京都・奈良の旅
   (中島 節) -2005.11.24〜26-



 6月15日「くに荘」に宿泊予約の電話を入れた。 一人部屋なら空いているが二人部屋はない、、、予約受付は半年前からしているとのことであった。 どうにか部屋の確保はできたが釈然としない。 念のため「ルビノ京都堀川」へEメールを送ってみると、翌日、希望通りの予約受付OKの返事が届いた。 早速ほくそ笑みながら「くに荘」への予約を取り消した。 そして 旅行最終日、メール予約のため「ルビノ」の宿泊料が若干値引きされているのを知り パソコンの意外な恩恵にホホがちょっぴり緩む。

1日目
 例により何かと便利な荒川沖駅前の「鶴町駐車場」へ6時10分ごろ滑り込む。 車のナンバー、駐車期間、利用者の住所氏名などを記入し1500円を入れた封筒を、 シャッターの小さな受付口に挿入した。 駅までゆっくり数分歩き、この秋初めてのオーバーに身を包み 冷たい風を受けながら ホームで6:32発の電車を待った。 空席もあり 並んで腰を下ろし新聞を読みながら土浦を後にした。 予定より順調に行き、座席は少し離れたが8:03の「ひかり」の自由席に乗り込むことが出来た。

 京都着1分遅れの10:48。早起きしたといってもこの時間ではまだ昼食には早すぎる。 計画通りロッカーに荷物を預けて 初公開の青蓮院へ直行することにした。 驚いたことに駅のロッカーは満杯。 案内され駅舎を出て、まだ30個空きがあるという定期観光バスのロッカールームに急いだ。 カメラなどを取り出し 2個のリュックサックを一つのロッカーに収め、タクシー乗り場へ向う。 意外にも そこには長蛇の列ができていた。

 修学旅行の中学生を度々観光案内するという優しそうな運転士さんの客となり目的地へ。 「昨日の祭日は大変な混雑でした。今日は比較的空いていますよ」と運転士。 中学生をいかに楽しく安全に案内するかの体験談は益することが多く、 中学生から礼状が届いたときの嬉しさなどには実感がこもっていた。 20分も走ると、「ここが青蓮(しょうれん)院正門前です。 ではお気をつけて楽しい観光を」の言葉を残し緩やかに去っていった。

 教え子のホームページで見覚えのある楠の大木(天然記念物)が入り口右手に聳えていた。 冷えた廊下を3,4回曲がり国宝・不動明王二童子画像(青不動)を安置する部屋に出た。 室内は暗く画像はぼんやり、いくら目を凝らしても国宝の良さが伝わってこない。 落胆しながら同じ廊下を戻り 客殿に出、そこから庭園を眺めた。 しかし庭師が松の剪定をしている庭はどんなに名園でも興ざめである。 小御所、客殿、好文亭に囲まれた池を中心とする庭は定評があるらしいが、 池の水量は少なく また澄んでいなかった。 外に出て庭園を一周、所々に綺麗に紅葉している山紅葉をカメラに収めた。

青蓮院庭園青蓮院庭園知恩院山門
 ここを後にし知恩院に向った。 家内は初めて、私にとっては40余年ぶり(修学旅行引率)の参詣である。 本殿の高い軒下に左甚五郎の「忘れ傘」を見た記憶は鮮明に残っているが所在が不明。 警備の方に尋ねると右端にあると言う。 なるほど この上に「忘れ傘」ありと掲示さていたが、すっかり軒は黒ずみ、 網で一面が覆われているので見つけるのに一苦労。この境内には撮るような紅葉はなかった。

 12時はとうに過ぎていたので 円山公園に行く途中でレストランを探し 昼飯をとることにした。 京料理「いもぼう」の看板が家内の目に留まり、迷うことなく平野屋の門をくぐった。 1時近くになっていたので、空席も目立つようになり 静かに高級料理を味わうことが出来た。 しかし 残念ながら香り味ともに私の好みに合う料理ではなかった。

高台寺 
 すぐ近くの円山公園には美しく紅葉したカエデが何本もあった。 嬉々として紅葉をバックに写真を撮る姿があちこちに見られた。

 公園の奥、また外に出た長楽寺あたりもカメラの出番であった。 ここから更に南下し「ねねの道」を通り高台寺に向った。 妻が昨年ライトアップで とても幻想的だったという花の路を登り高台寺入り口に出た。 駐車場にはたくさんの観光バスが並んでいた。入り口の紅葉だけを撮り下山。

 茶屋の情緒たっぷりの狭い石塀小路を通り抜け、 路地から顔を出す清水寺三重塔をカメラに収めながら東大路通のバス停まで歩いた。 人いきれで蒸す満員バスの中で10分ほど揺られ駅に到着。 ロッカールームから荷物を持ち出し、No.19のバスに乗り堀川通今出川で下車、 夕暮れの「ルビノ京都堀川」に疲れた体を運んだ。

 部屋に着くなり大至急汗を流し、着替えし「氷結」を飲んでいると5時半 電話が鳴り出した。 約束の来客を告げる電話に、ロビーに直ぐ降りていくと返事する。 エレベーター乗り口に40数年ぶりに見る辻井君が待っていた。 暫く家内を交えロビーで歓談、6時からの夕食に同席して貰い回顧談に花を咲かせた。 遠慮してか彼は6時半ごろ別れを惜しみながらタクシーで帰宅した。 40歳のとき軽い脳溢血に遭い 脚と口に多少の後遺症が残っている教え子、 よく嵐山からやって来てくれた。有難う。

