ポエム

 

私の好きな詩人

 私の好きな詩人の中に童謡詩人の「金子みすゞ」さんがいます。みすゞ没後70年を記念して1999年の7月29日〜8月10日に、東京の大丸ミュージアム・12階で「金子みすゞの世界展」が開催されました。私はもちろん観に行きました。みすゞさんは、西条八十に将来を期待され、宝石のように美しい言葉を残しながら、はかなく散って行った薄幸の詩人です。彼女の詩の中には自然を愛し自然の命を大切にする言葉が沢山見受けられます。私がみすゞさんの詩に一番感銘を受けたのは「大魚」という詩です。なにげなく食卓に出されたこの小さな魚にも命があり、私達はこの魚を食べて生きています。そして魚は人間や動物達に食べられるためにこの世に生まれて来たのかも知れません。「かわいそうだ」と言う彼女の思いが、私の心にせつせつと伝わりまして、この命ある魚を大切に食べなければいけないのだと思うようになりました。

 

大魚   金子みすゞ

 

朝焼け小焼けだ

大魚だ

大羽鰮(いわし)の

大魚だ。

浜は祭りの

ようだけど

海のなかでは

何万の

鰮のとむらい

するだろう

 

 

 

わたしと小鳥とすずと  金子みすず

 

わたしが両手をひろげても、

お空はちっともとべないが、

とべる小鳥はわたしのように、

地面をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、

きれいな音はでないけど、

あの鳴るすずはわたしのように

たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、

みんなちがって、みんないい

 

コスモスの花を愛しコスモスの花の心をうたった私の好きな詩人に「各務 章」(かがみ あきら)さんがいます。彼は福岡県出身で九州大学法科を卒業し、NHK「こころの時代」に出演。新聞・ラジオの人生相談、PTAや公民館の講師として活躍しています。

 

コスモスの丘  各務 章

 

山道をのぼりきると

広い道に出た

空高く鰯雲がひろがり

風が潮の匂いをふくんで

新しい景色がひらけた

海に面して

コスモスの花の波がうねる

一面のコスモスの丘に来たのだ

遠くに貨物船がゆっくりと進んでいるが

あたりに物音はなく

ひかりだけが溢れて

至福の時間がここにあった

 

手足が不自由にもかかわらず、口で筆をくわえ花を描き花の詩を書いた人がいます。その人は「星野富弘」さんです。彼は群馬県出身の人で、高崎市立倉賀野中学校に体育教師として赴任した時に、クラブ活動の指導中誤って墜落し、手足の運動機能を全く失った人です。ふるさとの東村の草木ダムのほとりに、富弘美術館が建てられ作品が常設されています。私は会社の営業所の所長と友人と3人でこの美術館を訪れました。友人が一枚の絵に身動きもせず、まばたきもせずに、じっと見つめている姿が印象に残りました。彼の花に対する思いが詩に込められていて、その作品は、本当に不自由な体で描いたのだろうかと疑いたくなるほど、素晴らしい作品だったのです。私が泣けて泣けて仕方なかった富弘さんの詩を紹介します。

私の首のように

茎が簡単に折れてしまった

しかし菜の花はそこから芽を出し

花を咲かせた

私もこの花と

同じ水を飲んでいる

同じ光を

受けている

強い茎になろう

1998年9月にインドのニューデリー、アショカ・ホテルで開催された国際児童図書評議会で、美智子皇后様が「子供時代の読書の思い出」として語られました。(ビデオテープでした)その中で私はロバートフロストの詩と出合ったのです。ロバートフロストの詩はノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏の本の中にも時々でてきます。とても穏やかで心安らぐ詩です。

 

「牧場」    ロバートフロスト

 

牧場の泉を掃除しに行ってくるよ。

ちょっと落葉をかきのけるだけだ。

(でも水が済むまで見てるかも知れない)

すぐ帰ってくるんだからー君もきたまへ

子牛をつかまへに行ってくるよ。

母牛のそばに立ってるんだがまだ赤ん坊で

母牛が舌でなめるとよろけるんだよ。

すぐ帰ってくるんだからー君も来たまへ

 

最近の詩人では坂村真民(さかむらしんみん)さんがいます。真民さんは1909年生まれの方で今も矍鑠(かくしゃく)として活動を続けている現役の詩人です。中学や高校の教科書にものっているそうです。「念ずれば花ひらく」の詩集は有名です。坂村真民先生の詩を先生のお許しを得て掲載させていただいております。

 

新二度とない人生だから    坂村真民

 

二度とない人生だから

一日でも長く生きて

世のため

人のために

何かをしよう

 

二度とない人生だから

母なる地球を

優れた星にするために

大宇宙大和楽の真言を

一ぺんでも多く唱えよう

二度とない人生だから

前向きに生きて

心眼を開き

感謝と喜びに燃えよう

 

二度とない人生だから

宇宙無限の気を

吸飲摂取して

悔いのない人生を

送ってゆこう

 

二度とない人生だから

日本民族の使命を知り

信仰と希望と愛に生きよう

 

二度とない人生だから

一つのものを求め続け

一念不動

花を咲かせ

実を結ばせ

自分の夢を成就しよう

 

二度とない人生だから

鳥たちのように

国境のない世界を目指し

共存共栄の

地球造りをしよう

 

二度とない人生だから

華厳のお経が説くように

すべては心の置き処

気海丹田

ここで心を練り

ここで呼吸をしてゆこう

 

 

 

便り    坂村真民

 

お心のままの詩ができますように

お祈りいたします

という便りをいただき

春の風に出会ったような

あかるいのびのびとしたものを感じました

そうです

そうです

かまえやかざりをすべてとり去って

いつの日かそうしたおのずからの詩を

つくりたいものだと

胸のあつくなるような思いで

一輪ざしの花の下に

あなたの便りを置きました

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