長男幼稚園脱走事件

長男が幼稚園に入園した
長男が生まれて4年と3ヶ月、専業主婦だった私はほとんどずっと長男と過ごしてきた
その長男と別々に過ごすときがついにやってきたのだ

実は長男は、いまいち幼稚園に行くことを理解していなかったようだった  ずっと私も一緒にいるものだと思っていたようだった
そして入園式の次の日、いよいよ私と離れて過ごす日がやってきた
私とというより家族と・・・
送っていって私が帰るときは、「バイバイ」と手をふってとっとと遊び始めた長男を安心して家に帰った

今まで救急車とかが通ると子供たちと見ていたのに、幼稚園のある方向に救急車が行ったりすると心配になったりしながら初めてのお迎えに行った
慣れるまでは朝の9時から11時半までなので、11時半少し前くらいに迎えに行った

行ってみると、靴箱にぞうりがない 外をしばらく探してもいなかったので、やっぱり中にいるのかなと教室に向かっていくと、先生に抱っこされた園児がこっちにやってくる・・・
まさか・・・もしかして・・・えええええ
それは紛れもなく我が子だった
涙がほっぺたに乾いている
すると先生は、「すみません。実は・・外に出ていってたみたいで・・・」
「なぬーーっ」とは思ったけど口には出さず、長男も早く帰りたそうだったので、詳しいことは聞かずに帰ることにした

帰り始めたとたんに長男は足取り軽く、私にいろいろと話し始めた
長男の通う幼稚園はとにかく園庭が広い
松林があったり畑があったり、一望はちょっと無理である
(まぁこれが魅力で入ったのもあるのだけれど・・・)
園舎から門までは70メートルは軽くある
そこから送り迎えの車はさらに100メートルは軽くある駐車場に止めなければならない
私は長男はここの駐車場まで私を捜しに来たのだと思っていた
でも長男はさらに、家を目指して歩いたらしい
道路を横切ることなく歩道を歩いていたらしく随分歩いたようだった

そして長男は家につくと、私にミニカーを見せて、「これに乗った」と言う
私は少しずつ事の重大さに気付いて体が震えてきた

その後、幼稚園に電話をして詳しい話を聞いた
私が帰ってしばらくは遊具で遊んでいたのだが、1時間ほどで幼稚園を抜け出したようだ
幸い、大きな道を歩いていたときに、道路沿いのお店の方が不審な幼稚園児を見つけて幼稚園に電話をしてきたそうだ
その電話をうけて先生二人がお店に走ったらしいのだが、どうやら行き違いに長男は父兄の方の車に乗せてもらって幼稚園に帰ってきたらしい
結局乗せていただいた父兄の方が誰だったのかはまだ解っていない

しかし無事でよかったと思った
事故や誘拐に合わなくて良かった
ちなみに、その日の10時過ぎ頃に通った救急車の事を長男に聞くと、救急車を見たらしい
それはその時はもうすでに歩いていたということを意味していた・・・

それから2,3日は、迎えに行く道中で長男が歩いていないか目を皿のようにして車を走らせた母でありました



長男の脱走は私にとってとてもショックだった
長男は公園などでは私が見えなくなっても平気だったし、友達の家に預けたことだってあったけど大丈夫だった
一足早く別のところに入園した友達はみんな喜んで通っていると聞いていたし、体験入園でも広い園庭を探し回ってやっと見つけた程遊び回っていた
でもそれは私の考えが甘かったのだ
私がどこかにいると思っているのと、家に帰ってしまったというのは全くの別問題だったのだ

泣いている我が子を見たとき、こんなに嫌がっているのなら今日持ってきた入園費は渡すのやめようかと一瞬思った(笑)
でも幼稚園は通わなくてはならないのだ どうしても・・・
それが逆に救いではあった  長男と一緒に頑張るしかないと思えた

次の日とその次の日は、先生がよく遊んでくれたらしく、行くとも行かないとも言わずに黙って行った
そして事件から3日後、朝送っていく車の中で長男は突然泣きそうになって私に、「ママもいっぱい遊んでいって」 と何度も繰り返した
私が朝いつも長男に「今日もいっぱい遊んでくるんだよ」と言っていたので、「ママも一緒に」と言いたかったのだろう
私は泣きそうになりながら園庭に入っていき、長男をおいて帰ろうとしたとたんに裸足で追いかけてきた
「帰っちゃダメ」 と泣いて私に抱きついて離れなくなってしまった
担任の先生がそれに気づき、連れて行こうとしたものの長男は私にしがみついて離れない
先生は私に「お母さん、大丈夫ですから帰ってください」と言ったけど、脱走事件を起こした長男を納得しないまま置いていけるわけがない
20分ほどその状態が続いた後、先生が無理矢理引き離してやっと私は帰ることになった
背中に長男の泣き叫ぶ声を聞きながら、私もうるうるしながら家路についた

そして11時、少し早いけど迎えに行くと、長男はもう遊んでいた
あれからしばらくの間先生の胸で泣きじゃくった後、突然ケロッとして遊び始めたらしい

また次の日の朝、長男は泣きわめき、園服を着せては脱ぎ、大変な思いで送っていった
すると、驚いたことに園庭に入ったとたんにスタスタと私から離れて教室に小走りで行ったのだ

こんな状態のまま、日曜日を迎え、月曜日からは早くも通常の15時までになった
私は心配で園長先生に相談した
「うちの子は気が小さいですし、まだお友達の中にも入っていけないんです」と言う私に園長先生はすかさず、「お母さん、気が小さかったら幼稚園を抜け出して帰ろうなんて思いませんよ(笑) しっかりしていて賢いからですよ」 と言った  
ちょっと赤面(笑) 園長先生の言葉は有り難かった

そしてそれから二週間が過ぎ、今ではすっかり喜んで幼稚園に通っている
ちゃんと自分で園服に着替えるようにもなった
慣れたら慣れたで今度は言うことを聞かなくなってきたらしく、また別の意味で先生方にはご迷惑をかけているようだ(汗)

私は長男の入園拒否をきっと一生忘れないだろう
毎日が憂鬱で、「明日も行くって言うかなぁ」「今日も行くって言うかなぁ」と、胃が痛くなって食欲もなくなりおかげで体重が少し減った
すんなりなじめた子供を持つ親には多分このつらさは全部は伝わらないかもしれない
最近やっといい経験をしたと笑って話せるようになりました