『その拾』
『松葉杖』
今でも続けているバスケットボール。本格的に始めて約10年になる。
・・・あれは、専門学生の、ある暑い夏の事だった・・・。
放課後、体育館でクラスメート数人とバスケをしていた私。その時、足をくじいてしまった。
翌日になっても腫れがひかず、たまらず病院へ・・・
「こりゃあ靭帯損傷だ!ギプス巻かなきゃダメだな」
「・・・えっ?ギプスですか・・・?」
正直ギプスは初めてで、いささか抵抗があったが、背に腹は変えられない・・・。
「・・・分かりました。」
しばらくして、綺麗な看護士が私の元へ・・・
「あの、松葉杖を準備するのですが、I氏さん身長はおいくつですか?」
私は悩んだ。私の身長は173.7cm。事実を述べるか、少し見栄をはるか・・・。
私は悩んだ・・・悩んだ・・・本当に悩んだ。
しかし、目の前の美しい白衣の看護士に負けてしまった・・・。
「あっ、175cmです!」
少しぐらい上乗せしても、影響ないだろうと思い、背の高い男を演出した。
「分かりました、175cmですね。じゃあ今準備します。」
それから数分後、指示した通りの松葉杖を持ってさっきの綺麗な看護士がやってきた。
「どうぞお使い下さい」
手渡された松葉杖を私は両脇にはさんだ。すると・・・
「ぷっ・・・ぷぷぷ・・・」
私は背伸びをしても足が届くか届かないかの状態になった。囚われた宇宙人というか、
物干し竿に吊らされている洗濯物のような・・・
『デッ・・・でかいじゃないか〜』
その後、笑いを堪えている看護士に寸法を思い切り縮められたのは言うまでもない・・。
教訓:人間、見栄を張っちゃいけません。
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