異文化について(シンガポール)
   (大島 健一) -2004. 2.19-



2.シンガポール(1997〜2000)

 シンガポールは北緯1度に位置し、大きさは東京23区に相当する面積しかない小さな島国です。 街の中心から車で3,40分走らすと国境に出てしまうのですから、その大きさ想像できると思います。 人口はシンガポール人(中国系70%、マレイ系20% インド系10%)300万強、 我々のように仕事で来たで外国人100万、計400万強というところか。

 北緯1度ということは、殆ど赤道直下、そのため、日の出、日の入りは朝夕7時頃で、 昼夜半々(日本の春分・秋分の日)の毎日が続きます。 通常の気温は31,2度(高くて34度ぐらい)、湿度は高く、 洋服ダンスの服もちょっと油断して手入れを怠るとうっすらカビが生える危険があるほどです。 私にはいつも空気が湿って重く感じられ、日本の早朝の爽やかな空気が懐かしかったです。

 12月から3ヶ月間位、雨期と称する季節がありますが、 日本の梅雨のように一日中雨が降ると言う事は滅多にありません。 必ず1日に1、2回はスコール(バケツをひっくり返したような)に見舞われるのが雨期の特徴で、 それも3、40分も降ればすぐ上がり、 ドカンと太陽が顔を見せると行った具合です。我々には雨期である感じはしません。 この時期は気温も幾分下がり(27,8度)近年の日本の夏の暑さより過ごしやすいと思います。

 この国では四季がなく、花はいつでも咲いているけれど、季節の移ろいには全く縁がない。 冬の眠りから覚めて春になると木々が芽を吹き花が咲くことも、 秋の紅葉、散り行く落ち葉も、冬の雪も、知らないわけだから、 人々の心情・感性は日本人のそれとは相当異なっていると思います。 例えば、色彩感覚やいわゆる日本の心、わび・さびの世界を理解するには自然環境が違いすぎて先ず無理。 また我々もこの国の文化を本当に理解するのは通り一遍の滞在では無理でしょう。 この辺の論議になると、何が優劣と判定する次元の問題ではないので、 文化論の専門家に任せておく方が賢明、割愛します。

 いつも夏ですから「衣装代はかからない、ティーシャツと短パンがあれば生活できる国だなあ」 と冗談めかしてこの気候を皮肉ったりしていましたが、住めば都です、すっかり馴染み、 今は大変懐かしい国となりました。

 シンガポールは無資源国、全てないない尽くしの国です。 山がない。したがって川らしい川がない。したがって水がない。 貯水池はあるけれども、まさかの時の貯えです。 水道水はマレーシアからパイプラインを使って輸入している。(毎年マレーシア政府と価格で揉めている) 農業は野菜畑が少々あるだけで自国での生産は皆無に等しい。 エネルギー、鉱石等の天然資源もない、全て輸入です。 (日本も資源の乏しい国だが、この国に比べると、資源豊富?と言えます。) それなのに、1965年マレーシアから分離独立以来、 先進国(特に日本)をお手本に、商業国、工業国として発展してきた。 しかも今や東南アジアで国民の生活レベルが最も高い国です。

 リー・クワン・ユー上級相、 ゴーチョクトン首相と言う歴代の指導者の才覚とその指導力は見事なものです。

 無資源国の資源は人材と高度に整備されたインフラ。 東南アジアで最も政治的にも安定しているので、海外資本は安心して投資できると評価されるのではないか。 当初は安い労働力提供の技術後進国だったが、積極的に先進国の企業誘致を進めつつ、 人材の流入に積極策、知識・技術を吸収し自国の人材育成している。 今は海外資本が進出しやすいようインフラ(港湾、オフィスビル、電力等)の更に高度に整備し、 かつ低い企業所得税率(今は25%?)で海外資本に魅力を持たせている。 石油化学、医薬品などのファイン製品、エレクトロニクス、最近はバイオテクノロジーに注力し始めている。 アジアにおける金融のハブかつ工業国として技術立国を目指す国、もう後進国ではありません。 指導者の力量でこのように発展できるのだと言う典型的な国です。

 以上、最近のシンガポールの簡単な紹介です。今日はこの辺で終わりにします。 読み返すと良いこと尽くめの記述になってしまった感があります。 実際のところは経済一辺倒の国と言う印象が拭えない国でもあります。 また、生活編として、思い出すままに便りします。 (了)