梅雨明け前


 家を出てから5分後ぐらいに気付いた。昨日あれだけ天気予報で 傘のマークを見ていたというのに、傘を持ってくるのを忘れた。 案の定雨は降っている。近場まで濡れていって傘を買うしかない。 自転車は多分、雨に打たれている。

 顔のきれいな人が夢に出てきた。久しく味わってない感覚に 襲われた。夢の中でだけ許される。

 夢の中でも会えない。

 雨が降る前の、空が水を蓄えているときの空気は なま暖かい霧で。風も起こらないぐらい。決して甘くない。鈍色の空気。

 この雨がやんだら梅雨明けだという。 身体も暑さに順応していたのか頭痛もしなくなった。

 切り株からすっくりと伸びる新芽のように、 木漏れ日をうけ、深い緑の空気を吸って育つことはなく。 羊歯のようにひっそりと陰で暮らす。

 まるで残像のよう。空耳のよう。昔の写真のよう。

本日の一枚:Thee Michelle Gun Elephant / Rodeo Tandem Beat Specter




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手紙 BBS




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