夏の終わりに I君の令夫人のご逝去を悼んで
(大島 健一) -2004. 8.31-
今年の長い本当に暑い夏も終わりを告げました。
蝉の鳴き声から、朝夕の心地よい風、赤とんぼ、
未だか細いが涼しげな虫の音にバトンタッチ、秋ももうすぐそこに来ています。
26日、27日とゴルフ一泊で那須・塩原温泉に一泊旅行に行って来ました。
我が家は義母(85歳)が同居しているためそうそう家を空けることが出来ないので、
約一年ぶりの宿泊旅行です。
折から白骨温泉に端を発した水道水温泉が問題になっているので、
ここは本当に温泉なのだろうかと家内と冗談を言いつつ、
自然の美味しい空気、涼しさの下に、温泉と下手なゴルフを楽しん来ました。
何の変哲もない旅行なので報告するのはそんな程度、詳細は割愛します。
こんなノー天気な私達 気分を一変させる不幸な出来事が起こりました。
そんな楽しい2日間を過ごし帰宅した27日の夜、
私が仲人を務めたI君から電話があり、妻君T子さんが亡くなられたとのこと、
29日通夜、30日告別式をとり行うとの通知でした。
余りに突然すぎて絶句、聞くところによると
2001年に悪性腫瘍発見し 以後3カ年間の闘病生活を送っていたのだと言う。
社内恋愛、結婚9年、未だ36歳、余りにも若過ぎる。
思い返すと、I君は 私が昨年退職する時に 私の昔の部下を集めて、退職祝いの会を催してくれました。
97年シンガポール勤務以降、私は関係会社に勤務、
お互い職場も変わりI君とはあまり会う機会はありませんでした。
久し振りに会ったその席上で 奥さん元気かと聞くと、
ご心配掛けるといけないので黙っていましたが腫瘍の切除手術をしました、
結果良好で心配要りませんと言っていたのです。
その時 心に引っかかったので、家内に悪い病気でなければ良いのだがと伝えたのを思い出します。
そう思いつつ、私自身は退職後の新生活のリズムを整えることに専念すると称して、
すっかり その事を忘れかけていた・・・この愚かしさ。
T子さんは毎年律儀にお歳暮を贈ってくれ、
お礼にワインを贈ると いつも丁重に綺麗な字で文章もしっかりしたお礼状をくれるので
やや安心していたのだが。
しかし その時にはもう病状は相当悪かったのだと想像すると本当に申し訳ない気持ちで一杯になります。
I君の話によれば、T子さんから ご迷惑心配を掛けては申し訳ないので知らせないで欲しいと
言われていたのだそうです。
気丈でしっかりした人なので その気持ちがよく分かります。
分かるが故にその事が尚更何かしてやれる事がなかったかと私の心に痛みを与えています。
教会でのお通夜、告別式であったので、司祭から闘病生活を含めてT子さんの一生が語られました。
最後に9年間の結婚生活、結婚してよかったと・・・・
そして 自分が夫より先に逝くことを申し訳ないと言っていたと伝えられました。
精一杯生きたのだと思います。
27日 那須からの帰りがてら、懐かしさもあって、
アジアワールドと称するテーマショッピングセンターに立ち寄りました。
バリ島の商品を扱っている店内の家具や大型の商品が並んでいるコーナーで、
おそらく私が手に取らなければ誰も気付かないであろう、
家具と家具の間の片隅にポツンと一つだけ隠れるように置かれている小さな女性の顔の木彫りが目に付いた。
一目見て気に入りました。
以前 私は北海道で風雪に絶えぬいたアイヌのアガシの顔の木彫りの一つが気に入り、
随分迷った挙句に結局買わず終い、
後で他の店でそれに匹敵するものを探したが見つからず後悔した経験がある。
今回はこの女性の顔の木彫りが私に買わないと損ですよ と言わんばかりに語りかけてくるのである。
また迷ったけれど帰り間際に慌てて購入することにしました。
そして 後で知った事だが、この木彫りを片隅から発見した時間がT子さんのご臨終の時に近い、
これは本当に偶然だが奇妙な気分にさせられています。
これも何かの縁かもしれない。そんなことでこの木彫りを見るたびにT子さんを思い出すと思います。
誠に私的な思い出で申し訳ないが、少しで36歳の若さで旅立ったT子さんへの供養になればと投稿します。
ただただご冥福を祈るのみ (合掌)