「特急小江戸号連続殺人事件」


第三回


著者:りぃん



           「おいおい・・・」
            俺は力なく呟いた。いくらなんでもこれは無いだろう?俺が何をしたって言うんだ。
            俺は京子との愛の為に鍵を取りに行くだけなんだぜ。もしやこれは神が俺の愛を試し
            てるのか?だとしたらお門違いだ。
            「おれはそこまであいつを愛してなんかいやしない!」
           (なんですってぇー!!!!?)
            びびくぅっ!?
            空耳か?このすさまじいまでの悪寒はなんだ?京子か?そうだ、京子に違いない!
            いつの間にここまでの力(サイコパス)を身につけていたのか。
            只者ではない。俺もうかうかとはしていられないな。
            ひょっとして俺の愛を試しているのは神じゃなくて京子か?だとしたら悪質もいいところだ。
            そうじゃないことを祈ろう。

            「冗談だよ、ハニー。俺は誰よりも君を愛しているさ。」

            これはたぶん本当だ。俺以外にあいつを愛しているヤツなんかいるものか。
            いるとすれば両親くらいだろう。

            おっと、いつまでも京子と遊んではいられない。
            この現実をどうするかを考えないとな。

            おれは現実を見やった。

            さっきの男に引き続き本日二人目の死体はもうなにも映さない瞳で俺のほうをじっと
            見ていた。イイ女に見つめられるのは嫌いじゃない、いつもならな。生憎と死体は守備範囲外だ。
            
            そういえばさっきの男もこんな風に俺を見ていたな・・・。

            小江戸号に乗り込んだ俺の前には1人の男が背を向けて立ちふさがっていた。
            その”さっきの男”は唐突に俺のほうに倒れかかって来たのだ!

            非常識もいいところだ。俺は鍛え上げた肉体が誇る、素敵な反射神経で倒れ掛かってくる男を避けた。
            ・・・はずだったのだが車内は予想以上に狭く、俺は男だけでなく壁とまでスキンシップをとる羽目になってしまった。
            
            ゴンッ
            「っ痛・・・」 
            どうやら頭をぶつけたらしい。痛いじゃないか。
            それにしてもこの男はなんなんだ?倒れても声一つあげやしない。何でできてるんだ?
            
            「もしもし?大丈夫ですか?」
            親切にも声をかける俺。・・・返事が無いな・・・。礼儀知らずはこれだからイヤだ。
            ん〜、でも血も流していたし・・・ヤバイのか?ひょっとして。
            恐る恐る男の身体に触ってみる。
            ・・・だいたい20分といったところか?出来立てほやほやってヤツだ。

            ん?なんでわかるのかって?そりゃあ・・・・なんでだろう?俺に宿る七つの超能力のひとつだったりして。

            でも何だってこんなところで・・・もっと違うところで死んでくれればいいものを。
            他人に面倒をかけるやつは嫌いだ。

            しかし放っておくわけにもいかない。死因は頭部への打撲。ということは殺人ってことになる。犯人は!?
            とっさに周りを見渡すがこれといって怪しいやつはいない。
            当たり前と言えば当たり前のような気もする。犯人がいつまでもその辺で見ているわけは無い。
            
            (とりあえず警察かなんかに連絡すべきか?でもこれって俺が1番疑われるような;)
            ・・・・・・。(ちょっと考え中  約0.5秒)
            
            国家権力なんかに頼っているひまは無い。俺には俺のなすべきことがあるんだ。
            決断は割と早かった。

            そうと決まれば長居は無用だろう。いつ誰が気づくとも限らない。これ以上の面倒はごめんだ。
            とりあえず死体を適当な場所に隠して、俺は別の車両にでも行ってしまうのが良いだろう。
            全くこれじゃあまるで犯人じゃないか。やっぱり大人しく通報しようか?
            だが取調べやら何やらで車のキーが調達できなくなるかもしれない。
            
            「そんな危ない橋は渡れないな」
            その通りだ。今は鍵をGETするのが最重要事項だ。他人(それもはた迷惑な)の生き死になんかに興味は無い。
            というわけで見知らぬ死体には手近なトイレで我慢してもらうことにした。

        

「うむ,死体にはトイレがよく似合う。」

男はうつろな目を俺のほうに向けている。 「ごめんな」 なんとなくそう言って俺は隣の車両に行く事にした。 「ふぅ・・・」 やっと一息尽くことができた。っ、気が緩んだら生理現象が自己主張してきた。 さっきのトイレはやっぱちょっとななので違うトイレにでも行くか。 「でもそのうち見つかるよなぁ,さっきのアレ」 もっと遠い車両に移るべきかなぁ、と思いながらトイレのドアを空けて俺は女を見付けた。 「っ、すみませんっ」 俺は謝りの言葉を発しドアを閉めようとしたが女は何の反応も示さない。 「?」 よくよく見ると女はトイレの床に座り込んでいるじゃあないか。しかも壁に寄りかかっている。 いや〜な予感が脳を走る。 「あの・・・どうかしたんですか?」 女の身体に触ろうとしたとき列車が大きく揺れ、女は力なく倒れた。女と目が合った。 ・・・何も言う事は無い。女は死んでいた。

第4回に続く