今頃になって寂しくなってしまう時間が多くなってきた。 我慢できなくなったのも全部私。 ひとつ自由になれば別のものが不自由になる仕組み。 忘れていたくなんてない。全部嘘だ。平気だなんて全部嘘だ。

 少しぼんやりすることに慣れてしまった。

 せっかくの中秋の名月なのに、 こういうときだけ天気予報は当たる。 昨日見た月、薄黄色く目に飛び込んでくる。

 今年の夏は繰り返し台風に悩まされ、自分には 直接的な被害は無かったものの、田舎の屋根が飛んで雨漏りがしたり、 義兄の田舎の方では床上浸水が肩ほどの高さまでになり 土壁も竹が剥き出しになるほどで家ごと解体することにしたのだと。 自分は過去や思い出にひどく執着する性質なので 自分が過ごした家がなくなるというのは記憶とそれにまつわる感情を ごっそり持って行かれるような喪失感に苛まれる。 曾祖母の家も祖母の家も。

 たまに似たような家が夢に出てきたりする。 思い返すたびに暗い台所やかび臭い蔵、 夕焼けの透けるトタンの渡り階段、風見鶏のついたコップ、 火鉢と縁側、すべてが私の五感に刻まれている。

 昨日の夜、姉と喋っていて、 なんだかとても衝撃的告白をされたような気がした。 酔っ払っていてあんまり覚えていない。 一年ほど経って、何かと現実的になってきたのだろう。 人間なんてそう変わるもんでもない。

 甥の成長だけが楽しみ、みたいになってきた。

 来週には美容院に行って髪を揃えてもらおう。 トリートメントもしよう。毛先がばさばさ。

 ウサギが年を取った。背中のへんの肉は明らかに削げ落ちて、 自慢の毛並みはまぁそれなりに美しくもあるが 白髪が目立ってきた。たまによろける。

 いまだに色々消せないでいる。 ヤケクソ気味に色々やってみたこともある。 別に気持ちは変わらず、本当に変わらず。 ただ、なんか欠落しているだけ。 私の生活から。

 他人に優しくなれない。偽善のように思う。 違うのはわかっているのに。捻じ曲がっている。 伸ばしてみたって曲げたところは真っ直ぐにならない。 ひっかかる。改めて自分の人付き合いの下手さを思い知る。

 雨がひどくなけりゃおだんごでも買って帰ろう。

最近の一枚:東京事変 / 群青日和




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