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長袖を着てみた。朝の冷たい空気には丁度良かった。 仕事場に着く頃には腕と布の間に生暖かい空気が溜まっていた。 空が秋の色を呈してきた。夏の強い青色とは違う、憂いと清々しさの ある微妙な色。これからぐんぐん夕焼けが綺麗になる季節である。 台風の過ぎていった日の夕焼けが驚くほど綺麗で、東の空には ピンク色に染まった雲と薄い青紫の空、限りなく白銀に近い黄色 がかった仲秋の名月だったのだ。西の空は鈍色の雲とその 間からは金色に朱を混ぜたような強い眩しい空。そのコントラストの 素晴しさに息を飲み、カメラ片手に飛び出し数枚シャッターを切った。 どうしても電線電柱が入ってしまうのが悲しかったが、 入っている光景を撮ってみた。 ふと気付くと空を見るのが好きになっていた。 夕焼け、朝焼け、昼間の青空、星空、月夜。見上げればそこには 空があり、季節を私たちに教えてくれる。 小さい頃はよく近所のプラネタリウムに行っていたが、 もう何年も足を向けていない。キコキコと音のする古びた 座席に着き、おじさんの差し示す矢印を目で追い、 星の発生や、星雲、星座の物語を心踊らせながら見ていた。 そこの設備はもうかなり古いらしく、今でも機器を新しくするでも なく、かなりな年代物になったその機械を ゆっくりと働かせているらしい。 今日は居待月になるのか、暦が手元にないからうろ覚え だけれども。今日も月がよく見えそうだ。 大分涼しくなりましたね、と出入りの業者さんと話をしていて、 「暑さ寒さもナントカまで、なんて言いますもんねぇ」と言われ、 あぁ、そうか、彼岸なんだな、と気付く。母が祖母の墓参りに 行きたいとぼそりと口にしていたことを思い出した。 そうだね、そろそろ行かないと淋しがっているね、 幾ら祖父と同じ墓に納めてあると言えども。 寒くならないうちに一度は行こうね。 最近母のことを思うとどうも涙腺が緩くなる。 いつも一緒にいる分だけ変化に疎くなり、唐突に 客観的に見てみるとえらく年をとってしまったのだなぁと 悲しくなったりもする。白髪も増えたどころの話ではないし、 夫婦揃って耳も遠くなりつつあるようだ。 体力回復の速度もここ何年かで著しく遅くなっている気がする。 少々愚痴っぽくなったのも、年のせいと、私が話を聞ける 年になったからだろう。些細なことで父と口喧嘩をし、 母を困らせてしまう自分が少々嫌になったりもする。 もう子供じゃないんだから、と言いながら私は一生 貴女の子供なのだと変な瞬間に自覚した。 そして母のいる家へ帰る。秋になりかけた 空気を深呼吸してみる。 本日の一枚:the brilliant green/TERRA2001 |
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