思い出の庭木、草花 (中島 節) -2003.12. 1-
庭先の木々、草花にはそれぞれの深い思い出がある。1.生家、兄、教え子などから頂
いたもの、2.自分で接木、寄せ接ぎしたもの、3.旅先で採取したもの、4.店で
買い求めたものなど色々ある。いずれの場合も樹木類は私の手で剪定育成している。
いっさい庭師の手を煩わさないだけに庭木に対する愛着・思い出は深いものがある。
生家から分家してきた木には梅、ウメモドキ、モチノキなどがある。淡いピンクの梅
は父が植えたというから樹齢80年?もう幹も半分朽ち果て余り花もつけない見栄え
のしない老木だが捨てがたい。この跡継ぎにと隣に植えた白梅は元気盛りである。
草花では名の通り風に舞う妖しい蝶のようなピンク色したクレオメ(風蝶花)、真夏
の太陽に挑戦するかのように咲き誇る真紅のモミジアオイ、心を和ませてくれる薄紫
のストケシヤなどがある。移植当時は珍しい花で近所となりに差し上げたものであ
る。
教え子たちから頂戴した花も是非紹介しておきたい。玄関先に真っ赤な大輪のガーベ
ラ。土浦時代のA君、英語はあまりパットしないほうだったが、ある時「先生、ガー
ベラ好きなら家の庭から持ってきてあげるよ」と笑顔で常磐線に乗せ運んできてくれ
た。それから30年以上綺麗に咲き続けている。

これと相前後して、Eさんの卒業祝いに自宅へ御呼ばれした。庭先に名も知らぬ清楚
なピンク色の花が咲いていた。2,3日後、近所に住む下級生のA君が
鉢に入った花を学校に届けてくれた。「ヒマラヤユキノシタ」
(右写真)は春の訪れを一足先に
教えてくれる。今年はなぜか早くも一房が咲き出した。
四月、葉に先立って目の覚めるような紅紫色の花をびっしりつけるハナヅオウ。「そ
の花なら家にいくらでもあるよ、先生。今度苗木を持ってきてあげるから」と気軽に
約束し職員室に届けてくれた。日当たりの良い春先きの庭は毎年ひときわ華やいで見
える。
20数ほど前、日立一高の同窓会の帰り、「花の大好きな先生に花をプレゼントした
いから」と言われM君の生家に立ち寄った。紫色のテッセンは今も5、6月頃になる
と鉢の中から「お元気ですか」と挨拶をしてくれる。
3に分類されるものに2本、忘れがたいものがある。その一つは40数年ほど前、十
和田湖畔「乙女の祈り」近くから採取した芽を出したばかりの小さな五葉松。今でも
植木鉢の中で小さく(30センチ)逞しく生き永らえいている。私たちの守護神のよ
うに。
もう一本はモミ(樅)。日立時代、M、N,O君らと高萩の土嶽に登ったとき、記念
にと抜いてきた小さな苗である。針のような葉先で怪我をしないよう剪定し続け、今
でも樹高30センチを保っている。目立たない鉢物だが私にとっては貴重な存在であ
る。
教え子から頂戴した草木はみな強い師弟の絆の証としてこれからも大事に管理栽培し
たいと思っている。(了)