肘折温泉で洪水を見る (中島 節) -2013. 8. 5-


 先月15日から4泊5日で肘折温泉へ旅行した。 1,200年の歴史を持つ温泉にしては、余りにも知名度の低い秘湯。 東京駅から新幹線に乗り3時間半で新庄駅、そこからバスに乗り換え南西に向かい更に1時間、 山間部へ入り河鹿の鳴く銅山川に沿ったところに肘折温泉は息づいている。

 「前日までの雨が、皆さんを歓迎するかのように 今日は晴れました」と宿の挨拶。 それを裏付ける濁流が、玄関先の銅山川(最上川の支流)を流れていた。 生まれて初めて見る濁流の凄さに感動、陽のあるうちに このむごたらしい光景を撮っておこうと、 部屋に荷物を置くなりカメラを持って外に飛び出す。

 翌朝になると、次第に川も茶色から鉛色に変わり、川が落ち着気を取り戻してきた様子にほっとする。 そして2,3日目とも 晴れ間の覗く暖かい撮影日となる。 しかし3日目の夕方から、予報通り雨が降り出す。 夜間どれほど降ったか、流れの音で分からなかったが、18日窓を開けると3日前とは打って変わって、濁流が狂ったように流れていた。 朝6時風呂に行くと、驚いたことに湯も多少土色に濁っていた。

 朝食後、雨も小降りになってきたので、ビニール傘をさし川沿いにでる。 渦を巻き、しぶきを上げ、発狂したように蕩々と流れている。今朝は川に岩も立ち木も見えない。 恐怖感より、不謹慎ではあるが 満足感を覚えながら30分余シャッターを切り続けた。 部屋に戻り、現状報告などをしているうちに、雨も殆ど止んだので、妻を連れ出し再度濁流を観察、撮影する。 帰りは妻が怖いと言うので、川沿いの路を避け帰館した。

 最終日、宿を出て間もなく小規模な土砂崩れ跡はあったが、修復済みでバスは順調に新庄へ進むことが出来た。 また 最上川にさしかかると、消防車を停め、消防団員が多数、橋の上から堤防の見張りをしていた。 心配された急行列車も定刻に出発し、予定通りの旅を楽しむことが出来た。(2013. 8. 5)

最後に、旅行理解の一助になればと駄句5つ。

      濁流に 耐えた柳が 笑顔出す
      濁流に カメラは忙し 喜気として
      濁流を 集めて忙し 最上川
      土砂降りに 愛呼ぶ河鹿 意気盛ん
      日に三度 秘湯楽しむ 宿変えて


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