マユは夜空を見上げるのがすきでした。今日も、ひとり、こっそり家をぬけ出して、星を見ていました。
「いつも、ここで星をみているね。」
マユがふり返ると、ギターを持ったおじいさんが、マユの後ろに立っていました。
「オリオン座が見えなくなってしまったね。もうすぐ、さそり座が見えるようになるよ。」
おじいさんは、マユがよく星を見に来ていることを、本当に知っているようでした。
マユは、オリオン座が一番好きでした。オリオン座は、つづみの形のまん中に、三つならんだ星があります。マユは、その三つのを、仲良しのアヤちゃんとサキちゃんと自分の三人のようだと思っていました。ところが、オリオン座が、だんだん見えなくなってきころ、アヤちゃんとサキちゃんとうまく遊べなくなりました。いつも2人でコソコソしていて、なんだか、仲間はずれにされているみたい。だから、オリオン座を見れば、また三人仲良く遊べるような気がするのです。
「わたし、オリオン座が見たいな。」
マユが言うとおじいさんは、ギターで優しい音楽をかなで始めました。すると、夜空の星がいっせいに動き始めました。東の星は西へ、そして東から新しい星が昇ってきまた。
「あっ、オリオン座。」
マユは、オリオン座を見つけ、さけびました。しかし、オリオン座もまた、西の方へ沈んでいきました。
ぽろろろん...
おじいさんのギターの音がとまると、星達はゆっくりと、もとの位置にもどりました。
「お嬢ちゃん、星はね、いつも、少しずつ動いているんだよ。そしてね、昼間でも星は動いているんだ。今は、夜に、オリオン座を見ることができないけれど、昼間にちゃんと出ているんだよ。」
マユはその話を聞いて、自分が目に見えることばかり気にしていることに気づきました。明日は、自分からアヤちゃんとサキちゃんに話しかけてみようと思いました。
『ありがとう』
マユが、そう言おうとふりむいた時、おじいさんは、もうそこにはいませんでした。
おわり
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