苦手なもの
私には苦手なものがいくつかある。
は虫類、タバコの臭い、ゴキブリ・・・etc.
ほとんどが誰でも嫌うものだ。
でもその中のひとつに不思議なものがある。
それは掃除機が苦手だと言うこと。
私は小さいときから掃除機が苦手で、母が掃除機を使い始めると机の上に上がったり、ほかの部屋に移ったりといつも逃げ回っていた。
中学にもなってくると、苦手だという意識が薄れていたのか、派手に逃げ回ることはしなかったけど、それは恥ずかしくて大げさにできないだけで、やはりなんとなく掃除機の側にいるのは心地よいものではなかった。
でも私はそんな自分を変だとは思っていなかった。
いや、気づいていなかったと言うべきだろうか・・・
深く考えたこともなかったので、音が嫌なのか、どこがどうイヤなのかも分析しないまま、誰もが嫌がるものだとさえ思っていた。
そして、そのまま私は社会人になった。
社会人になってからも、掃除機に対する不快感は変わらずにいた。
ある日、一緒に住んでいる姉が掃除機を使っていた時、掃除機の具合が悪いと言って吸い口に手を当てた。
吸い方が弱いと言って、スイッチを入れたまま手を吸い口に当てたり離したりを繰り返していたのだ。
それを見た時、私はわかった。
私は掃除機の吸い口には絶対さわれないということが。
スイッチが入っているのはもちろんのこと、入っていなくてもなぜか嫌な気がしていたのだ。
約20年間の疑問を解くのにやっと出口の明かりが見えたような気がした。
そして私は母にそのことを話してみた。
「実は私、どうも掃除機の側にいられないんだよね。 この間気がついたんだけど、吸い口がダメらしいのよ・・・」
私の言葉に母は笑いながら一言、「小さいときに吸い取ったからじゃない?」と言った。
どうやら私がまだ赤ちゃんの頃、掃除機を使っている母に近づき、掃除機をさわりたがるので母は私の体に吸い口をつけたらしいのだ。
「それだーーーっ!」 きっとそれだ。 間違いない。
その幼児体験が私が掃除機を怖がる原因だ。
「そのせいで私は未だに掃除機が怖いんだよぉ! どうしてくれるの!」って母に怒ったけど、母はひたすら笑っていた。
現在、ほとんど毎日のように掃除機を使っているけど、私はいまだに吸い口にはさわれない。
やはりスイッチが切れていてもさわれない。
もちろん、子供に吸い口を当てることも絶対にしない。
私みたいに大人になっても掃除機が怖いなんてことになったら可哀想だし、なんとも情けないからね。
でもこのことを知ってるパパは、時々おもしろがってわざと私に掃除機の吸い口を当てようとする。
私は怖くて本気で逃げ回っている。
エステって行ったことがないけど、吸引ってあるでしょ?
あれも私は絶対にできないと思う。
これがトラウマってやつかしら・・・