晩秋の裏磐梯を撮る (平成17年10月)
 (中島 節)   -2005.11. 8-



1日目:10月20日(木)

 昨年に続き秋の裏磐梯二回目の撮影旅行。裏磐梯の魅力は地形の変化に富む大自然の一語に尽きる。 また私たちを受け入れるペンションも魅力の裏方を務めている。

家内の前日からの外出・疲労に配慮し、朝ドラ「風のハルカ」を見てからの出発とした。 六日ぶりの晴天、気持ちよいドライブとなる。 例により1時間毎の運転休憩をたっぷり2回取り、 常磐自動車道、磐梯自動車道を快調に飛ばし正午ころ桧原湖入り口に到着。 セブンイレブンで弁当を買い求め中瀬沼駐車場へ。 木道に腰を下ろし、秋の装いをまとい始めた静かな姫沼を眺めながら昼食をとった。 食事中に脇を通り過ぎた客は中年夫婦の1組だけ。

昼食後、レンゲ沼の一角をかすめ中瀬沼へ。 中央にちょっぴり紅葉した木々が、「お客さん、御免ね」と言い訳しているようであった。 今年の春先訪れたとき美しく燃えていた新緑が一面紅葉に変わるのは1週間後であろうか。

宿へのチェックインまでにはまだ少々余裕があったので、宿の前を通り抜けレイクウッド通りに出た。 手前の大沢沼はたいしたことなかったが、隣の曲沢沼には貸し切りバスも乗り付けていた。 対岸も少し紅葉し始めていたが、岸辺のヤマウルシ、ニシキギ、ナナカマドなどの紅葉は見事であった。

定刻20分前にチェックインしたが、気の早い参加者、オーナーは既にミーティングの最中。 直ぐ荷を解き撮影の支度をして階下に降りた。 車中の同乗者に「どうも遅くなりました」と挨拶し車に乗り込み、3時前の出発になった。

錦平のブナ林錦平から米沢方面を望む
定員9名の参加者を乗せ西吾妻スカイバレーを登り、いつもの錦平へ。 三脚を立てるのに苦労するほど観光客、素人カメラマンでいっぱい。見事な紅・黄葉の山並みに身も心も洗われる。 でもアクセントになる物がなく、平凡な風景写真になるのが不満だった。 約1時間悪戦苦闘の後、日没を撮るため下山。

第1のポイントは予想通りバス、自家用車で一杯。 次の候補地へ移動、結局昨秋と同一場所になった。 ここは私たちだけの独擅場であったが、次第に雲が濃くなり気分も暗くなってくる。 しかし逆光に映えるススキの穂の綺麗なこと、あの繊細に光り輝く穂、極楽の花をのぞき見るような恍惚感、 無心になってシャッターを切る。 ススキにかまけているうちにほんの数秒間雲間から顔をのぞかせた入日を撮り逃してしまった。 「日没後30分」の期待も薄くなり、予定より早めに宿に引き返すことになった。でも宿着7時半になる。

泊り客は私たち9名だけ。美味しい夕食後は例によって質疑を交えてのオーナー傑作スライド鑑賞。 入浴は1番乗りし、汗、疲れを気持ちよく流しさっさと床につく。

2日目:21日(金)

 5時少し前、うっすらと磐梯山が見え始めたころ出発。 秋元湖はすでにカメラマンがいっぱいとの情報で、小野川湖の入り口庄助キャンプ場に行き先変更。 ここはこれで3度目の訪問、先客はなく勝手が知れていたので直ぐ希望のところに陣を構える。 雲は厚く薄れる様子もなく、春の時と条件は大きく違い気がめいるばかり。 春の時はシャッターをきり過ぎ、フィルム不足を嘆くほどだったのに、今回はその様な心配は皆無であった。

この後は、前の2回と同じコースをたどり宿からあまり遠くない釣堀沼に出た。 残念ながら紅葉には未だ早かった。 でも次々とカメラの数は増え続け、ついには兵庫県から夜の高速道路を飛ばしてきたというバスの一団がやって来た。 朝陽の差し込む紅葉に一斉攻撃をかけるシャッターの音があちこちから響いて来る。

朝食後は先ず裏磐梯休暇村に行き、付近のヨシ、ガマ、ニシキギなどを撮った。 そこから裏磐梯高原ホテルに車を進め庭園、弥六沼周辺を昼まで撮ることにした。 小1時間かけ一人で沼を1周したが紅葉には未だ早く、収穫物は少なかった。 沼を1周した仲間は私を入れ3名。結局ホテル寄りの岸辺と庭園の木々が一番だったようだ。 岸辺の芝生には大きなシマヘビが気持ちよさそうに長々と身を伸ばし最後の日光浴を楽しんでいた。

