な記念品だからといって、お店でもそれを金框に収めペンダントにして再生してくれた。

 ここで 日本の指輪史が気になり、インターネットで調べ 次のような事を知りました。 諸外国との貿易を始めた明治時代から徐々に普及し始め、本格的に生活の中に根付きだしたのは戦後とのこと。 そして結婚指輪の習慣が広まったのは 昭和40年代になってから。 また婚約指輪は この後少し遅れて贈られるようになったようだ。 すると、たとえ まがい物であっても婚約指輪の贈り主は時代の最先端を行っていたことになるなと自己満足しています。

 最後に記憶に残る指輪の話を二つ述べてみましょう。 その一つは 40年前、アメリカに短期留学時、アメリカ女子大学院生とおしゃべりしていると、“You are sly”と言われました。 結婚しているのに指輪をしていないとは“貴方はずるいね”と言うわけです。 日本の習慣を説明したが納得はしませんでした。

 この話を日本からの会社派遣留学生(私より数年後輩)にしました。 すると左手を差し出し、離日直前、奥さんに「誤解されないように、指輪をして行って下さい」と懇望され、 この指輪をさせられて来ましたと実情を語ってくれました。 (2013-03-01)


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