カメラ裏磐梯を行く
   (中島 節) -2004.11.12-



1.カメラ旅行の効用

 裏磐梯旅行記の前にカメラ旅行の効用を述べてみたい。 旅行には二つの楽しみがあると一般に言われている。 つまり計画と実行の楽しみである。 しかしカメラ旅行の場合は三つ、いや私の場合は四つある。 計画、実行の他に写真を見て再度旅行の臨場感を味わうことが出来る。 これに旅行記をまとめるとまたまた旅行を鮮明にかつ懐かしく思いだす機会となる。 その上暇つぶし、ボケ防止という二つの副産物が追加されると思う。


2.裏磐梯カメラ教室

 10月25日(月)から27日(水)まで某ペンション主催の「撮影ガイド写真教室」に家内と参加した。 途中適宜休憩をとりながら高速道路を北上、12時前に桧原湖へ到着。 寒風の中で弁当を食べてから、時計回りで桧原湖を走り出す。 紅葉の美しさに車を止めシャッターを切り、湖をほぼ一周すると目的の宿に出た。 1時半のチェックイン。第1日目の日程は3時集合、夕景撮影である。 参加者9名は宿のマスター(先生ではありませんからマスターと呼ぶようにと要望あり) の運転する車に乗り込み定刻すこし前に出発した。

 天気は下り坂、次第に薄暗くなるし行く先も告げられずなんとなく不安になってくる。 西吾妻スカイバレー(後になって分かった)を上り、ポイントポイントで停車し簡単な解説をしてくれる。 こんな暗い夕景を撮った経験のない私たちは不安を口にした。 「見えるように、それなりに撮れるから心配は要りません」とマスターは励ましてくれるが半信半疑である。 山形県の吉沢不動滝に着いた頃は結構暗くなっていた。 ここは他の写真グループと鉢合わせになり順番待ちするほどであった。 この滝から車は反転、ライトをつけての帰りとなった。 後日、晩秋の夕景らしく意外と明るく撮れている作品を見たときの喜びは忘れられない。貴重な体験であった。

 部屋に戻るなり、中鍵をかけ家族風呂にしても結構ですとの指導通り、家内と女湯に急いだ。 入浴後、持参の小瓶を開けチビリチビリ独酌しながら夕食までの静かな時間を埋めた。 夕食は6時半、奥さんの手作り洋食は垢抜けし、味もまた最高。 またマスター自慢の鱒燻製も美味であった。 この席で参加者3名(水戸、千葉、東京)はリピーター、裏磐梯の大ファンであることが分かってきた。

 2日目は早朝4時出発の予定であったが、雨のため6時に変更。 持参したレンコートを着用、宿の長靴を借り近くの曾原湖に出た。 そこから車を返し、近くの池を撮った。 朝食後は近隣の池、小野川湖畔を巡り、 凸凹道をさらに上りグランドデコ・スキーリゾートを超え行き止まりまで行った。 もちろんスポット、スポットで目の覚めるような錦秋を撮影しながらである。 裏磐梯がこんなに池、湖に富んだ広大な美しい国立公園、カメラマンにとっての宝庫とは知らなかった。 帰り道、リゾート近くを闊歩する数十頭のサルの大群も圧巻であった。

 桧原湖に戻り昼食をとってから、再度小野川湖畔に戻り、取り残した風景をカメラに収め、 秋雨に煙る秋元湖へ出た。 これが晴れていたら紅葉に取り囲まれた湖はどんなにか魅力的だったろうと無念な想いで引き上げる。 どこもここも紅葉、黄葉で今秋一番の見頃であった。 夕景の撮影は雨のため中止し、3時頃宿に戻ることになった。

 この日も前日同様、一番先に入浴、冷え切った体を温め、昨日の残り酒を飲みきり、 日記・うたた寝・テレビで夕食までの暇つぶしをした。 2日目の夕食は和食。好みは人それぞれであるが、昨晩の夕食はやっぱり一番。 夕食後は質問開設を交えながらマスターの四季に分類された味のある ファージーなスライド写真を見せてもらった。

 3日目は朝5時出発。まだ小雨が降っているのを知り愕然とする。桧原湖畔沿いに細野のすこし先まで行く。 ここも朝日のポイントらしく先客の姿がぼんやり動いていた。 着いた頃は東の空に雲の切れ間が出来、宵の明星が一際明るく輝き、私たちに希望を与えてくれた。 が次第に雲行きが怪しくなり、ついには霰が降り出す。 寒いこと寒いこと、ポケットに入れてきたホカロンの効き目もほどほどであった。 ついに日の出光景は不発。浮かぬ顔で湖を離れ、近くの池に車で移動した。

 7時過ぎ宿に戻り帰宅準備。 8時に揃って最後の食事をとり、「ではまた会いましょう」とことばを交わし解散した。 このまま帰るのは能のない話。どんより曇っていたが再度秋元湖に向かった。

 散歩していた地元の老人に話しかけ40数年前の昔に帰った。 日立一高の学生を引率し磐梯山に登った折り最初に泊まった秋元湖畔のキャンプ場のありかを教えてもらう。 山頂の直ぐ近くで清水を売っていた人はその後財を成した話、秋元湖周辺の山々、中津川渓谷などの情報を得ることが出来た。 秋元湖の錦をちりばめた狭い道をゆっくり運転、行き止まりまで進み、 結局家内の反対を押し切り実に美しい中津川渓谷の下流数百メートルを眺めることが出来た。 秋元湖の美発見の再訪は正解であった。 午後3時近く、晩秋の至福の三日間に無事ピリオドを打つことが出来た。(了)