ロープウェー


 陽射しに少し秋の色が強くなったように思う。 でも日中の自転車はまだ自殺行為の域を出ない。

 鈴虫はまだまだ元気に鳴いてはいるが、1匹掠れた音を出す。 鈴も転がらないようなその声に心をときめかせる雌はいないのではないかと そんないらない心配ばかりしてしまう。 それでも彼は鳴き競う。奇妙な合唱になる。

 いくつかおめでたい話が周りにあった。 そして、はたと自分の身を考える。そして考えたくなくなる、何も。 先のこととか考えてみようとすると、頭が遠く遠くの方へ。 数字ばかりを追ってみたり、そこにあるたくさんのことを いじましく思い返してみたりするのは得意なのだが。

 欲しいものは、欲しいものは。浮かんだ物は全部先に言われた。

 ロープウェーに乗った、久しぶりに。そんなに長くない。 多分乗っている時間は1分とか2分とかその程度。 いつも見る景色が違う角度から新鮮に。動物園の上をかすめて。 山の上にはたくさんのアンパンマンがいて子供たちはおおはしゃぎ。 展望デッキからあのへんが家であっちのへんが職場だ、と指差す。 昔見た風景とは歴然と違う。道路、建物。 四角い建物が、増えたね。

 好きだって思う瞬間が一体幾つある。

 東京庭付き一戸建てがすごく好きだった。

本日の一枚:スガシカオ / Sugarless




back← *index* →next

手紙 BBS




* *