2001.12.10〜20

 ーご主人様に一方的に命令していただく期間でした…

 初めてメールをしてからもう一週間が過ぎようとしていた。
 加代は毎朝起きると必ずけんにメールを入れた。
 ある時は普通の話をしてくれたし、ある時はメールで調教された。一昨日には大人の玩具屋でバイブや縄、蝋燭などを買いに行かされた。店に入る時はさすがに何度もためらい店の前を何度も往復した。激しい胸の鼓動と同時に部屋に入るとそこには棚に飾られた数々のバイブが置いてあった。加代は何かあった時のためにと夫が置いて行ってくれたお金を使って、次々に道具を買い揃えた。
 (まだ会うのは恐いけど、こうやってバイブとか買っているのって後々使ってもらいたいってことなのかな…?)
 加代は自宅の青いソファーでいつもの紅茶を飲みながらそう思った。それは加代の中で目覚め始めた欲望であった。
 そう思いながら紅茶を一すすりすると、脇に置いてあった茶色のハンドバックの中からメールの着信音が鳴り響く。けんに違いない。
 (今日は何をしてくれるのかしら…)
 最近の加代はけんからのメールを心待ちにしていた。毎日違う命令を送ってくれるから、飽きもしなく、次から次へと命令をこなしていた。自分の知らない世界へどんどん進んでいっているようであり,加代は冒険心をくすぐられながら全てこなしていた。

 こんにちは
 昨日命令しておいたバイブと浣腸は買っておいたかな?
 カーテンを全開にして裸になりなさい。
 四つん這いになって浣腸を注入しなさい。
 そして、漏れてこないようにバイブで栓をしておきなさい。
 初めてだから辛いかも知れないけど頑張って耐えな!
 うんちがしたくてしょうがなくなったらまたメールしなさい。

 加代のアナルはまだ未開発だった。しかし、興味はあった。
 加代は言われた通りにカーテンを全開にした。
 もはや加代にはけんからの命令をその通りに実行することに抵抗はなくなっていた。
 太陽の光がまぶしくじゅうたんを照らす…。
 加代は陽だまりに身をあずけながら、言われた通り服を一枚、また一枚と脱ぎ始めた。けんの調教は必ずカーテンを開けて行われた。事実、加代も誰かに見られているかもしれないという恐怖心と恥辱感に興奮を感じていた。
 加代は近所の薬局の茶色い紙袋から浣腸の箱をを取り出した。これを買うときは薬局の人に心の内を覗かれているような気がしてさすがの加代も緊張したのだった。箱を開けて中身を取り出す。加代は今まで浣腸を使ったことはなかった。しかし、どんなものかということぐらいの知識は持ち合わせていた。これをプレイに使うことなんておぞましいと今までの加代は思ったに違いない。しかし今まじまじとその物体を見るとそれすらもいとおしくなっていた。
 命令通り浣腸を手に四つん這いになる。初めて経験することに手は冷たくなり、心臓の鼓動は隠しきれない緊張を告げていた。ドキドキが止まらない。
 (あなた…私はついに…浣腸までしてしまいます…)
 忘れていたはずの夫の顔が脳裏をかすめる。その強い背徳感に加代は頭がふらふらになっていた。
 肛門括約筋の力を出来るだけ弱める。浣腸を肛門にそっと引き寄せ、勇気を振り絞って挿入する。そしてついに、加代は浣腸をはさんでいる親指と人差し指に力を入れた…

 ちゅ、ちゅ、ちゅー

 加代にはその音がはっきり聞こえた。淫靡な音が加代の恥辱感をさらに倍増させる。同時に激しい疼痛が加代の下腹部をを襲った。冷汗が体中の汗腺から出ている感じがした。
 (もう…おトイレに…行きたい…。でもまだご命令が…)
 バイブである。メールに書いてあった栓をしなくては、加代はその言葉を思い出していた。先日大人の玩具屋で買ったアナル用のバイブを取り出し、先程浣腸を挿入した地点までおびき寄せる。
 そして、ニュルという音と同時にそのバイブはいとも簡単に加代の体内に侵入してきた。さっきからお腹の痛みは増すばかりである。加代はもうこれ以上耐えられないと思いながらメールを打つ。