昼食時の混雑を予想し早めに好評の蕎麦屋に滑り込んだのは正解。 数分後到着のバス客は残念ながらよそに回って行った。 昼食後は一旦宿に戻り小休止、2時から午後の撮影に移動開始。 有料道路磐梯山ゴールドラインを走り、途中撮影停車をしながら熊の出没に注意の看板の出ている「幻の滝」へ。

道路から10分足らずのところに赤茶けた岩を落下する滝が見えてきた。 おそらく鉄分の含有量が多く酸化しこのように珍しい赤い滝になったのだろうと一人で推測,納得した。 足元に注意しながら滝への道すがら、小型獣の糞を石の上に2個確認したが、 オーナーのクマの糞はもっともっと大きいよとの説明で一件落着。 滝から戻ってくると眼下に猪苗代湖とそれを取り囲む山々が忍び寄る夕闇にぼんやり浮かび、 だいぶゴールドラインを降りてきていることを知った。

ここから再度同じ道を戻り、近くの八方台でトイレタイム、撮影時間をとることにした。 辺りも暗さを増し一行は車に乗り込んだが、Yさんの姿がない。 駐車場の隅で彼女は紅葉の虜になり、時間を忘れ無心で撮影に悪戦苦闘していた。 私たちの車は彼女の移動に連動し直ぐ背後に停車し彼女の終了をじれったく待った。 旦那さんと一緒に旅行出来ない理由がわかった、自己中心に生きる熟年女性にはかなわない、 エンジン音が耳に入らないのだろうか、是非証拠写真を撮っておくようになどなど雑談を車内でたっぷり楽しんだ。 予報通り雲量が増し山の夕暮れは早かった。5時頃の帰着となったので、入浴、晩酌を済ませてから夕食にのぞんだ。 仲間もやっと打ち解け、夕食、雑談は盛り上がった。

「うちの主人は朝飯を作ってくれるから、準備が出来てから起きていくの」。 浦安からベンツでやって来たKさん「そんな男性はとんでもない。男の風下にも置けない」。 裏磐梯を頻繁に訪れている東京のYさん「私の主人も毎朝食事を用意してくれるわ」。 飯能市から来たTさん「女性は旦那の早死を願望しているようですね。その後自由にのんびり旅行しながら、、、」。 「一概に否定も出来ない。傾向としてはあるかもしれない」と多数意見。 茅ヶ崎から電車でやって来た口数の少ない老人 「私のところではそれぞれ好きな時に好きなように料理し、別々に食べています」。 ただ一人の現役女性八木さん「私は写真を始めて3年。 年数度さっさと撮影旅行などに参加していますが、主人は別に不平は言いません」、、、、、

3日目:22日(土)

雨の予報で出発を5時半に遅らせたが、幸い雨は降っていなかった。 桧原湖畔の丸山に向かったが、生憎、小雨がポツポツ落ち始めてきた。 思えば去年の秋はこの近くの細野でみぞれが降り出し、ほとんど写真が撮れなかった。 何とも日の出の磐梯山とは相性が悪いようだ。 でも暗くても結構写真が撮れるという昨年の経験を活かし数回シャッターを切った。
桧原湖ウドの花
シオンの綿毛八方台で
30分ほどで皆、この地を断念、次のポイントに向かうことになった。 このような時とっさに、地の利、経験をフルに回転できるのはオーナーの特技。 米沢への狭い旧道を登って行く。雨上がりのしっとりした紅・黄葉が静かに我々を歓迎してくれた。 残念ながら補正の失敗でフィルムは真っ黒、辛うじて道端の可憐な花が2,3撮れただけ。 途中で遭遇したのは軽トラ1台だけという排ガス公害とは無縁の大自然の中で、 最後の撮影が出来たことに皆満足し下山。 食卓で今後の予定、再会を語らいながら、食事後それぞれに別れて行った。

私たちは温泉の予定を変更し、 昨日すっかりお気に入りになったゴールドラインを通り八方台付近を中心に撮りながら帰宅することにした。 八方台に直行すると、すでに30台くらい駐車していた。 早速、昨夕Yさんを虜にしていたヤマカエデを撮ることにした。 すっかり魅了され、なかなか離れようとしない家内を残し、私はブナ林に向かった。

次々と磐梯山を目指すグループが私を追い抜いていく。 カラフルなコートを着ている人が多く写真栄えするぞと嬉しくなったが、 何ともシャッタースピードが遅くボケた登山客になるのが心配になった(幸い1枚だけ掲載に耐えるものが出来た)。 途中2,3箇所、道端に駐車しながら撮影したり、景観を眺めたりし帰途についた。 高速に乗ったのは12時を少々回っていた。 降ったり止んだりの定まらぬ秋の空模様、点々とちりばめられた紅葉を横目で眺めながら無事3時15分帰宅。 走行距離約530キロ。(2005-11-7)