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■ 女盗賊プーラン 著:プーラン.デヴィ 訳:武者圭子 草思社 1600円×上下 1999.4.12
社会背景に圧倒された。教育もしかり。カーストの中に別のカーストに尽くす ために生まれてきたという階層があると知ってうなりましたね。 日本の身分社会とは違って、宗教だもの。絶対に動かすことが出来ないと 信じられている身分。神様がそういう目的で私たちを創られたなどとは。。 その理不尽さにあきらめではなく怒りを持ったがために盗賊になる運命を 辿ったとは、うなるしかない。TVで来日した本人を見たことがありますが (勿論本人の側からしか描いてないので多分に美化しているところもある とは思うけど)自分の当たり前が当たり前でない社会がここに厳然として あることに気付かされましたね。

カースト階級制度、あまりにも悲惨だった。 階級制度と闘うことをあきらめて自分の娘をも守れない父親にプーランは完全に失望し、 自分の為に闘ってくれるヴィクラムに強く惹かれて結婚するが そのヴィクラムが上級カーストのタクールに殺されてしまう。 どう考えても不注意としか思えない殺され方をする。 プーランも納得していないはず。 あのきびしい盗賊の世界で背後から狙って撃ってくるようなやつを そのまま身辺にうろうろさせておくなんて考えられない。 殺される前に殺してしまうチャンスはいくらでもあったはず。 竜馬やジョンレノンが殺されたときと同じようなやるせなさを感じた。 ヴィクラムの場合、充分身の危険を感じていながら、 しみついた階級意識に阻まれて上級のタクールに刃向かえなかったのではないだろうか。 娘を守れなかった父親と同じ弱点をヴィクラムも持っていたとしか考えられない。 11歳で嫁がされたプーランが夫である男にレイプされるとき 未成熟を理由に切り裂かれそうになる。 寸前のところで最悪の事態は免れられたが、 ここを読んだときトリイヘイデンのシーラを思い出した。 シーラは本当に切り裂かれて腸に達するような大怪我をする。 何度思い出しても胸がえぐられる。

■ とんでもない母親と情けない男の国日本  マークス寿子著 草思社 1500円+税 1999.3.31
今の不況を消費を煽るかたちで乗り切ることにはずっと疑問を感じていた。 日本人の横並び意識もみっともないと思っていた。 学歴偏重の価値観も狂っていると思っていた。 私のあれこれの疑問に一気に答えてくれて、 私の気持ちを代弁してくれる小気味良い本だった。 しかし、後半はただのイギリスかぶれが書いたとしか思えないような文章になっていく。 前半で頑張りすぎて後半で疲れたのかな、ちょっともったいない。

マークス読んだ。まあ、比較するのがほぼイギリスとばっかしで、 大勢のイギリス人のように中華思想があるからねぇ、 でもフランスもアメリカも中国も中華思想があるからねえ。 ただ、考え方の基本を豊な母国語でしっかりとっていうのはその通りだと思うよ。 会社でも英語英語ってなってるけど、基本は「何をしゃべるか」につきるもんね。 「親の責任」にも考えさせられた。 どんな小さなことでもすべて政治的に考えていた過去があるんで、 自分の責任をやっと考えられるようになったところだからね。 子どもたちが小さかったときには、 それこそ全てが自分の責任外のこととしてたから。

■ 母に襁褓をあてるとき  舛添要一著 中央公論社 1200円+税 
これは、介護問題をめぐる骨肉の争いがすごい。 守銭奴の長姉、凶暴な義兄など役者がそろっている。 それに本人の3度目の結婚ありで、にぎやかだった。 介護に関してはたいていの人がまったくの初心者で 手探りで対処をせざるを得ないが、 公共の施設を信用できないことが、 それをよけい難しくしているということがよくわかった。人ごとではない。 お母さんを施設に入れるとき すべての持ち物にマジックで名前を書きながら舛添さんが涙するところがある。 ここでは、思わずもらい泣きした。