 ご命令通り浣腸をしてバイブで栓をしました。

 しかし、返事はなかなか返って来なかった。加代は全身が熱くなるのを感じた。時間が経つのが異様に遅い。一秒また一秒と経っているはずなのに、加代はその痛みにいつ解放されるのだろうかと不安になっていた。
 太陽は相変わらず照らし続けている部屋に加代は裸で転がっていた。もう浣腸をしてから10分近く経っている。加代はけんの命令に従おうと歯を食いしばって耐えていた。もうこれ以上耐えられないと思った直後、携帯が鳴った。

 よく耐えたね。
 もうトイレに行って良いよ。

 加代はほっとすると同時にトイレに駆け込もうとした。しかし、無理に動こうとすると下腹部に力が入って漏れそうになる。
 加代はゆっくりゆっくり動き出した。トイレまでがやけに遠く感じる…。
 肛門括約筋に神経が集中する。
 (もうだめ…)

 加代は一歩一歩とトイレに向かう。トイレのドアノブに手が届きそうになった次の瞬間、加代の下腹部を猛烈な痛みが襲ってきた。
 加代の肛門括約筋は既に限界を告げていた。廊下に便を垂れ流す自分の姿が脳裏をかすめる。冷や汗が頬を伝って零れ落ちた。
 (ここのドアを開ければこの痛みから開放されるのに…)
 一歩でも動けば肛門から便が漏れ出そうである。
 しかし加代はこの便意が周期性を持っていることを知っていた。
 加代は便意が引いた頃を見計らってトイレに駆け込んだ…。
  加代は急いでトイレに駆け込むと我を忘れて便器に座った。
 急いでバイブを抜く。

 にゅる…

 次の瞬間、もの凄い勢いで肛門から内容物がこぼれ出した。滝のように便が流れていくのが分かる。
 ほっとすると同時に、何かが加代の中で変わるのが分かった。

 (あれ…気持ちいい…)

 それは我慢していた便を出すことが出来たからではない。何かが違うのである。しかし、それが何であるかは加代には分からなかった。体の奥でくすぶっていた思いが便と同じように急に出てきたような気がする。
 (何なんだろう…)
 加代は戸惑った。今まで味わったことのない開放感と充実感で満たされていた。
 (こんな思いは初めてだわ…)
 加代が何かが変わった瞬間であった…。

 加代はしばらく放心状態のまま便器に座っていた。しかし、はっと思い出したように急いで事を済まし、トイレを後にした。妙に外の空気が涼しく感じる。今までとは何かが変わっている。見なれた台所やテーブル、ましてやさっきまで飲んでいた紅茶のマグカップさえ今までとは違って見えていた。
 ソファーに座って携帯を取る。加代にはもう躊躇はなかった。メールに一言、

 会いたいです

 と、書いた。ここ何日か加代は誰とも会話をしていない。たまにかかってくるセールスの電話以外は口から声が発せられたことはなかった。

 (けん様に会いたい。)

 それは加代が自然に感じたことである。もう加代には自慰行為では満足できなくなってしまったのである。
 携帯が鳴る。加代は少し緊張したおもむきで携帯を手にした。

 会いたいといってくれるのは非常にうれしい。
 でも、加代は本当に心から会いたいと言っているのかよく分からない。
 加代はだんなと離れ離れになって寂しいだけじゃないのか?
 私の奴隷に本当になりたいの?
 後で後悔はしない?
 少し落ち着いて考えなさい。
 もし加代がもう本気で会うこと以外考えられないというなら
 その旨メールしてくれ!
 それだったら会ってもいいから。

 もはや加代には考える余地すら残っていなかった。
 すぐに返信のボタンを押した。

 会ってください。
 今のままだと気が狂いそうです
 けんさまに会って頂いて直接調教していただきたいです。
 お願いします。
 会ってください。

 加代はすでに心まで調教されていたのだった...。
   


©Chris
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