昭和30年頃、東京への出張帰り上野松坂屋に立ち寄ると、cider (サイダー)が売られていた。 読書中 cider に出合ってはいるが、実際どんな飲み物かは知らなかった。 迷うことなく、本物の cider を買い求め下宿に帰る。 当直の時、学校に持参し、酒好きな小使いさんを相手に、これが本物のサイダーです と講釈しながら美味しく飲んだ。
辞書に説明されているとおり、紛れもなく りんご酒、小使さんもこれが本当のサイダーですかと、味と新知識に感動してくれた。 では 本物と無関係な炭酸飲料、日本語のサイダーはどこから生まれたのでしょう。 インターネットによると19世紀後半、英国人が横浜でりんご風味の炭酸飲料水を製造し、 「シャンペン・サイダー」の商品名で売り出した。 だが商品名が長すぎ不便なため、いつしか「サイダー」と呼ばれるようになり、広く愛飲されるようになったらしい。
21世紀になり、ジンジャーエール(ginger ale)に戸惑う日本人は皆無と思うが、 昭和47年、米国に短期留学したとき苦い体験をした。 あるとき、日本人同僚と寮の地下室でピンポンをした。 疲れと喉の渇きから一休みすると、隣の売店に並ぶ Ginger Ale が目にとまった。 早速、購入し飲んでみたがビールの味とは程遠い。
不審に思いながら部屋に戻るなり辞書を引いてみると「ショウガで味付けをした甘い炭酸飲料」とあり、 一杯食わされたような気分を味わった。その後、同じ失敗談は あちこちで見聞。 その理由は 当時、日本人に馴染みのない飲み物で、英語学習者には S.モームの Cakes and Ale(菓子とビール)が定着していたからか。
英語の beer が日本語になるとビアでなく、なぜビールになるのか、不思議に思ったことはありませんか。 最初にビールはオランダから輸入され、オランダ語 bier がビールと発音されたことによるらしい。
ところで前項で取り上げた ale は英米では文語調で、普通使用されることはあまりない。 ではロンドンのパブに入ったとき、”A glass of beer, please”と言っても、無駄。 ここでの飲み物はビールに決まっているから、 beer を細分化した bitter ビター(少し苦味が強くアルコル分多)か lager ラーガーを、 そして a pint (half a pint) of bitter のように量を提示し注文すること。 1パイントは 0.57リットルで大きなジョッキに ついで渡される。 (2013-11-01)