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■ 本当は恐ろしいグリム童話  著:桐生操 発行所KKベストセラーズ 1500円×上下 1999.7.7
題名を正確におもいだせないほど、どうでもいい本でしたね。 一作品だけでいいやってかんじ。はじめの「白雪姫」だけでどのような 観点からグリム童話を読んでいるかがわかっちゃうので、一冊にするまでも ない。なんで売れてるんだろう。体裁のいいソフトえっち本だからかなあ。 「童話」や「昔話」って、なんかこころに残っていくから時代に淘汰されない はずなのに、中世の残酷さばっかり強調されているので物語の本質がない。 時代によって味付けは変わってきても、人生の教訓とか正しいもの、美しい もの、哀れなものっていう人間の本質が感じられないと伝承されないはずなのに その本質ではなくて、ティーンエイジャーが読む(それも質の悪い)マンガ みたいでしたね。 つまり、こんな素朴な物語がグリムによってこんなに恐ろしく変質してしまった とか、実はキリスト教の教えをひろめるためにことさら恐ろしい物語をオブラー ドに包んで発表したくらいのことが書いてあるのかと思ったのに、それもなし。

ベストセラーだからといって飛びついたのが間違いだったなぁ。 童話文に秘められた真実などというのでどんな言い伝えや教訓が隠されているのかと 期待して読んだが、白雪姫をはじめとしておおかたの登場人物が 実は色情狂だったとか、変質者だったというワンパターン。 あれでも、次は違う結末が待っているんじゃないかと期待して裏切られて終わりだった。 しかし、童話の主人公はほとんどが王様やお姫様など、時の権力者。 権力者には変質者が多いのであのワンパターンは仕方ないのかも知れない。 一昔前だったらヒトラー、スターリン、 つい最近だったらポルポト、ミロシェビッチ、 かなり確率が高い。

■ 女たちのジハード  著:篠田節子 集英社 2050円 1999.7.15
「女たちのジハード」は面白くて一気に読みました。 OLたちの生活が書かれてるんだけど、それが実にリアルで、女性の生き方と 現在日本で普通と思われている結婚やOL生活があわなくなってきていること を如実に感じさせてくれます。昨夜TVで「ブレイク ワイフ」というのを 見ましたが、それと根はひとつだっていう気がしました。「ブレイク ワイフ」 とは傍目には幸せな専業主婦たち。個人として認識されず「だれだれちゃんの お母さん」とか「だれだれの奥さん」になってしまったときの自己喪失感が とても深く、それがパートナーであるはずのダンナには伝わらない。壊れて いくんです、家族も自分も。OLも或る意味それと同じ。会社の中で「奥さん」 を割り当てられる。仕事もしたいけど幸せな結婚もしたい、男にとっては 当たり前のこんなことが、今の日本ではほんとに大変だっていうことがよくわ かる。自己実現しようとしたらOLじゃ無理なのね〜っていうことですね。

女たちのジハード、結局半日で読み上げてしまった。 身の回りにころがっていそうな話ではあるけど、 留学したり空を飛んだり、事業を興したり、 ちょっと普通の人には真似が出来ないなと思った。 結局女性は、職場で納得のいく仕事が出来ないし評価ももらえない、 結婚も思うような相手とのめぐり合いがない、 なんか自分が生きていることの証明が出来るようなことを しでかしてみたいという気持はとてもよくわかる。 しかし、たいていはあの本にあるような たいそうなことは出来ないままズルズルとくすぶり続けるんだよね。

すべてが危険と隣り合わせで、安定とセットで手に入れるわけにはいかないものなんだなと思いながら読んだ。最終的にはあの主人公はあのトマト青年と結婚して安定も手に入れるんだろうけど、こんな真似の出来る人は希ですね。

実際に香港なんかに転職していった独身女性って多いよね。日本の企業では限界が見えてるし、かといって結婚してないから基盤がないし。思い切ったことができるってことかも。身近にも会社をやめてアメリカや中国に留学した子たちも知ってる。結婚有無よりも、子どもがいるかいないかが大きな違いとなるみたい。自分の人生として考えると、思い切ったことでもやらないと今のままじゃ若さも能力も吸い取られてしまいそうな恐怖感って切実だと思うよ。ちょっと前迄は、そうはいっても結婚して子どもを産むんだろうなあっていうのがあったけど、今は結婚自体が結構大きなマイナスイメージがあるもんね。だから、ジハード読んだときにOLのままじゃ腐ってしまうんだろうなあと。結局自己実現はできないんだってことなんじゃないのかなあ。だから、マンション購入した主人公に、事業を起したりしない人生を描いて欲しかったなって。
■ ハイテク過食症 著:デイヴィッド・シェンク 早川書房 2200円
多すぎる情報がどんな弊害をもたらすか、情報社会に一歩先んじているアメリカならではの問題定義として読んだ。 ネット中毒経験のある私には、アンダーラインを引いて思わず誰かに読ませたくなる箇所がいっぱいあった 。ネット中毒を経験した人には是非読んでもらいたい本だと思う。
ネックはやはりコンピュータの普及とその情報処理能力の向上。 いっくらパソコンの処理能力が向上したとしてもそれを受け入れる人間の能力には限界があるわけで、 売らんかなのパソコン業界ソフトウエア業界がこれでもかこれでもかとアップする処理能力にはついていけない。
これはパソコンだけのことではなく常時流されるTVニュースのことにも触れてある。 情報過多から解放されるにはまずTVを切ろう!そういう運動がアメリカにはあるらしい。 TVを見たらバカになると言って育てられた私にとってはとても納得できる。 たしかにくだらない番組が多すぎるし、くだらない情報が絶え間なく流されてくる。過多は認める。 でも肝心な情報が不足してることもずいぶん気になっている。 自分たちの生活に直接関わること、食品の安全のこと、将来のこと、 政治の成り行き・・・・一番知りたい情報はなかなか手に入らない。