| ■ 「命」著者:柳美里 2000/7 |
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うーん、自分の近くにこんなエキセントリックな女がいたら耐えられ
ないよ。
子ども育てるの、ほんとタイヘンだろうなあって思いながら読んだ。
ある人は死に、ある命は生まれてくるっていう、命の不思議さが際立った
ノンフィクションだけど、実際に子育てって、感情のコントロールが
要求されるからね。
ひとつの命の誕生をあれほど純粋に喜んでくれる魂が近くにあるって、
すごいことだなあって思った。
自分の死を見据えることができるからか、もしくは自分の死がすぐ近く
にあるから余計に誕生を祝福したのか。。
柳美里の生き方そのものが自分の判断を超えているので、圧倒されたっ
ていうのが近いかもね。
子どもを持ったことでどう変わっていくのか、たぶんこれからもその
生き方そのものを文章にしていきそうな作家なので、ある意味楽しみ
です。
あの柳美里が妻ある男性の子供を出産していた。 母親になるようなタイプではなかったのでヘンなかんじがした。 子供の認知や養育費請求のことは妹がやってくれて、 出産の立ち会いや、産後の面倒は昔の恋人が見てくれるという。 しかしその恋人は食道ガンで余命が限られている。 ノンフィクションとは思えないすごい展開だった。 柳美里の母親が、娘の不倫の果ての妊娠を知って 「ざまぁ見ろ」と高笑いするシーンがある。 一見異様な光景に思えて私はここが一番納得できた。 自殺願望の娘が、出産によって 育てるという責任が発生し、勝手には死ねなくなる、 とりあえず、娘が死んでしまう不安から開放された母親が 大喜びするのは当然だと思った。 全体の流れが普通じゃないので、 妙なところで感心してしまった。 新しい生命の誕生と消滅が彼女を中心に起きる。そしてそれは、正と負の方向に同時進行することでもある。 前半は、丈陽(あかちゃん)の父親である彼に対する執着心、囚われから 解放されずもがき苦しむ。その彼女がとても身勝手に感じ、又、環境があまりにも 自分と違いすぎて、理解し難い部分もあったが、女性特有の嫉妬心、確執、こだわりは、共感できるところでもある。 東との奇妙とも思える共同生活も、お互いがお互いを最も必要とし又最も理解しあえる者達だから成り立ったのだろう。 東が癌に冒されなかったら子供は堕胎していただろうと書いている。それは、失うとわかって初めて気付いた東への思いだったのだろう。 何言おう、これはノンフィクションである。彼女自身のプライバシーを赤裸々に描いたものであり、読むものをぐいぐいと引き込む激しく強い文章は、今後の作品にも期待を持たせる。楽しみにしたい。 |
| ■ 乙武レポート 著者:乙武洋匡 講談社 2000/7 |
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乙武君の、ニュースキャスターとしての1年が書かれている。
障害者だからこんなテーマと言われないように、自分の意見を積極的にぶつけて戦っている姿がたくましい。 五体不満足のときは、 障害者というと「マジメで、控えめで、頑張っている人たち」という固定観念に対して 乙武君は、「不マジメで、でしゃばりで、力のはいっていない」 障害者もいるんだよという紹介をしたかっただけだと言っている。 あの本には賛否両論があり、障害者の中には乙武君はきらいだと言う人も出てきた。 障害者の暮らしはあんなにノーテンキなもんではないと。 しかし、彼は障害者の代表になるつもりなんか全然なかったわけで、 ただ、本が売れすぎたことで代表扱いされるようになってしまっただけ。 あくまでも障害者は千差万別で、それぞれ違うんだと彼は言いたい。 3冊目のこの本は、多くの人に与えたかも知れない誤解を解くためでもあったのかもしれない。 |
| ■ 贅沢貧乏のマリア 著者:群ようこ 角川文庫 2000/7 |
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著者はこの本を執筆しながら、
一人で生きるすべを学び取ろうとしているように思えた。
家事労働嫌い、子育て放棄、着飾ること大好き、
辛口の論評、わがまま放題、やりたい放題で、
晩年は一人暮らしをした森茉莉には、
見ていて潔さを感じる。しかし晩年は一人暮らしをして
ボヤ騒動をひきおこす・・・・・
結婚もしていないし子供ももうけていない群ようこが
自分とよく似たタイプの女性から
一人で生きるためのなにかを掴もうとする気持ちはよくわかる。
私も人ごとではない。
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| ■ だからあなたも生きぬいて 著者:大平光代 講談社 2000/7 |
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昨日のうちに読み終えてしまった。
あのいじめの場面がひどくこたえた。
いじめに抗議して割腹自殺を図るが、新聞沙汰になったあとも同じ学校、
同じ担任のもとに返すという無神経ぶりのほうに寒気を覚えたし、
また、その自殺行為すらもさらなるいじめのタネにしてしまう子どもたち
