うさぎのミューは、小さい頃に赤目さんちにきました。ある日、ミューは、玄関で、つばめが何度もえさを運んでいるのを見ました。それをいっしょに見ていた赤目さんは、
「まあ、お母さんつばめが、ひなたちにえさを運んでいるわ」
と、言っていました。ミューは、『お母さんってなんだろう?』と、思いましたが、ミューの言葉は赤目さんには、伝わりません。そこで、ミューは、同じ家に住んでいる、物知り猫のジィさんにたずねました。
「お母さんってどんな人?」
「お母さんは、御飯を作ってくれて、そうじをしてくれて、やさしくて、そして、とっても心配してくれる人だよ」
ミューは、ジィさんの話を聞いて考えました。
赤目さんは、冷蔵庫を開ける時、必ず、キャベツをの葉をくれます。ミューの部屋をそうじしてくれるし、そして、いつもいつも、ぎゅっとやさしくだきしめてくれます。でも、心配してくれるって、どんなことかな?「お母さんって、全部あてはまる人なの?」
ミューの言葉にジィさんは、鼻の横のひげをピンッとのばして答えました。
「そうだよ。お母さんなら、今言ったことを全部してくれるのさ」
ミューは、赤目さんが、お母さんだったらいいな、と思いました。
ある日、ミューは、赤目さんがいないので、家中をさがしまわりました。赤目さんは、どこにもいません。そこで、ミューは、赤目さんから行ってはいけないと言われている、階段にぴょんと飛び上がりました。
ぴょんぴょん、ぴょん
行ったことのない二階がどんどん近くなります。ミューは、わくわくしてきました。
もう少しで、一番上につくというとき、ミューは、後ろをふりかえりました。いつもいるところがとても小さく見えました。そして、ミューは、目がグラングランしてきました。目の前のけしきが、ぐるんぐるんまわります。「たすけて!」
ミューは、階段から転がり落ちました。痛くて体が動きません。でも、赤目さんが、すぐ見つけてくれました。大きな音がしたので、二階から、バタバタ下りてきたのです。
動けなくなったミューは、赤目さんにだっこされ、お医者さんに行きました。赤目さんは、お日さまのようにまん丸くはれあがった、ミューの顔を、氷で冷してくれました。注射がとっても痛い時も、苦い薬を飲む時も、ずっと、側にいてくれました。
ミューが元気になると、赤目さんは、
「けがをした時は、とっても、心配だったわ。階段は、危ないから、もう、のぼっちゃダメよ」
と、とても恐い顔をして怒りました。けれども、ミューは、なんだか、うれしくなったのでした。やっと、動けるようになってから、ミューは、ジィさんとに、縁側で会いました。
「ぼくにも、お母さんがいたよ。ぼくのこと、とっても、心配してくれたよ」
ミューは、そう言うと、シャシャシャっと、後ろ足で顔をかきました。
おわり
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