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第9話 死へのダイビング(PART-1) ●
ラザルスを倒した後、それまで表示されなかったメッセージが出た。
【DOWN TO DIABLO】
これくらいはさすがに理解できる。
それに、雑誌の付録でそのへんの情報は得ていた。
DIABLOは、いったいどれくらい強いのだろう。
そして、いったいどんな外見をしていて、どんな戦い方をするのだろうか。
あれこれ考えながら、そのまだ不明確な影を求めて円陣に吸い込まれていった。
先日夫が、苦労に苦労を重ねLANというモノを設定した。
アイテムも一人で持ちきれなくなったからといって、あきらめる必要もなくなった。
そして何よりも、家に居ながらにしてマルチプレーができることが素晴らしい!
いわゆる、協力プレーだ。
今までずっと一人で苦労して、戦い抜いてきた。
しかし今度は一人ではない。
もうレベルは36にまでなっていた。
一般的にはもう十分なレベルになっているのだろう。
そして、自分自身でも、(もういけるかもしれない。)
そんな気持ちになり、夫の
「一緒にDIABLOを倒しに行こう!2人ならきっとできるって」
という言葉にすっかりその気にさせられていた。
夫のキャラクターは戦士。レベルは私より低く28だ。
やはり私がリードして行くべきなのだろうか。
いつものように私はCLをぶっ放す。
「あっぶねえぇぇぇよ〜死ぬよ。#」
「あ、ごめんごめん。当たったぁ?」
「だいたい、敵に効いてないだろーが」
「................」
情報によると、最終階16階は、大きく4つの部屋に分かれていて
それぞれの部屋にレバーがあり、それを引くと次の部屋が開かれる。とある。
一つ目のレバーを見つけた。レバーの形も異様だ。
「引くよ?」 「ウン...」
やはり未知の世界というモノは少し不安だ。
ゴゴゴゴッ
「おお〜!」
芸の細かさに改めて夫と感心する。
2つ目はグルグル回り込んで行かないといけなかった。
狭い通路に、敵と私達がひしめき合い自分がどこにいるか時々わからなくなってしまう。
乱戦の中弓を連射するが、夫を射抜いている可能性あり。
家庭内PKにならないように、注意しながら進む。
うずの中央らしい地点には、敵もたくさんいた。
まさにチャンス!もとい、まさに危険地帯だ。
2人でプレーしていると、色々といいことがある。
協力プレーは言うまでもないが、もし生命のピンチを感じた時に
あわて【NEW GAME】を選択してもゲームが残っている。というところだ。
今まで幾度となくそれでアイテムを無くしたことか。
2つ目の部屋もなんとか終わった。
2人とも、もう何度も危ない目に遭いながらもピンチをきり抜けてきた。
しかし、油断はできないのだ。
おそらく一瞬の気のゆるみが死を意味することになるだろう。
「もう少しだから、頑張ろう」「うん」
今までこの夫婦がこんなに協力的だったことがあっただろうか....
慎重に、かつ2人ということもあり、薬はかなりの量を消費するものの
お互い一度も死なずにいた。
3つ目の部屋もかなり苦しい思いはしたものの全部終わる。
「いよいよだね」 「うん」
3番目の部屋のレバーを引き、DIABLOのいる部屋へと向かう。
が、部屋の扉が開いてないのだ。
「へんだね。レバーは確かに引いたのに。」
もう一度雑誌を確認してみる。
『3つの部屋のそれぞれのレバーを引くと、DIABLOのいる部屋の扉が開く』ってあるよ。
「だよねぇ。」 間違いなく3つレバーは引いたはずなのだ。
それでも、2人の記憶違いかもしれない。
そう思って戻って確認した。が、無駄だった。
DAIBLOはすぐ目の前にいるのだ。
「ここまでやったのに、どうすればいいんだ。」
2人で必死に部屋に進入する方法を考えた。
雑誌によると、レバーを引かなくても【TELEPORT】という魔法を使って、飛び込む方法もあるらしい。
しかし、2人ともその魔法はまだ取得してなかった。
「マジ、困ったね。」「うーん...」
ずっと本を見ていたら【PHASING】という魔法が目に留まった。
『瞬間的に近い場所に移動する魔法。移動先の指定はできない。』とある。
「移動先の指定ができない。だってさ」
でも今の2人にはこれしかない気がする。
「じゃあ、この魔法でやってみようか」 「OK」 「せぇーの!」
ぴゅんっ ぴゅんっ ぴゅんっ
この緊迫した状況に、何てコミカルな効果音....。
5.6回やってもうまく部屋の中に移動できない。
が、夫の方が成功したらしい。
「なんだあー!!この数は」
隣のパソコンを見るとものすごい数の敵だ。
画面全体に敵の姿が見える。とにかくすごい数だ。
「おおっ!?」
そう、間違いなく最終ボス DIABLOだろう。一際大きいその体が目に入った。
「げえ〜。強そう〜だなぁ。ひとまず退散するかな。」
第9話 終
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