貧乏でした。先祖の残した麦わら屋根の農家は、風が吹くと倒れそうなほど揺れました。 その家から田を超え、土手を越えて5、600メートル。 元は沼だったくぼ地の奥に、氏神様の丹生神社がありました。 年を経て、曲りなりに高校に進学した小生ですが、しっかりした姉2人や兄、弟に比べ、 けんか(腕力とは異なります)でも、知恵でもかなわないのでした。
悩んだ小生は、真夜中服を着て丹生神社に走り、祈りました。 神社に掲げられた横長の木の板には、小生の母方の先祖、「宮城清太」の文字がありました。 「ひいおじいさんか、そのまたおじいさんか分かりませんが、どうぞぼくを強くしてください。 意思の弱いぼくをどうぞ助けてください」。
それは、真冬です。何を着ていたのかよく覚えていないのですが、 しんしんとした寒さが、高ぶった小生にはかえって心地よかったように記憶しています。 しかし、神様が虫の良い願いを簡単に聞き入れてくれるはずがありません。
その後も小生は、おおいに軌道をはずれ、一人相撲を取りながら青春を過ごしたのでした。 ただ、現在、そうした過去の自分を正確に、冷静に見つめることができるのは、幸いです。 05年、どうぞよろしく。(了)