「どうか面会に来てくださいませんか?」
と心から訴えたくなることが1年のうちに何度かある。
入所者のお年寄りが家族や身内の方の名前をしきりに呼ばれる時。
そして年に2回の家族交流会、そして敬老の日やお盆,お正月。
Mさんの叫び声がいつもよりも大きく聞こえて、私は寮母室から廊下に出ると「はっ」とした。
ベッドで寝ていたはずのMさん(80代、女性、少々痴呆あり)が廊下に這っておられるのだ。
「Mさん、どうしたの?」
と駆け寄り話を聞くと
「娘に電話して・・どうしても会いたい。電話だけでもいいからかけてちょうだい!」
「どうしたの?」
と聞くと
「家に帰りたい・・家」
その訴えは切なく悲しく響いた。
「じゃ、Mさん,今日はもう夜だから,明日電話しましょう。今電話したらね、娘さん驚かれるといけないから。朝1番に電話するからね。」
寮母室で話を聞き、お茶とお菓子を勧めると少し落ち着かれた感じで、訴えは聞かれなくなった。
そしてそれからしばらくして、Mさんのところに娘さんの面会があって、
「私の娘、私に似てるでしょ?」
とうれしそうなMさん。
そして娘さんに、私のことを
「○○さん、いつもよくしてもらってる。お礼言って!」
と・・。
面会者と向かい合っている時のお年寄りの表情と言ったら、何にも例えようがない。
うれしそうで、見ているこちらまで顔がほころんでくるほど。
普段あまり表情のない人でも、笑顔が見られることもあって「面会があること」って大切なことだなァとしみじみと感じさせられる。
今まで色々な面会の方に出会った。
おばあちゃんにバイオリンを聞かせたいと、発表会の帰りに可愛いドレスで来てくれたYさんのお孫さん。
小さいのに、 「いつもお世話になっています。ありがとうございます」
ときちんと挨拶してくれるAさんのお孫さん(男の子)。
仕事帰りにほぼ毎日のように立ち寄られるMさんの娘さん。
週に2回。決まった曜日の決まった時間に必ず来てくださるNさんの息子さん。
面会のあった日は、しばらくお年寄りの様子がいつもとは違うことに気がつくことがたびたびあります。
そんな様子を見ていると
「できるだけ、たくさんの面会の方が来てくださるといいのに」
と思います。
どうか顔を見せるだけでも来てくださいませんか? 5分でも10分でもいいから、会いに来てくださいませんか?
スタッフはいつでも、大歓迎です。

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