夜の「呼び声」




「お〜い。お〜い」今夜も人を呼ぶような、なにかを求めるようなお年寄りの声が、フロア−に響き渡る。
その合間に「あ〜い、あ〜い」と言う、女性の声。
呼び声は、夜中の闇の中で、遠くになり近くになりながら響いてくる。
私達は、呼び声が始まると。ベッドサイドに飛んで行く。
「今ね、まだ真夜中だよ。朝までまだ時間があるからもう少し寝ようっか」
そう声をかけてみる。
もちろんいくら言っても理解できない方もいて、そういう時はちょっと困るのだけど、たいていベッドサイドで声をかけてみると発声がやんだりする。
たまには少し話術でだましたりもする。(ゴメンナサイ。悪気はありません)
例えば「○○さん、今ね隣の部屋で赤ちゃん寝てるから、○○さんの声が大きいと目を覚ましちゃうよ」とか、「△△さん、今は静かに寝よう。明日の朝娘さんのところに行こうっか。娘さんに会いに行こう」



うそはいけない。そう思いながらも、お年寄りの呼び声の奥に寂しさいや心細さがあるということが感じ取れて、ついついやさしいうそをつく。
人は皆、寂しいのだ。
それが夜中、ふと目がさめたりすると、いっそう身にしみて感じられるのだと思う。
私も夜は寂しい。 だから夜中の呼び声は、とても切なく感じられる。
ベッドサイドでお年寄りの手をぎゅっと握ってみたりする。
「大丈夫、ここにちゃんと私達がいるからね」という気持ちをこめて・・・



今日も、夜が終わりを迎えようとしている。
又、新しい朝を迎えるだろう・・。

〜夜勤の合間に〜走り書き(乱文、お許しを・・・)