2003年弥生


― 2ヵ月半の空白 ―


3月31日月曜日
午前2時 曇りだと思う


ずっとずっと、
長い永い、
夢の中を泳いでいるようだった。

すぐ上の行に、成人式の日に残された言葉がちらちら映ると、
この2ヵ月半の空白が本当に、
夢だったのではないかと感じてしまうほど
成人の日は遠く、それでいてリアルだ。


あの日以降、僕の身体には、
いくつもの大型台風が通過していった。
そんな中で、
僕は自分の魂が台風に飛ばされていかないように、
今にも切れそうな糸で繋ぎとめておくのに必死だった。

絶えず暴風域で闘っていた僕は、
心の引き出しも全部ひっくり返ってしまって、
どこに本当の自分がいるのか、
どれが真実の自分なのか、選別できなくなっていた。
本当にナイトメアの中を泳いでいるようで、
いつだったか、「変革作業中」という便利な言葉を用いて、
僕はこのページを閉鎖した。

とにかく、とてもとても自分の身に起こっていることを、
暴風域の中では実況できなかったというのが、
閉鎖した大きな理由だった。
今では公開できるが、その中にいた頃は、
矛盾した過去の気持ちを公開したままにしたくないというのもあった。

その台風の正体については、
ひとつずつ、後々明らかにしていく予定でいる。
ここに残さなかった日記の代わりとして。
乞う御期待(勿論、興味のない方々も結構いるであろうが)。

とりあえずこの辺で空白の説明は止めておいて、今日の日記らしいことをつづろう。

日付としては昨日、30日の出来事。
朝は11時まで本物の夢の中。
そこから目覚めてすぐに神奈川のとあるテニスコートへ。
空白の時期に出会った方々と午後4時までプレイテニス。
終わるとすぐさまリターンで6時から集金廻り。

集金をする中で、久々に取立て屋モードになって、
自身も嫌な思いをしたが、まあもう最後になるし、
何らかの糧になるだろうと思い、どうにか自身を納得させる。
最近はずっと、優しい新聞屋さんモードだったから、
一軒だけそういう風にしなければならないのは、物凄く精神力を削り、
後味が悪く、胃だかどこだかその辺りが気持ち悪くなる。
明日も行くことになってしまったが、また嫌な人にならなくてはならないのは辛く、
考えただけでも疲れる。
考えるのをやめよう。

午後11時頃に仕事場を後にし、
コンビニでちょっと遅い夕食でも買おうかと食料に視線を送っていると、
妙に機嫌だか気分だかが悪いヤクザ気取りのオジサン(30代位)が店に入ってきて、
「気持ち悪い」「トイレはどこだ」と叫んでいると、
「トレーニング中」のバッジをつけた店員の方(20代後半男性)がやってきて、トイレはないと言う。
すると予測できるシナリオの通り、
オジサンは俗に言う逆ギレを起こし、暴言と唾を吐き、店内のかごを投げ飛ばし、
「トレーニング中」の店員の胸倉をつかみ、
「気持ち悪いからここで吐く」だの、「てめえはどこでトイレしてるんだ」だの、
ここに書くのも面倒になるくらいばかばかしく情けない台詞を並べた。
そこにベテランの店員さんが登場し、オジサンの方はオーナーを出せとごねるので、
オジサンと、その連れであるスネ夫系の男は、奥の部屋へ連れて行かれた。
コンビニのバイトも、色々事件が起こって大変なんだなあと脳みその表面では考えていたが、
その中の広い部分ではおかしくてたまらなかった。
こういうのは最後まで見届けたくなる僕の好奇心は、
僕の身体に、食べたいものがなかなか見つからない優柔不断の役を与えた。

5分ほどして、奥から出てきたオジサンたちはレジの前にいた店員に、
「覚えてろ」だか、「気をつけろ」だか忘れたが、さらに一言情けない捨て台詞を重ねて去っていった。
一体彼らは何をしに来たのか。

僕はてきとうに食料を揃え、例の「トレーニング中」店員に差し出す。
そして、新人店員泣かせのクオカードを出し、さらに彼を悩ませる。
レシートを受け取る時、僕はさっき脳みその表面で思った言葉を彼に伝え、
彼から笑顔も受け取った。
「いろいろ起きて、たいへんですね。」
「ありがとうございます。」と。

終わり。

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