生ぬるい


 梅雨入りして、蒸し暑くて。虫の声が心地よく耳にたつ。 草いきれにこもる生ぬるさが夏を運ぶ。

 昼間厚い空気をかきわけて自転車こぐ。前の職場へ。 ほんの少しの忘れ物を取りに。あんなに日常であったことが 非日常になり完全なる過去になる。私の席には違う人が座り 視点が違うことで改めて変化を知る。よく知ってた場所、になった。

 でも其処に喪失感や空虚はなかった。 楽しそうだねと言われてその通りだと思った。

 裸足でちゃんと踏んで感触を忘れないように。

 私の未来は私のもの。自分で切り開いていけない。 誰かがレールをひいてくれるのをぼんやり待っていた。 今もそうなのかわからない。見たこともない誰かがいるのかも。 何もないかも。現況に気付けない不完全すぎる。

 よく知った景色が交錯する。

 瞼を閉じたら、見える顔がある。




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手紙 BBS




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