往生際


 失った物は大きいと思い込んでいたが、 こんなに往生際が悪い人間が意気消沈しながらも 何も出来ずに暮らしていくというのは、結構簡単だった。

 ただ、思いがけず夢に出てきて泣いてしまったのも幾度か。 そのうち今まで好きだった人とか前の彼氏とか 関係ない人まで止め処なく夢に現れるようになって 少々困惑気味。もう会わないような人ばかり。 私の脳味噌は一体どうなってんだ。 週に一度はそういう夢を見てしまうので ほんと欲求不満なのかな、とか落ち込んでみたものの そういうのではなさそうな気がして。

 ここらへんがやっぱり往生際が悪いあたり。

 そのたび妙にセンチメンタルになり仕方ないじゃん ずっとひとりだったんだもの。と。自分を諦めさせるしか。 でも、人を好きである気持ちとかその都度じわっと思い起こすので そういう部分が老化しないためなのか、とか。

 家にいることが自動的に多くなる季節だったので 結構家っ子になっていたが、それだけ家族を再認識して、 煩わしいこともたくさんあるけれど、それもまた家族。 他人だと許せないようなことでも多少の諦めというか そういうもんもある。

 姉が入籍して向こうのご家族に会ったが、 お客である私たちに対し、姉はやはり向こうの「家族」になっていて ああ、なるほどなぁ、これが結婚ということのひとつなんだな、と いきなり思った。

 年に一度ぐらいの和装であるが、その前に 二重気味のあごをどうにかせねばな、と毎度のことのように。

 結婚したとか結婚するとか、そういう話が 最近またぽろぽろと聞こえてくる。 おめでとう、と素直に思うだけ。

 誰も知らないを観た。不安定な均衡が崩れてしまう。 絶妙のバランス。でも人間ってそんなもの。

 何をその一瞬真実であると思ったか。何を重要だと感じたか。 真実と思いたいものはただの事実であって 何をもって自分がそれを真実とするか。 熱く語られるとひどく安っぽい。

 台風が近くにいるようです。多分帰りは自転車に乗れない。

 そして最近聞いているCDにも私の往生際の悪さが 露呈している。と思う。

 思い出にひたるのぐらい許してください。

最近の一枚:THE YELLOW MONKEY / SO ALIVE




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