しろはた小者列伝
その2 三國志IXレビュー「わが征くは星の大海」(ネタバレあり) Ver.1.00

最近、さっぱり各方面の執筆が滞っていたのですが、コレが原因です。関係者各位、大変申し訳ございませんでした。しかし、もう大丈夫です。さみ〜が愛してやまない天下無双、呂布奉先様はついに信望1000を集めて皇帝陛下とおなりになりました。そして、国号を「成」と改め、烏桓・羌・南蛮・山越・倭という異民族もすべて征伐。そして、北海で最後まで抵抗を続けていた孔融も最後は精も根も尽きて降伏。209年も差し迫った208年の12月中旬、ついに中国を統一されたのであります。というわけで、無事エンディングと思ったのですが、上手くいかないものですね。相国を陳宮(呂布様の軍師といったら彼しかいない!!)、大元帥を高順(地味だけど、序盤では本当に重要な戦力。中盤以降も何かと活躍)、西域都護を曹性(呂布軍の古参武将で夏候惇の左目を射抜いた弓の達人。攻城戦や防衛線で獅子奮迅)、後継者を張遼(パラメータはいいのだが、何故か、いつも相手武将の戦術を喰らうトホホ大将。呂布様にお世継ぎがいればなぁ・・・)にして、大陸制覇を目指したら鮮卑に敢えなく敗退。国が滅亡してしまいました。

人選をやり直したら、大秦国(ローマ帝国)との決戦にまでもつれ込んだのですが・・・。どうしても勝てません。勝てる組み合わせを教えてほしいなぁと思う今日この頃であります。

さて、前置きが長くなりましたが、今回取り上げようと思った人物は大将軍・何進(カシン)です。え、何進を知らない?いけませんね。何進は、本当にスゴイ人物で、三国志・・・、いや中国史上最強の人物の1人と言っても過言ではないでしょう。

という訳で、何進のことを簡単に紹介します。

何進は字を遂高という。南陽宛の人である。生家は平凡な精肉店であったが、何進のは美人の誉れ高く、その評判は後漢第12代皇帝・霊帝にも届くところとなり、後宮に入れられることになった。妹萌えであった何進は激しく怒った。

「何故だ、父さん。どうして妹を後宮なんかに・・・」
何進の怒りは、妹を後宮に入れることを決めた父親に向けられていた。
たかが精肉店の主人が皇帝に逆らうことができないことは、何進にも十分ぐらい過ぎるほど分かっていた。
それでも、やはり、妹を後宮に入れる代償として僅かばかりの銭を受け取り、その銭で買った酒を飲んだくれている無力な父親を、どうしても許すことができなかったのである。
「おにいちゃん。わたしね、皇帝陛下のお嫁さんになるの。だから、悲しまないでね。」
後宮に入るということはどういうことなのか、妹がそれを知らないはずはなかった。
それでも精一杯に強がり、自分が悲しまないようにと最後まで笑顔で別れた妹。
その笑顔が、笑顔だったからこそ、何進の心に激しい怒りの湧き上がったのかもしれない。

「何苗よ。笑いたくば笑え」
「何だ、兄者。いきなり」
何苗は何進の弟である。
何進は唐突に、途方もないことを口にした。
「俺は漢帝国を打倒する」
たかが精肉店の息子が何を言い出すんだ、気でも触れたか?
普通の人間、いわゆる常識を持った人間なら、そういった冷淡な言葉を何進に浴びせたであろう。
しかし、何苗もまた、あの日、何進同様に怒りに震えた漢である。
「兄者、それは俺たち兄弟の、2人だけの秘密、誓いとしよう」
何進の妹、今は何夫人と呼ばれている女性を「姉さん」と慕っていた何苗だからこそ、出た言葉であった。
「そして皇帝から、妹を取り返す」
何進と何苗は生涯違うことのない誓いを立てたのであった。

注釈
:異母妹とされているが、屠殺業ってそんなに羽振りがいいかね?後宮に入るということで、身分をある程度をどうこうする必要があったため、このような設定にされたのだと推測しております。
霊帝:本名は劉宏。156年生まれ。168年に即位し、189年死去。
妹萌え:三国志のエピソード(妹が呼んでるよというので、一人で宮廷に行ったら十常侍に殺されてしまった)などから、何進が妹萌えであったことは間違いなしかと・・・。
年齢設定:何夫人について分かっているのは、180年に皇后となったこと。もちろん、いきなり皇后として迎えられた訳ではありません。さみ〜は、劉宏が19歳のときに、17歳の何進妹を後宮に入れたのではと推測しています。


「節句の宴に剣舞とは・・・。何か臭わないか?」
「あぁ、プンプン匂うぜ。」
宴の警備を担当している・・・はずの若い郎中2人は、持ち場を離れて、キナ臭い会話をしていた。
「臭いの元は十常侍の某、といったところか?孟徳」
名門の血であろうか?
若いながらも気品を感じされる男は、孟徳という同僚の青年に、自分の観察眼を誇るようにしゃべった。
しかし、孟徳と呼ばれた、野心的な目を持つ男は、フッと笑ってみせた。
「誰もいないんだし、蹇碩ってハッキリ言ったらどうかね?本初君」
「おいおい、誰が聞いているか分からんぞ。本当にアブナイ奴だなぁ」
先ほどまでの風格はどこへやら、本初と呼ばれた青年はアタフタとしてみせた。
孟徳と本初。
すなわち、後に天下の覇権を争う曹操と袁紹であるが、このときはまだ、駆け出しの郎中であった。

