「おりちゃ〜ん、大変なことになってるよ」
同僚の大きな声が、夕食の介助で忙しい私の耳に飛び込んできます。
「なに?なにが??」
走って向かったその先では、Mさんが入れ歯まで一緒に嘔吐。
量から見ても今食べたものをそのまま吐き出した感じです。
「ナース呼んで!!」
即座に同僚にお願いして、Mさんの様子観察と応急処置をとると、Mさんは苦しげにも私に向かってこう言われたのです。
「○○さん(私の名前)ごめんね、迷惑かけてごめん。今度必ずお礼するから・・」
忙しい夕食中だったのと、目の前で起きているMさんの一大事に驚いたのと色々重なって、私は自分でもわかるくらいに険しい顔をしていました。
そんな中にこの一言。 はっとしました。
Mさんとは日頃からかなり仲良くしていただいていて、私の顔を見ると
「○○さん、今日キレイ」
とお世辞を言ってくださったり、ベッドの近くを通りかかると
「○○さん、こっちこっち」
と用がなくても呼びとめられたりするほどでした。
そんなMさんは、痴呆もかなり進んでいて、驚くほど耳も遠いのです。
こんなに体調不良の時だというのに、私に「申し訳ない」と思われていたのでした。
「いいよ、気にしないで・・。頭はまだ痛い??」
全部嘔吐されたのがよかったのか、その後Mさんはけろりとされたお顔でした。
ほっとすると同時に、職員は結構顔色や態度、その日の様子を見られているものなんだなぁと今更ながらに思いました。
そしてどんなに介助を必要とされている方でも、職員に対し「申し訳ない」という思いがあるということにはっとしました。
Mさん、あの時怖い顔しててごめんね。
余裕のないときでも、もう少しおだやかな顔で仕事に臨まないとね。
心から反省したのでした。

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