「由緒正しき中高年」としては避けて通れない問題として読んだ。
具体的に書かれているのでよくわかるが、本人も何度も断っているように 普通のサラリーマンだとまず金銭的に破綻してしまうのが現状であり、 それを避けるために「無料の看護婦」として娘や嫁が犠牲にならざるを えないシステムというのがよくわかった。
だからどうやってどういうシステムに換えていけばいいのかを真面目に 考えるための提案書といったかたちですね。とはいえ、本著の中にも あるように「保険あってサービスなき」介護保険制度が国会を通過しましたね。
「中高年」はサービス(すごい負担をしてもこんな介護しかうけられない 実態の施設も書かれているが)も受けられないかもしれないのにまたまた 毎月負担していくのね。。
しかも現在の負担率よりもっとひどい負担になるという試算もされていて (著者の場合)ため息が出た。。
でも、一気に読み上げてしまった。


■ それでも少年を罰しますか  野口善國著 共同通信社 
すごい本だね。 家庭の崩壊がアメリカでも問題になってるけど 日本でもおしてしるべしだよね。 「普通の家庭」って何だろうと思うよ。 会社の中でも歴然とした階級社会だから、 階級を超えた人間関係をつくるのは 奇跡に近いのに、その世界に没入して 生活してるもんね。 ほんとに愛情が子どもたちに充分なのかどうか不安になる。 子どもを持ってはじめて 「失うのが怖い」と思う存在ができたとは思うけど、 それが果たして子どもに伝わっているか、 いや、自分自身を自分で大切にしているかって疑問です。 自分自身をおいといては子育てなんてできないもんね。 「こころの豊かさ」っていうのはどれだけ楽しくこころやすらぐ 思い出を持っているかだっていうのがあったけど、 ほんとだね〜って思いました。 「過程が大事」っていうのってこういうことなんだろうなぁ。  

あんな残忍なやつをどうして弁護する? 少年だからといって罰を受けないのはおかしいじゃないか・・・・・ 受け入れ易い論調に多数の人が同調し、集団ヒステリー状態になる中で 野口さんは仕事を失いながらもその矢面に立つ。 最初はなんだか、偶然その少年の弁護を請け負ったような書き方がされているが 読んでいるうちに 少年は必ず更正させることが出来るという信念に基づいていることが だんだん伝わってくる。信念なくして出来る仕事ではない。

■ 五体不満足       乙武洋匡著 講談社 1000円
「五体不満足」確かに泣きました。が・・・。この手(どの手?)の本は時々読んでるつもり だけど、だいたい最初から最後まで泣きっぱなしって事が多いんだけど、この本は違った。 途中、重度の身体障害者だという事を忘れて読んでました。ただの自叙伝みたいな感覚で! しかし、全て本当なんだろうか・・・。苦しんだり、悩んだりがあまりなかったのだろうか・・・。 あまりにも、周りの環境が良すぎて、整いすぎて。本当だったらこの人は本当に恵まれた人だと 思うよ。まぁ、親の感覚というか、育て方が良かったんだろうね。 えらい! の一言。

4ページ読んだら泣くと言われて薦められた。 そんなはずはないと思いながら読み始めたが、予告通り泣いてしまった。 その4ページ目というのが四肢欠損の我が子とお母さんが初めて対面するシーンである。 立ち直れないくらいのショックを受けるはずのお母さんは周囲の予想を裏切って 「まあ、かわいい」と言う。ここでウルウルっときてしまった。
あとはもうボロボロ。いったんゆるんだ涙腺は歯止めがきかない。 乙武くんが様々な障壁に立ち向かい、 一生懸命頑張って克服したときには感動の涙、 どう頑張ってもダメなときには、 乙武くんの悔し涙にもらい泣きする。とにかく鼻水と涙でグチャグチャになる。
前向きで、頑張り屋の彼を育て上げたお母さんが良い。 むすこが旅行に出かけると言えば、これ幸いと香港旅行に出かけてしまう。 やくざに親切にされて名詞をもらったといえば 「あの人達は、詰めたとしても指だけでしょ。あなたは全身詰めているんだから敬意を払われて当然よ」という。 この親にしてこの子ありという感じである。
あのお母さんはいったいどんな親に育てられたのだろうか? 今度はお母さんに自叙伝を出版してもらいたい。