異文化について(米友人宅への訪問)
   (堀江 尚文) -2005. 5.23-


 皆さんお元気で雨季前の最も気候の良い時期を過ごされている事と思います。 今回は、最近の経験を皆さんにお知らせし、話の種にでもと思い書いて見ました。

 先日、米人の友人から是非との誘いを受け 米国のフィニックスにある彼の家を一週間ばかり訪問して来ました。 彼は私と一緒に米国の自動車会社で仕事をした仲間で、 米人の中ではトップの副社長を勤めたのですが、4年前50代後半でリタイアし、 今は裕福に人生を楽しんでいます。 私も米国に長年滞在し話には聞いていた中流以上の人達の、 所謂、日本で言う退職後の生活に直接触れる機会と考え、 又、再会の嬉しさも加わり、2年ぶりに米国の地を踏んでみました。

 彼は米人トップマネージメントの人達の多くがそうであるように、 ゴルフはローハンデーであり、会社に勤めていた時は休暇をフルに活用し、 彼の趣味や家族との交流を大切にしていたのでありますが、 リタイア後の今はフィニックスの有名なゴルフ場を中心にした比較的裕福な人達の集まり、 所謂、ソサイアテーが形成された地域で、かなり高級なコンドミニアムを購入し、 夫婦で住んでいます。(子供達は成人し、奥さんは、アリゾナ大学で教鞭を取っているのですが)。

 日記風に彼または彼らソサイアテーの人達の私に対する歓待や 私が目にした幾らかな事を記述してみますと、 フィニックスに到着し、その日は空港の近くのホテルに一泊。 翌朝彼がホテルに迎えに来てくれました。 彼の車は、高級なBMW,まずフィニックスの有名な観光場所に案内され、 レイクではボートに乗り一周、その間、州鳥にも成っている白頭鷲の生息場所でその雄姿、 飛ぶ優雅な姿を堪能させられた。

 その後、自宅に着くや否や私が滞在する間の部屋に案内された。 そこはゲストルームとして備わっている部屋で、バス、シャワー室もあり、 2重ドアーにより完全にプライベートな時を過ごせるように成っていた。 奥さん側の家族が、大変東洋に興味を持っていて、中国や日本に滞在した事があったとの事、 そこは東洋の絵画や置物で満たされており、私にとっても居心地の良いものであった。 居間は広く、大型のTVとオーデオ装置が壁に埋め込まれてあり、 ちょっとしたパーテーができる広さを有していた。

 翌朝は遅く起き、昼頃よりゴルフを楽しむ事とした。 彼は(隣接する人もほとんどであるが)ガレージの中に自分専用のゴルフカートを持ち、 いつでもそのままコースへ出かける事ができる。 数日前に予約を取りゴルフを楽しむ我々にとっては、なんとも羨ましい。

 ゴルフ場に着くと 私は彼の友人達に紹介され、ゴルフの後に彼の家で再会することを約束した。 彼の友人の中には、航空母艦の船長で日本の横須賀にも滞在した事のある人も居て、 日本人の私に親近感を憶えた様でもあった。 又、他の人達も遠来の私に対し、何かと親しみある挨拶を交わしてくれた。 事前に私に対する情報が流れていたのであろう。 夜は小さなホームパーテーが行われ、ジョークを交えた楽しい一時が持たれた。 驚いた事に、「すし」が取り寄せられており、私はネタの説明をする羽目になった。

 翌々日は再度午前中にゴルフを楽しんだ後、 この付近で最も素晴らしい住まいとその住人に紹介された。 彼は3つの会社を所有するオーナーであり、 その家は個人の家としては想像を絶するものであった。

 まず丘の中腹に豪邸が見え、近ずくと丘への登り口に門があり、 電話で会話し暗証番号を入力する事により門が自動的に開いた。 約300メーター程度 花の咲き乱れる丘をドライブすると玄関がある。 内部に入ると、ちょっとしたお城のようであり、調度品からシャンデリアに至るまで、 ヨーロッパのしかるべき店から購入したと説明を受けたもので揃えてあった。

 居間にはよく映画で見た事のあるような虎の皮がしかれてあった。 地下には、大型スクリーンと10人分程度の革張りのリラックスシートが設置された ホームシアター、又フィットネスセンターにあるような健康機を数台備えた部屋、 孫達(時々遊びに来るそうであるが)のおもちゃ部屋があった。

 通常は夫婦二人で住んでいるとの事なので、 家の設備や多くの部屋の使い方を聞いたらほとんど使わないとの事、 使っているのは自分の書斎(仕事部屋兼用のようであり、 コンピューターが2〜3台置いてあり、各所有する会社からの報告や決済が刻々と送られてくる) と寝室、ダイニングくらいと笑っていた。 本人の出で立ちは安物のサンダルとそれに半ズボン、 フットボールチームの入ったT-シャツであった。 特別な外出以外はそのような姿で暮しているようです。

 私など無いものの僻みから過ぎたるは−−−、等の言葉を思い出したが、 本人はあたり前のようであった。 面白い事に、億万長者の彼の口からこの家のエネルギー費「ガス、水、電気、など」 はせいぜい5〜600ドル/月程度、日本は高いと聞いているがどうか、との質問があった。 私は、自分の家は比較に成らないほど小さな物だが、少なくとも300ドル/月は払っている、 と言ったら是非フィニックスに住むべきだと笑っていた。

 私は帰り際に、彼の家をブルーシャトーならず、茶基調の造り、 調度品の為ブラウンシャトーと命名したら大変喜んで、 今後は日本人の友人が名づけてくれた名を友に話そう等、ジョークを飛ばしていた。

 厄介になっている友人の話に戻ると、 彼の両親は健在で老人達が良く好むフロリダに住んでいると言う。 彼ら夫婦は奥さんの休みが取れる時期に、 例のBMWを駆って片道3日程度のドライブを要する2週間程度の旅行を行い、 毎年数回楽しんでいるようだ。 米国人の多くは、仕事をもっている時は飛行機、 リタイヤすると自動車で旅行し、その時間を楽しんでいるとのこと。

 短期間であったがその他いろいろ興味のあることに遭遇した。 退職後の過ごし方には多種多様で個人個人に適した方法があり、 その国の文化や、その人の置かれた立場によるものであろう。 知的な活動に精を出す人、人生を精一杯スポーツやそれに類した趣味に費やし楽しんでいる人、 社会のためにボランテアー活動に従事している人、等など、 どれを見ても真剣にそれらを行っている人達は輝いて見えるし、 優雅に人生を送っているようです。

 さて、わが身にかえって見ると、何と中途半端なであろうか。 さてさて、運動を兼ねてゴルフくらい真面目にやって見て、 今度 彼とプレーする時は驚かしたいものである。(了)