にも寒気を覚えた。 ただ、いじめられる前での善悪の感じ方がしっかりしていたからこそ立ち 直れたような気がする。 それが小学校低学年や、乳幼児期にしっかりした判断が育っていなかった らどうなるんだろうかと考えさせられた。 まわりがどんなにひどくても、だんだん「自分の考え方次第で変わってい く。恨みをもてば必ず数倍になって自分にはねかえってくる」と体験して いく過程には頭が下がった。 だんだんと謙虚になっていく著者の生き方って、本当に教えられることが 多かった。泣きながら読んでしまった。 番長のような女の子が中心になって クラスの特定の子をのけ者にするというイジメの始まり方。 こういうことはよくあるような気がする。 この段階で、周囲の大人がなんとかしてやれなかったのだろうかと思うと 腹が立ってくる。イジメ対処があまりにもずさんで情けない。 その後、無条件で自分を受け入れてくれる場所を求めて はじめは暴走族、果てはヤクザになっていく。しかし そこでも、割腹自殺未遂をした精神的におかしい子ということで 仲間はずれにされてしまう。 暴走族仲間が事故で死んだときには、 「死にたいと思っていたあなたが死ぬべきだった」と言われ、 ここならだいじょうぶと思っていた場所でも ぎくしゃくすることになる。 大平さんとの出逢いが、彼女の立ち直りのきっかけになるが、 司法試験に受かるまで、叱ったり励ましたりして 頑張らせるところは見事だった。 そういう大平さんもいったん 落ちて立ち直った経験の持ち主だという。 多くはこういう出逢いがないままに放置されているんだと思うと 胸が詰まる。 |
| ■ ひとりの女 著者:群ようこ 朝日新聞社 2000/6 |
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45歳、独身。たよりない上司と生意気なマザコン部下との
板ばさみで、キレそうになりながら、たまにホントにキレて、
まわりをビビらせながら生きている。思いっきり突っ張ってるようにみえても
野良猫に話し掛けたり、同僚の女性に本音をさらけ出したりして弱さもたまに見せる。
私が気になった
母親と食事する場面では、
母に持たされた漬物と煮物を、意図的にレストランに置き忘れようとするが、
未遂に終わる。
欲しくもないものをもらうのは迷惑だとわからなくもないが、
やっぱり、バチアタリと言いたい。
しかし、仕方なく家に持帰った料理はタッパに入れて冷蔵庫に保存する。
やっぱり捨ててしまうのは母親に申し訳ないと思ってるんだと
ちょっとほっとする。
母親にもらうと簡単に捨てられないから余計迷惑なんだよね。
なんか重たい、お母さんの手作りの料理って。
45歳の独身女の話で、実によくわかる。 就職して一所懸命やってたら企画が成功して思いがけず課長に昇進。 身長が170センチあるが低いヒールをはくと世間に負けたような気が して、最低でも5cmのヒールをはくし、昼ご飯はひとりでおじさんしか 行かないような定食屋で大盛りの定食を食べる。 ひとりで買ったマンションに住み、結婚した友人からの夫や子どもへの 愚痴も「あなたが自分で選択した人生でしょ」と面とむかって言い、 愚痴話のつきあいならないほうがせいせいするといったキャラクター。 「ふけた」と会社の男性に陰口をたたかれたら、速効でコギャルの ような白髪に(負けたような気がして白髪をなくすような染め方はしない) 染めて会社を闊歩する。 それが実に会社の内部をリアルに描いてておもしろい。 もちろん不安もたくさんあるけど潔い生き方をしてるなって。 世間にけんかをうって生きているけど、芯が通っていて心地よい。 |
| ■ 巨泉 著者:大橋巨泉 講談社 2000/5 |
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わたしは楽しく読めましたね。
自分の人生を設計しつつ生きるって難しいもん。
それを設計図通りにほぼ生きているっていうのが痛快で、そのための腹の括り方も
半端じゃないかんじ。
損得のない立場で言いたいことを言えるっていうのがすごいなあと。
そういう立場でものが言える人が増えればずいぶん世の中変わっていくんじゃない
かなって。
自分は到底早めのリタイア生活なんて夢のまた夢って生活してるけど、人生の
後半を、せめてつつましくしていれば安心してゆったり過ごせる生活が展望できる
世の中になればいいなあとためいきつきつつ読みましたね。
ただ、あの人はいつでも自分のやりたいことがはっきりしている。
模索している人が多い中でね。 早めにリタイアをし、冬はオセアニア夏はカナダでという夢のような 生活、普通の人にこんな事が出来るとはまったく思っていない。 ただ、どこにも所属せず誰にも拘束されない著者が、 書きたい放題書いている本を読んで、スカッとしたかった。 ほぼ、気持ち良く読めたが、著者があまりにも多才で 何をやっても人並み以上、プロ並にこなすので、その様子を つぎからつぎへと並べ立てているところでは、 目が回って車酔いのような状態になった。 ジャズ、俳句、将棋、ボーリング、語学、ゴルフ、商売・・・・である。 私が、なんでも出来る人よりは これしかできないといった不器用な人のほうが好きだから 受け付けなかったのかも知れない。 (参考) 「好きに生きる為の優先順位」 @まず健康(そのため禁煙) A良きパートナー(妻) B複数の趣味 C財政的裏付け(持家) ・・・・これって結構難しいかも。 |