「ある物語 2」
.........気づいたとき、俺の右手には血だらけのナイフを握り締めていた。
辺りは夕暮れで赤く染まり、遠くの方で鴉が鳴いているのが聞こえた。
ふと下を何気なく見下ろしたら、見覚えある奴らが死んでいた。
「へ?」俺が殺ったのか?なんで?どうして?
血だらけのナイフを凝視しながら俺は自問自答していた。
「お兄ちゃんどうしたの?」
後ろのほうから聞き覚えのある声がした。
「あ、亜矢ちゃん。」
近所の子供でたまに彼女の親に面倒見て欲しいと頼まれたりして遊んだりもしている。
「お兄ちゃんの右手って何で赤いの?」
「これ?あ、いや、その.......なんでもないよ。」
「ねぇ、亜矢のまま知らない?お家にまだ帰ってこないんだよ。」
「そうなんだ、どうしたんだろうねぇ...。」
さっき俺が見た死体の中に彼女の母親の姿もあった。両目がえぐり取られ、耳の穴から少し
脳みその一部が流れ落ちていた...。全身きり傷だらけで手足の指が何本かなくなっていた。
「お家で待ってたらそのうち帰ってくると思うよ。今日はもうお帰り。」
「うん。」
亜矢ちゃんはそういってスキップしながらうちに帰った。
「なんでこの死体の中に俺がいるんだ?なん.....ロセ......コ......roセ.....ん?何言ってんだ俺。」
気づかぬうちに変な言葉を発している...。
「miンナ.....ロse....ん、何言ってんだ俺....ロセ.....korose.....」
だんだん目の周りが熱くなり、気が遠くなってきた。.....自分の視界がせまくなり、全てが紅く染まった時、
自分の思考が統一した。
「全てを殺せ。全てをを殺せ。親も、兄弟も、友達も、愛する彼女も、みんな殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。....」
心の奥底から駆け上がってくる衝動が自分の理性ではもう止めることはできない...。
「殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。」
....気づいたとき、俺はさっきの彼女を喚起の声を上げながら背中から血だらけのナイフで切り刻んでいた...。
辺りはまだ夕暮れ時だった......。