知らない振りなど出来る訳は最初から無かった。
気にしない振りをしても意識は其の方向に在った。
口喧嘩にもならない様な。後味だけがいつもの様に苦く残る。
弱いのは、拙いのは私。いつも、いつもそう。
幾ら抗おうとも、所詮負け戦。
そして、意識は常に其の方向へ。脅えた涙もかき消す様に。
只、私だけが肩を縮めて。距離が近付くと気が抜けた。
まるで洗脳されるかの様に。言葉や温度に、下手に作ろうとしていた壁など
太刀打ち出来るはずも無く。
溺れていくのは、そう、きっとこんな感覚。
自責の念に悩まされそうな私を、一蹴する。
先の事など、考えたくもない。現実に引き戻りたくない。
私が欲しかった物は。欲しい物は。
明けてゆく空に物悲しさを感じずには居られなかった。
触れることが出来ても、手に入らない物。
働かない頭に在るのは、包み込んで閉じ込めておきたい衝動。
5月の朝の風はまだ冷たく、薄い布地の隙間から身体を覆う。
頬が引きつる。瞳は渇いている。鼻孔に残るのは。甘い匂い。
震える指先が欲しがっているのは、欲しがってはいけない。
だらしないのだろうか。みっともないのだろうか。
考えたくもない。今は。
まだ変化が現れるほど痩せてもいない私に向けられた其の言葉は、
言い得て妙だったかもしれない。痩せたのは心?
胃が可笑しな拒否感を発する。其れさえも、嬉しくもある。
自分の行き場など、未だ定まるはずもなく。
本日の一枚:椎名林檎/勝訴ストリップ