ベイカーとペイトン、ディナー・パーティを演出
ワインとミネラル・ウォーターがふるまわれ、果物をのせた皿が配られるまでに、
まず1台目のビデオカメラのスイッチが入り、さらに2台目のカメラがオンになった。そしてさらに2台のスチールカメラが続く。
携帯電話2台が使われる中、テレビカメラはそのシーンを写していた。
これらはクライドヒルに住むマーク・メイハンさんと夫人のニッキーさんの家で水曜の夜のディナーがいつもとは少し違ったものになる始まりだった。
始まりはドアをノックする音だった。これはソニックスのテレビ・コマーシャル『ソニックスが家にやってくる』というシリーズの最初のものだ。
まずやって来たのはソニックスのパワーフォワード、ビン・ベーカー。さらにつづいて、ミルウォーキーでの元チームメート、トッド・デイ。
いっしょにいるのは側近のマーロン・トゥーン、マイク・ボンド。それから15分後、またドアをノックする音。急ぎ足でゲーリー・ペイトンと
彼のボディーガード、トレバー・ポープとマーティ・ホワイトがやって来た。
9月にオークションでこの日の夕食を落札したとき、オールスターにも出場したソニックスのスター2人との親密なディナーを買ったのだと
マーク・メイハンさんが思ったのだとしても、他のことも考えただろう。お金を出して、NBAの一員になるのだと。NBAでは、すべてが演出なのだ。
その日の夜のディナーもそのようだった。
メニューは、カニを詰めたロブスター、バーベキュー・ステーキ、サラダ、前菜のエビ、そして果物。シェフはビン・ベーカー。
ウェイターにゲーリー・ペイトン。そして気になるお値段は17,000ドル(約200万円)なり。
マーク・メイハンさんと、さらに彼といっしょにレドモンドのコンピュータ会社MAGIQを経営しているマイク・ジョンソンさんは
ゲーリー・ペイトン基金プレイヤー・パーティ&オークションにてこの金額で競り落とした。ヤキマに住むピーター・ハンコックさんも17,000ドルを提示、
ペイトンとベーカーはディナーを2回行うことにした。しかしハンコックさんが取り消したため、基金は2番目のディナーを売りに出した。
この健康的な気晴らしのために、ベーカーは自分で食料品店に出かけ、材料を買って来た。「けっこう上手なコックなんだぜ」とベーカー。
「他のやつは信じられないよ」
一方のペイトンは経験豊かなサービスを提供。ペイトンはかつて、父親のアルさんがコックをつとめていたベイエリアのレストランで
何回かウェイターをしたことがあったのだ。サラダのドレッシングの汚れがついた? 「何言ってんだ」とペイトン。「ただのサウザンアイランドじゃないか」
昨シーズン、このソニックスの2人のスターは急速に親しくなり、ベーカーはある日ペイトンを家での食事に招待した。
「ほんとに料理ができるんだぜ」とベーカーはペイトンに話した。
ペイトンはベーカーがテークアウトで買って来たものを温めなおすのだろうと思った。
「それから塩こしょうをかけて、自分で味付けしたよ、ってオレに言うだろうと思ったのさ」ペイトンは言う。「そんでもって、オレが『何言ってんだ』みたいにさ。
ところが、あいつ、スーパーの袋をいっぱい出してきて、今、このキッチンでやってるみたいなことを始めたんだ」
2人はシアトルでレストランを開く計画を話し合ったことがある。ペイトンは自分でずっとそういう計画を考えていたが、父親の健康状態が悪くなったため、
計画に待ったをかけていた。ペイトンによると、ベーカーが来シーズンのNBAの契約をすませたら、たぶん来年の夏にでも2人で協力してレストランのようなものを開くつもりだそうだ。
ベーカーの料理の腕は、母親のジーンさんが台所で料理するのを見て覚えた。「ここに来る途中、おふくろに電話したんだ」ベーカーは言う。「ただ、最終確認のためにね」
昨夜はまるでドンちゃん騒ぎだった。
「私だって、けっこうお料理上手なのよ」とニッキー・メイハンさん。彼女とご主人はもう長いあいだずっと、コートサイド・シートのシーズン・チケットを持っている。
「ビンからはちょっとしたトリックを習ったわ」
トリック&トリート。シーズン・オフにも少しはあるだろう。それから再び、コミッショナー、デビッド・スターン氏によれば、ロックアウトが終わればNBAはファンを取り戻すだろうということだ。
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