
ある少年は受験を控えていた。
辺りを見渡すと、そこは時とともに流れる列車の中だった。
彼は、今、試験会場に向かっていた。
彼にとってこの試験は、あまり大切でないように思われた。
なぜなら
たとえ合格したとしても、その先にあるものは、
彼の自尊心をひどく傷つけるものしかなかったからだ。
それでも彼は、列車から降りようともせず、
時の進むがままに身を委ねた。
彼の後方の座席には、彼の父親が座っているのに気付いた。
彼の同伴という様子でもなく、
父親の隣に座っている会社役員らしき人と雑談していた。
現在の就職難についてだった。
今は超氷河期と言われているが、うちの息子なら問題無い……と。
彼は何処の学校を受験するのか、突然わからなくなってしまった。
そういえば今どこに向かっているのかも解らない。
彼は焦った。
それでも、時は流れ、
列車は走り続けた……
彼の隣には女の子が座っていた。
どうやら友達と遊びに行くらしい。
彼はどこの駅で降りるのかを尋ねた。
彼女が答えた駅の名は、
それはとても宗教的で神秘的な感じを受ける、
カタカナ4文字の名だったが、
彼にはその意味を理解する事は出来なかった。
そして、彼女が降りる駅が近づいてきたので、
彼は、
乗車口まで見送る事を申し出たが、
彼女は断った。
彼女の友達は、
彼女に何かを言っているようだったが、
彼女は何も言わず席を立ち、
行ってしまった。
そして、
彼女たちが下車すると、
列車は再び走り始めた……
しばらくすると、いきなり列車は止まった。
どうやら、大切なものを無くしてしまった人がいるらしい。
その為に、列車が止まったようだ。
彼は仕方なく、探し物の手伝いをするために、列車を降りた。
彼は、列車を降りるのは初めてだった。
そしてふと自分の乗っていた列車を振りかえって見た。
彼は驚いた。
その列車はとてつもなく大きく、
もう2度と乗れないのではないかというくらいのところに乗車口が見えた。
彼は焦った。
こんな所に取り残されては、僕はいったいどうなってしまうのだろう。
彼は、必死に乗車口まで登った。
が、なんとその乗車口は閉められてしまった。
彼は、必死に扉を叩き、開けてくれるように叫び続けた……
そして、次第に気が遠くなっていくのがわかった。
気が付くと、彼は、いつの間にか列車の中だった。
どうやら探し物は見つからなかったみたいだ。
列車はすでに動いている。
周りを見渡し、彼はある異変に気付いた。
車内には誰もいない。
確かにさっきまで、人がいたのに。
もちろん彼の父親の姿も無かった。
それでも列車は走り続ける……彼1人の為に……
彼は目的地がわからなくなっていた。
そして目的が何だったのかも忘れてしまった。
彼はじっと窓から見える景色を見続けていた。
いろいろな懐かしい景色が見えたが、疲れた彼は何も感じなかった。
そして列車は
とても暗く、とても長いトンネルへと入っていった。
彼は、ただじっと着くべき所に着くのを待っていた。
次第に彼は、
列車の心地よい揺れと、
目的のわからない旅の疲れから、
眠たくなってきた。
どこかに着いたら起きようか……
そうして彼は静かに目を閉じた。
その列車はひたすら走り続けた。
彼の為に走り続けた。
その列車は、
誰にも気付かれないまま、
ただひたすら走り続け、
誰にもわからないように
その姿を消していった。
彼とともに……
へんしゅーこーき
この夢は随分前に見た夢です。
もとの夢にはオチがなかったので、自分で勝手に作りました(トンネルに入る所から)。
そしたら、ちょっとくら〜いお話になってしまいました。残念です(?)。
やけに鮮明に記憶に残っている夢です。
ちなみに、文章中の彼とは、勿論、夢の中では僕自身のことです。
全然関係ないけど、テレビでパペットTVという非常にくだらないTVがやっている……