「無 題」
『いつからだろう?僕の身体に爆弾が仕掛けられたのは。
そして、そのスイッチは自分の意志とは関係ナシに
タイマーが作動している。
もがいても、その爆弾は外せないし、
無理に外しても自爆するだけ・・・・。
唯一救いがあるとすれば、タイマーのカウンター部分が黒く塗りつぶされていて
あと何分あるかはわからない。
それでも、「チッ、チッ、・・・」とカウント音が聞こえる。
死に近づく音は確実に時を刻んでいる・・・・・。
・・・・・・でも、僕だけじゃない。爆弾を持っているのは。
この前も、俺の友人が死んだ。タイマーの時間は人それぞれ違うらしい。
あいつは、夜明けの国道4号線のど真ん中で爆発した。爆弾は首の中にあったらしく
頭から上は粉微塵にふきとんだ。右手には携帯電話が握り締められていた。
薄暗い国道に、死体なんて普通ないから、運送屋のトラックは見向きもせずあいつの上を
横断していった。・・・・気づいたら、そこら辺にケチャップまみれの骨付き肉の塊が
悪臭を漂わせながら転がっていた・・・・・・・。
爆発の規模はそんなに大きくないらしい。自滅する程度らしい。
(・・・・・・でも、死ぬのは嫌だ。)
僕の身体のどこかに仕掛けられた爆弾も恐らくその程度らしい。
(・・・・・・でも、死ぬのは嫌だ。)
ただ、唯一爆弾から開放される条件はなぜか知っている。
―――――同じ爆弾を仕掛けられた人間を全て殺すこと。―――――
でも、その爆弾は自分でさえも持ってるなんてわからない人がほとんどなはずだ。
(でも僕は、死にたくない。)
この殺戮ゲームを造った遊戯支配者<ゲームマスター>よ。どこにいる?他に解除キーはないのか?
僕は人を殺したくない。
(それ以上に、死にたくない。)
なぜ、こんなことをした?
教えてくれ。何が目的なのか?社会への不満か?
誰に?
教員か?ヤブ医者か?腐れ政治家か?ヤクザか?権力者か?
威張り腐っている金の亡者どもか?
そいつらを殺せば、爆弾は外せるのか?
答えてくれ。どうすればいい。
この、一定リズムの金属音を止めてくれ!!!
吐きそうだ。胃から、腸から黄色い液体どもが口の中に押し寄せてきそうだ。
・・・・・・誰だ?誰なんだ?支配者<マスター>よ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」。
言葉にならない、悲しい叫び。・・・・・・・・・ひと時の静寂。そして・・・
地球上で毎日起る爆発の中に紛れて、小さな爆音が一つ。
世界から見れば、なんてことはない平穏な日々。そんな爆音一つで世界の平和は崩れることはない。
誰もそんな端くれには眼もくれず、広い大地だけを見ながら「平和」を確率するのだろう。
―――――それが、「当たり前」の人間なのだから―――――