「だが、蹇碩が臭いとして、狙いは何だ?」
「もちろん皇帝陛下・・・の寵愛麗しい何夫人さ」
「何夫人?」
袁紹が某といってはばかった蹇碩の名を出した曹操であったが、まだ後宮の有力者となりつつあった何夫人のことは知らなかった。
「まぁ、お前は出仕してから間もないから知らなくて当然だが・・・」
袁紹のよると、漢帝国の実質的な支配者である十常侍の筆頭格・蹇碩は、出自の卑しい何夫人のことを毛嫌いしているとのことだった。
「何夫人が皇后になるようなことがあってはなんらん。それこそ漢帝国の終焉じゃ」
これは蹇碩の口癖だが、名門の出である袁紹も、十常侍を嫌いながらもシンパシーを感じていたのだ。
皇帝の劉宏は自らを傀儡と悟り、一切政治的な野心や発言を一切しなかったが、この要求だけは頑として拒んだ。
せめて、後宮でだけは本当の皇帝でありたいとの小さい野心であろうか?
その野心が後宮だけに向けられているうちは安心というのが十常侍の共通認識であった。

「で、もし剣舞が推察通りに刺客だったとしたら、持ち場を離れてる俺たちヤバくないか?」
「うむ。それもそうだな」
「何夫人という女の顔も見たいし、責任を押し付けられるのもシャクだからな」
「それでは、持ち場に戻るとするか」

注釈
時代設定:174年。曹操は175年に20歳で北部尉に就任しているのですが、その前に宮廷で郎中として出仕していたという設定です。


袁紹の予想は当たっていた。
十常侍の筆頭格・蹇碩は、どうしても出自の卑しい何夫人という存在を許すことができなかったのである。
そこで、剣舞の踊り手として刺客を送り込んだのである。
蹇碩は、もちろん自身の能力があったからこそ、十常侍の筆頭格にまで登りつめることができたのである。
しかし、彼がその地位を維持することができたのは、秘密裏に暗殺者集団を囲っていたかあらである。
この裏の軍団の存在こそが、蹇碩の地位を保証していたのである。
その中の1人が剣舞の踊り手として送り込まれたのだ。
節句の宴で暗殺を行なえる精神力。
さらに、皇帝陛下を暗殺するそぶりを見せつつ、隣にいる何夫人を刺殺できるだけの技量。
捕縛されるようなことがあれば、自ら舌を切って死ねる覚悟を持つ忠誠心。
それでいて、どんなに身元を洗っても蹇碩まで辿り着くことはない。
これだけの条件を備えた人物を刺客として使える蹇碩は、まさに宮廷の皇帝であった。

刺客となった男は、物心付いたときには、すでに組織の一員であった。
日々鍛錬を行ない、指令があれば暗殺を行なう。
これが男にとっての全てであった。
組織の上には、いわゆる大物が存在することは知っていたが、それが誰かは知らなかった。
友と呼べるような存在もいたが、多くは任務に行ったまま帰ることはなかった。
任務をこなし、無事帰還することができる人間は、自分を含めて僅か。
それも、技量ではなく、運に救われることが多かった。
だが、この暗殺には自信があった。
指令内容は、皇帝を狙う素振りを見せながら隣にいる女を殺すというもの。
もちろん警備の人間も数多く存在する。
しかし、宮廷という安全な場所にしかいたことがない近衛隊が何の役に立とうか?
俺ならば、確実にこの仕事をこなせる。
そう確信した瞬間、刺客は目にも留まらぬ速さで、標的目掛けて走り出した。

どよめく宦官や大臣たち、あわてて進路を阻もうとする警備の人間たちは、刺客の目から見ればスローモーション
刺客はこの瞬間を支配する王となった。
すでに標的の女は目の前で、後は剣を振り下ろすだけ。
しかし刹那、刺客の視点は標的の女から、だんだん上に上昇していく。
ゆっくり青い空が広がり、次に不思議な感覚で今まで自分が踊っていた舞台が視界に入る。
そうだ、舞台が逆さになっている。
そして次に、自分の目の前に男が立っていたことに気づく。
いつの間に・・・
その瞬間、刺客の首は床に落ちた。

「こういうときには、長剣よりも包丁の方が速いってことさ」
長剣を振り下ろす刹那、刺客の前に潜り込み、短剣で首を切り落とした男は、そうつぶやいた。
「お、お、おぬしは誰じゃ。虎賁中郎将にして使わすぞ・・・」
おびえきった劉宏は、自分を狙った刺客を討ち果たした男に、近衛隊の隊長という役職を約束した。
「は。私は先月より郎中として出仕させていただいております何進、字を遂高というものでございます」
「おお、何夫人の兄であったな。見事じゃ。褒めてつかわすぞ」
「次に飛ぶのはお前の首かもよ」
そう心の中で思いながらも、
「はは。ありがたき幸せにございます」
と丁重に受け答えをした。

何進遂高ここにあり。
のちに十常侍たちが「妹の尻に敷かれた孺子」と呼ぶ男の英雄伝説が幕を開けた。

 

 

というわけで、私さみ〜は何進最強説を唱えるのでありますが、三國志IXに登場する何進はといいますと、

ゴミです。しかも年齢50歳。トホホ・・・。


<履歴>
1.00 何進というよりは過信か?