酒と私 (中島 節) -2003. 9. 2-


 酒は実に美味しい!国の内外を問わず旅行中最初に買い求めるものは酒、ワインの類である。 これを買うと急に心が和む。好きなとき、好きなところで飲めるからである。 しかし私は絶対に深酒はしない。旅先での朝酒一口、二口(それ以上はダメ)の味はまた格別である。 また酒は気分転換、仕事にけじめをつけるのにうってつけの代物であろう。 辞書原稿を書いていた多忙の絶頂期に一合の酒を三晩に分け飲んだこともある。 昼の作業にピリオドを打ち、次に備えるためである。不思議とこの少量の酒で気分爽快になれた。

 高専で寮務主事をしていたとき、厳冬期の退勤際にはウイスキーのお湯割を一杯飲んだものだ。 これは寮の雑務は家に持ち帰らず、夜の寮管理はいっさい宿直者に任せますというけじめである。

 この辺で「りょう」を酒量に変えましょう。 血気盛んな頃、清酒で6合、ウイスキー角びん半分が最高記録でした。 現在は酒なら1合、ビールなら大瓶1本というところでしょう。 そして月曜日を休肝日に決め、ほとんどこれを守っている。 焼酎は独特の臭みを持った「イモ酎」が脳裏に深く刻み込まれていてなかなか手が出ない。 ウイスキーはアルコール度が強すぎ胃がもたない。水割りにしては折角の香り、風味が死んでしまう。

 二日酔いのつらい経験も少しは記憶がある。しかし高専に移ってからは皆無である。 勝田への電車通勤24年間で乗り越しはわずかの2回。 高専時代は幸か不幸か研究室は個室だったから、飲み会はどうしても少なかった。 たとえ年2,3回の宴会があったとしても遠距離通勤ということもあって二次、三次会に出ることはごく稀だった。 誠に健康的な職場であった。

 私が最近愛飲している銘柄は菊水の「ふなぐち」というカン入り生酒である。 アルコール度は19%、美味しいからといって飲み過ぎないようにして欲しい。 糖尿病に罹っている同僚Oさんに「ふなぐち」は天下の絶品だと推奨したことがあった。 これは美味しいと受診日の前4,5晩続けた彼は、医者のお目玉を覚悟して病院に行ったそうだ。 ところが意外なことに血液検査結果が良くなっていると褒められたそうだ。 「中島さん、酒は百薬の長と言うが本当だね」と感謝の念を込めて語ってくれたのを思い出す。 ところで値段だが245円から295円と店によってまちまちである。やはりスーパー系が安い。 もうひと挙げておきたいのは県内明野町「来福酒蔵」の「真向勝負」、「来福本醸造」である。 「なでしこ酵母」仕込みのため香りがとても個性的、フルーティな味で女性好みかもしれない。

 私は家内に迷惑をかけないようすべてセルフサービス、そして食事前に飲み終わるようにしている。 冷酒、ぬるカン、ビール、、、と日により、体調により変わる。 酒の場合は口に少し含み、口内、舌の周囲を流動させ粘膜を刺激し、味、香りをゆっくり堪能しながら飲む。 大相撲が始まると1合の酒を約1時間かけTV観戦することもある。 酔い心地もさることながら、本当に美味しい自分好みの酒を一人静かにたしなむ年齢になったのかもしれない。

 最後にワインの飲み方を。ワインは無色透明の大きめのグラスで飲むがよい。 まずグラスの中に注がれたワインの色を鑑賞し眼で味わう。 次にグラスをゆるく回しワインを空気に触れさせその芳醇な香りを鼻で味わう。 それから口に含みワインを回転させ舌、続いて喉でワイン独特の味を味わう。 これは昔アメリカ研修中に学習した得がたい成果の一つです。(了)