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■ 奇跡の海
監督/ラース・フォン・トリアー 出演/エミリー・ワトソン ステラン・スカルス 
現題/Breaking the Waves 1996年
  ヤンとベスのようにどちらか片方に少し精神的に障害のあると思われるような人の恋愛はよく物語になる。 この「奇跡の海」は女性のベスが精神科のお世話になるような人である。 「チャタレイ婦人の恋人」になる庭師、「ピアノレッスン」ではきこり、 これらはいずれも教育の足りていないような寡黙な男達、智恵子抄の智恵子もそうである。 もし恋愛するに当たって資格や適性があるとしたら。 ベスはまったくその条件を満たしている。余計なことにとらわれす、 一心不乱にヤンに思いを馳せることが出来る。最後には相手のために自分の命を投げ出してしまう。 映画の最後、ストレッチャーに載せられたベスの死体が映し出されるシーンは、胸がえぐられる。 タイトルを奇跡としたからには、ヤンだけでなくベスも奇跡で救って欲しい。 ヤンが奇跡的に助かることでさえウソっぽくて作り話しくさいのだから ついでにベスを助けてハッピーエンドにしてもなんら問題ないはずだ!! それくらいベスは可愛くていじらしい。
8章に分割されたこの映画は章の区切りにすごい曲を使っている。 記憶にある限りでは、8曲とも60年代後半から70年代前半に大ヒットした曲である 。私の大好きなプロコルハルムの「青い影」が流れたときは、「ずるい」とさえ思った。 この試され済みの名曲がウケないわけがない。 安っぽいシンセサイザーとボーカルだけのシンプルなこの曲はいつ聞いても感動する。


今、奇跡の海が終わったところで、まだ外は 暗いですが、朝の時間になってしまいました。 結構長い映画なんですね。 見終わって一言いうとすると 宗教映画だなぁ って感じです。 日頃聴いているバッハの曲や 教会音楽の印象からすると、あまり飾り立てない 素朴な感じで、その辺りが新鮮な印象を与えて、 心をひき付ける要素かなと思いました。 特にセックスシーンにまったく着色が無い感じで 見る人と同じ高さに合わせてあって 自然なものという印象でした。 ベスが分裂病じゃないかとずーと思わせておいて 実は・・・といった構成が、それと教会の長老たちの言葉との対峙が、 ヨーロッパの中世の感覚を思い起こさせて 良く出来た映画という感じです。 それにしても、途中ベスが精神科医を誘惑して いるシーンがありましたが、見てるとき身近に感じたのは わたしが変だからなのかなぁ と思ってしまいました。 精神科医がベスの誘惑に負けていたら、 この映画はめちゃくちゃエッチになっていますね。 半分近く負けてたけどね・・・ 面白かったです!

■ 妻の恋人、夫の愛人
夫に浮気をそそのかされた妻のお気に入りCDはドヴォルザーク。 サックスのきれいなメロディは何度か耳にしたことがあるが、タイトルがわからない(涙) 浮気に目覚めて強かに変身する女が逞しい。

あの映画を見ているとき、妻と彼女を重ねて見てました。 彼女の場合は、きっと性生活が原因だと思いますが、 閉塞感に満ちてる感じしたね。 それがあのプレーボーイと 良い仲になって、その閉塞感が消えたと言う感じですね。 それにしてもあいつは殺されても同情の余地がないほど悪いやつで、 石でもぶつけたくなる感じです。 打算的なのが嫌いです。 そんなやつですから 相手を取り替える(新しいのを見つける でしたっけ ?) というせりふは、納得がいく感じでした。
あの妻は、したたかと言いましたが、 それはちょっと適切ではなくて、 必然的というか成り行きにまかせて ああなった という感じです。 良く考えたら、ごく普通の妻だと思っています。 ただ脚本家になれたいうことが、体裁をよくしてるだけですね。 基本はやっぱり性に関係してる事柄ですね。
それにしても、質素で貞淑な妻が、 あのように生き生きとして来るというのはすごいですね。 閉塞感とまでいかなくても倦怠感というのは、 いっぱん的にどこにでも あることなので、最近の不倫ブームはよく分かる気がしました。
最後の方の場面で、夫が一人の写真になって妻のは恋人と一緒 というのは、 寂しい限りです。それに最後の場面も。
彼女も閉塞感のかたまりみたいな感じだったから、 今の状況は、あの映画と照らし合わせてみてもとても理解出来るわけです。

あの妻をそそのかす役を演じているジョン、ボンジョビですが、 彼は、私にとってはただのミュージシャンではないのです。 彼のライブビデオは繰り返し見ていますが、 ステージから、「大統領選挙には行こうよ」と呼びかけたり、 阪神大震災のときには、真っ先に来日してチャリティコンサートを開いたり、 きちんと社会的責任を果たしている人であり、人格者、好青年なのです。
映画での役柄は、たしかに2人の女性を手玉に取る悪役として登場しますが、 私にはどうしても悪者に見えないんですね。 最後まで、何かの間違いだろうとしか思えませんでした。
悪者扱いするとすれば、彼にあんな役を演じさせた監督ですね。 こうなってしまうから、音楽やる人が映画に出るのは、あまり好きではありません。
昔、山口百恵が伊豆の踊り子に出演したと思いますが、 あれと一緒ですね。作品の登場人物のイメージより、 タレントのイメージの方が勝ってしまって、作品の持ち味を殺してしまうことになります。
しかし、ジョン.ボンジョビは、この映画で演技力を高く評価されたということなので ファンの私にとっては、喜ばしいことではあるのですが・・・・・