「僕/part4」



いつの間にか僕はこの世に生まれ
いつの間にか僕は父を知り母を知り
いつの間にか僕は見る事聞く事話す事を覚え
いつの間にか僕は歩く事を覚えた

そのとき僕に感情が生まれた

いつの間にか僕は保育園に通い
いつの間にか僕は小学校に通い
いつの間にか僕は中学校に通い
いつの間にか僕は高校に通う

そのとき僕に憎しみが生まれた

いつの間にか僕は身体が大きくなり
いつの間にか僕は体重も大きくなり
いつの間にか僕は髪の毛も長くなり
いつの間にか僕は鏡を見るようになる

そのとき僕に恋心が生まれた

いつの間にか僕は隣の席の女の子と一緒に話をするようになり
いつの間にか僕は隣の席の女の子と一緒に帰るようになり
いつの間にか僕は隣の席の女の子と一緒に遊ぶようになり
いつの間にか僕は隣の席の女の子と一緒にいる時間が長くなる

そのとき僕に恋愛感情が生まれた

いつの間にか僕は成長して
いつの間にか僕は都会へ旅立ち
いつの間にか僕は彼女と別れ
いつの間にか僕は都会の中に溶け込む

そのとき僕の感情は壊れた

いつの間にか僕は社会に出て
いつの間にか僕は仕事を見つけて
いつの間にか僕はお酒を覚えて
いつの間にか僕はお金を使う事を覚える

そのとき僕の感情は崩れた


全てが思い通りにならない世の中でいかに
僕は生き残らなければならないのだろうか

「会社のために」
「家族のために」
「妻のために」
「子供のために」
「将来のために」

正直そんな言葉には反吐が出る

「明日」なんてものは「今日」が成り立たなければ出来ない現実だ
先を見据える前に「今日」を精一杯生きる事がなぜおかしいのか?

本当は生きる事に余裕なんてこれっぽっちもないはずだ


仲間なんてものはいつかは消えてしまう

どんどんこの大地を発展させる大人たちが
この先に「絶望」しかない事を知ったら
果たして今の自分のしている事をつづけていくのだろうか?



いつの間にか僕は見るものすべてを否定する
いつの間にか僕は見るものすべてを壊し始める
いつの間にか僕は見るものすべてをあざけ笑う
いつの間にか僕は見るものすべてを無くしてあげる


そのとき僕は全てを支配する


・・・たった一人ぼっちで。