2日目
 前回の経験を活かし 朝食の混雑を避けるためレストラン7時オープンに合わせ一番乗りで入室。 手際よく好きな食べ物を選択し、妻が事前に選んでおいたテーブルに着席し、胃袋をたっぷり満たす。 日中は暖かくなるという予報でコートなしで出かけたが、 7時台のバス待ちには少し寒さを感じた。 8時30分発の近鉄急行には時間的余裕はあったが 予定外のバス路線に乗ったので 多少の不安を感じながら京都駅に着いた。

 室生寺五重塔室生寺入り口
 近鉄奈良駅降車後、9時15分の室生寺・長谷寺定期観光バスに間に合うよう、小走りでバス発着所へ。 私たち同様、数歩前を急ぐペアも同じコースの客であった。 参加者は26名、一応座席は指定されていたが、自由に座って結構ですとのことであった。 途中桜井駅に立ち寄り客を2名乗せ先ず真言宗室生寺に向った。 観光バスのよさは途中の神社仏閣、街、山々などを細々と説明してくれることである。 あちこちの紅葉を車窓から眺め、また社会の勉強をしながら室生寺へ。 橋本屋の山菜料理11時45分に遅刻しないよう注意され、 約1時間の自由時間を専ら本堂・五重塔周辺の撮影に当てた。 バック、構成、明暗などの点からとにかくポイント探しに苦労する。 三脚はなく ブレが怖いので、気軽に専らデジカメに頼ることにした。

 12時半 室生寺を後にし、往路と同じ道を戻りバスは真言宗豊山派総本山長谷寺へ。 室生寺より規模も大きく、紅葉も一段と冴えていた。 最初の登廊終点辺りの紅葉には喝采を叫びたいほどであった。 ここでは腰を下ろしゆっくりニコンで撮ることにした。更に登廊を上り本堂へ。 帰りはシャッターを押しながら途中まで脇道を下り、出発集合時間を気にしながらバスへ急いだ。 遅刻する客も4,5名いたが お詫びの言葉一言もなく着席したのには正直驚いた。 紅葉に酔い、舌が麻痺してしまったのであろうか?

 翌26日は全国から天理教徒が集う日ということで、 天理市周辺の道路は混み 予定より若干遅れ奈良駅前に帰着。 日の暮れるのは早く、薄暗くなりかけた頃奈良駅を出、宿にたどり着いたのは5時半くらいになっていた。 シャワーを浴びる余裕もなかったので、充分に洗顔、うがいをし、 昨夜 手を着けずに置いた「日本盛」で喉を潤し地下1階のレストランに向った。 昨晩と違い和食だがメニューがなく何が出てくるか皆目不明。

 二晩目は質、サービスともに悪いと妻はぼやく。 二泊目のメニューは生憎切らしているとのこと。 そろそろ満腹、しかし最後の頃になると忘れていましたと言い訳し フライ、デザートなどが出てきた。 私の注意で、係りが席を立った隣の客を追いかけ 呼び戻す珍風景を目の当たりにし、 多忙・混雑だけでは済まされない 根本的なサービス精神の欠落を感じさせられた。

 夕食後 地図を見ながら翌日の旅程 下賀茂神社を話し合っていると、 親切に背後から教えてくれる人がいた。糺(ただす)の森より大徳寺・高桐院をお勧めします。 今日 そこへ行って来たが 今が一番の見頃、写真撮影なら最高ですと太鼓判を押してくれた。 この未知の人がなんと荒川沖の人であることを知りお互いびっくり。 急遽、予定を変更し 乗り換えなし行ける近くて便利な大徳寺に決めた。

3日目
 今日の目的地は宿から徒歩、バス合わせ20分ぐらいの寺院。宿泊料の支払いを済ませ、 フロントに荷物を預け9時ごろ宿を出た。 10時開院のところもあり、まだ客はまばらであった。

 最初に訪れた大仙院にはカエデはないというので一旦そこを離れ、 隣の芳春院へ通じる道に見事な紅葉を見出した。でも明暗があり過ぎてカメラには少し辛い。 また国宝特別名勝・大仙院に戻り女性ガイド付きで枯山水庭園、 襖絵などを見て周り鎌倉、室町時代の禅宗の一端に触れることが出来た。

 解説に助けられ 私たち日本人もやっと理解できる伝統文化。 ガイドなしに素通り同然の若い男女の外国人旅行者がとても哀れに見えた。 簡単な通訳をとガイドに申し出たがなぜか無視されてしまった。

 続いて高桐院に回った。この時間になると観光客の数も多くなってくる。 カエデを主にした庭だけに それはそれはこの世のものとは思われぬほどの錦秋の美そのものであった。 先ず 参道から園内の美に思いっきりカメラを向けてから建屋に入った。 客殿の軒下から眺める入り口のカエデは絶景であった (後日クラブ講評会で最優秀賞に選ばれたが 都合でここに収録できません。 後日のお楽しみ)。

 この後スリッパに履き替え 裏の庭園を見学、続いて簡素な中にも幽玄をたたえる茶室などを見学し外に出た。 帰りは隣の門の閉ざされた玉林院、竜光院、 大光院などの入り口を写真に撮りながらゆっくりバス停に向った。

 宿のレストランで少し早めの昼食をとり京都の秋を愛しみながらバスで駅に出た。 少しばかりのお土産を駅ビルで買い求め、ホームの待合室へ上った。 空席の目立つ列車を何本も見送り、15時34発:ひかりの指定席に疲れた体を沈め、ビールで体をねぎらった。 車中で弁当夕食を済ませ、予定通り順調に東京、上野駅の乗り換え、8時少し過ぎ つつがなく帰宅できた。 (了)