予定通り昼近くに熱海駅に到着。 駅の観光案内に寄り、ガイドマップを頂きながら3時間の観光法を尋ねたが名案はなかった。 近くの食堂に入り、昼食を食べながら、お上に観光についての助言を求めた。 いくつか提案はあったが結局 隣り合わせたタククシー運転士にお願いし、 熱海城先の小高い丘にあるローズガーデンに行き そこで写真を撮ることにした。 季節的にも花を期待するのは無理な話、霜にやられたバラの花びらがわびしい姿をとどめていた。
紺碧の海に浮かぶ初島、世界最大の回転する松の盆栽、真っ赤なバラの実などを撮っていると結構時間は過ぎていく。
バラの剪定をしている若い女性たちに、無駄は承知の上で「年間を通じ1000円の入園料は高すぎる。
栃木の足利フラワーパークでは季節別料金を設けていますよ」とぼやいてみた。
くったくのない笑みを浮かべ「そうですね」とうなずいた。
エリカの満開がせめてもの慰めであったが、写真向きではない。
帰りは路線バスに乗り、熱海の街に こんなにも曲がりくねった細い坂道が走っているのを知りびっくりした。
というのは私たち二人にとり モア美術館を除き熱海は始めての訪問地である。
KKRホテル熱海は駅から徒歩7,8分の所にあった。
ホテルの名に相応しく各室、浴場から相模湾を一望に見下ろせる堂々たる6階建てのビル。
部屋に入るなりお茶もそこそこに、最上階の大浴場に急ぎ温泉に浸かった。
一人静かに酒盃を傾け一日の疲れを癒していると、夕陽を浴びた大空に素晴らしいドラマが始まった。 素早くカメラ、三脚を持ち出し窓を開け、シャッターを切ったが最高のチャンスは逸してしまった。 ホテルの白い輝き、航跡は消えかけていた。程なく妻が駆け込んできた。 海上に繰り広げられたこの豪華な夕景を逃してなるものか と入浴を中途に戻ってきたというが、 残念ながらもう過去形になっていた。
夕食は冬の「海鮮贅沢グルメ」を看板にしているだけあって、次々に盛り沢山のご馳走が卓上に並べられていく。 次々といっても ほぼ満席の宿、コースが完了し どうにか食べ終えるまでには約2時間が過ぎていた。 飽食の時代とは言え、なぜもこんなにサービスするのであろうか。 「もったいない」の精神を叩き込まれ育ってきたので、食べ残すことは難しい。
折角の温泉浴にもかかわらず、夕食前から指先の肌荒れが気になっていた。 最初は洗髪に使用したシャンプーのせいかと思っていたが、 妻の情報で多量に混入した塩素が犯人であることが分かった。 夫人風呂でも肌荒れが話題になっており、露天風呂は少し寒いが かけ流しで本物の温泉、肌はすべすべとのことであった。 夕食後フロントに行きこのことを確かめると「利用者の多い室内浴室は市の指導が厳しので、、、」と淡々と認めた。 「それなら一言 露天風呂はかけ流しですと教えてくれたら如何ですか」の質問に返答はあいまいであった。
2日目も快晴の朝。一人でちょっと寒い静かな浜辺に出た。
カメラポイントを探し、右手にお宮の松を眺めながら熱海サンビーチ歩道を南下した。
ソテツの葉を前景に 初島近くの日の出を狙ったがどうもピント来ない。
漁港の船着場に行くと三角の帆を広げた小型漁船が行儀良く並んでいた。
その背後から朝陽が上りかけていた。
この光景をどう切り取るか瞬時に判断しないとチャンスは早足で逃げていく。
どうにか撮れたようである。一応朝の撮影に満足し7時半からの朝食に間に合うよう同じ道をたどり宿に戻った。
乗降車自由の湯遊バスで市内名所を巡るか、初島行きにするかの選択肢を宿で前夜提示されたが、 静かな沖合い10キロの洋上に浮かぶ初島を躊躇なく選ぶ。 時間的余裕があったので海岸沿いに熱海港まで歩くことにした。 途中、貫一とお宮の銅像、松、空地になっているホテル跡など様々な想いに耽りながら浜風の中を進んだ。 9時30分出航と教えられ港近くになり急ぎ足になったが、 冬季は10:25に変更されているのを知り、宿のフロント係りの不勤勉さに憤りを禁じえなかった。
波止場で猫の出迎えを受けるとは意外、いつの間にか童話の国へやって来たような錯覚を覚える。
聞くところによると熱海から猫を捨てに来る人がいて、それが野良猫化し島民は困っているとのこと。
熱海から白亜の殿堂として見えるのは初島クラブというホテル、
また地味な色をした島 左寄りに見えるのが大きな建物が小・中学の合併校、
児童・生徒・教師合わせ37名という超小規模学校であることを知った。
島にはやっぱり花らしい花を見かけることはなかった。
関東地方では珍しいアロエの花があちこちに咲いていた。
灯台からの帰り道魚網を修理している老人にアロエについて漢方薬的な質問すると二日酔いにはアロエの葉は最高、 また生育がよ過ぎて邪魔になるから容赦なく切り倒すとのことであった。 すると昼飯は未だかと尋ねてきた。 12時は過ぎどこで昼飯を食べようかと思っていた矢先、 「うちは取り立ての美味しいエビ・魚などを出す食堂を波止場近くでやっているからどうだ。 俺も直ぐ帰るから」の誘いに二つ返事で合意。 値段は高めであったが実に美味しい歯ごたえ十分なイカ,黒鯛,アジなどの刺身であった。
13:25発の船で島を後にし 小田原経由で箱根強羅の静雲荘に向った。
チェックインは4時を過ぎていた。
出発前は箱根の積雪、寒さを一番心配したが、土浦と変わりないのでほっとした。
フロント係りが言うように「名前の通り静けさが取りえ」の宿には静寂が荘の内外、浴場などにも漂っていた。
環境もよく駅からも近いし、もう10数回家族、兄弟、友人らと訪れているお気に入りの宿である。
3,4年前に宿が改修されトイレが各部屋に取り付けられ、露天風呂が新設されてから初めての宿泊となる。
最終日はゆっくり宿を出て、ケーブルカー、ロープウエーを乗り継ぎ大涌谷に出た。 予想通り日本一の富士山が観光客を迎えてくれる。 しかしカメラを通して見る雲ひとつない富士の容姿には風情がない。 でも記録写真に2,3枚撮ることにした。 帰りは箱根の変化を求め小涌谷駅までバスで下り、 そこから箱根電鉄、小田急を利用し小田原経由で帰途に着いた。(2006-2-15)