世輪
号外
RedBull Boston Bike Battle 2003
昨年制作したモノを多少修正しております。
Boston Bike Battleとは?
一言で言うと、「この星の一等賞になりたいのストリートライディングで、俺は!そんだけ!」と考えている、
腕に覚えのある兵どもの夢の祭典スペシャル。今年で2年目となるこのイベント。
こちらで言うところの、エナジードリンクメーカー”RedBull”が主催する、バイクイベントの一つである。
会場はBostonのダウンタウンの中心部にあるGovermentCentarのまん前のレンガ敷きの広場。土を盛り、
廃車を停めて、ランプを設置し、ラダーを組んで、はい、出来上がり。
今年の目玉は、ノースショア風味のラダーと、無理やり階段に作った発射台である。
Bostonに集まったライダーは、レース系、フリーライド系、トライアル系、BMX系と様々。
会場の性格を考えると、地味に凄いトライアル系ライダーには、チト不利か。
競技は、二人一組で同時にスタートし、5人のジャッジによる採点方式で、一人が勝ち抜くトーナメント方式が取られた。
制限時間内にいかに会場をうまく使い、いかに観客を沸かせ、いかにルーティーンをこなすかが、勝負の分かれ目であったようだ。
オフィス街のど真ん中で、バイクが重力に逆らい、飛んで回るスペクタクル。これぞストリートライディングの真髄である。
世輪 in the BBB
「今年のBBBは、生で見ることが出来るかも知れない。」そう考えたのは、渡米前であった。
9月27日は語学留学して一ヶ月になるし、多少はあちらの生活にも慣れているだろうから、
一人でも楽しめるだろうなどと、とらぬ狸の皮算用をしていた。
幸運は突然訪れた。
Cave家の皆さんにこのイベントのことを話すと、なんとCave家の娘、Sarahの友達がRedBullで働いており、
このイベントにも関わっているというではないか!
なんと言う偶然。話はトントン拍子で決まり、皆で観戦しに行くはこびとなった。
当日、空は今にも泣き出しそうな様子で凹む。
何とか希望をつなぎ、車で一路Bostonへ。会場に着くと、既にライダーがインスペクションをしており、
それまでの鬱積した気分が嘘のように晴れる。Sarahの友達に挨拶し、観戦スポットを教えてもらう。
無事、最前列を確保。にわかに見物客も集まり始め、会場の雰囲気も一気に高揚し始める。
しかし、相変わらず濃いガスが立ちこめる会場と、スパインでスリップダウンしたライダーを見て、
イベントの続行について、不安を感じていた。
指令:BBBの一部始終を見よ。
そんな心配をよそに、インスペクションの残り時間も5分となり、各ライダー達は調整に余念がない。
イベントの続行を信じ、私もイベント終了まで、この場を離れない覚悟を決めた。
DJのアナウンスがかかり、いよいよ2003RedBull Boston Bike Battleの始まりである。
未だ薄暗い空の下、二人一組の予選が開始された。
が、朝一番と言う事もあってか、どのライダーも体とトリックのキレがイマイチな感じ。
ビッグネームとローカルライダーの組み合わせもあり、なかなか面白かったのだが、
天気と相まって、異様に静かな幕開けとなった。
一次予選も終盤に差し掛かった頃、奇跡的に晴れ間がのぞいて来た。
それまで着ていたフリースを脱ぎ、Tシャツ一枚になる。それに伴い、会場の雰囲気も明るくなり、
自然と何処からともなく、掛け声が聞かれる様になっていった。
二次予選も引き続き行われ、順当に有名どころが勝ち進んだ。
同様に、準決勝、決勝と滞りなく行われ、結局、贔屓のアーロン・チェイスが優勝し、
2003年のBBBは幕を閉じた。イベントもさることながら、予選から表彰式までの約5時間、
同じ場所で立ち続け、何も食べず、DVカメラとデジカメを回し続けた自分を褒めてやりたい心境であった。
女性ライダー自身in the BBB
人間、実際に憧れの人を前にすると、あまりのことに実感が湧かず、意外と落ち着いているものらしい。
そのおかげで、普段ビデオの中でしか見られないライダーの素顔と素行をシゲシゲと観察する事が出来た。
一番最初に目撃したライダーはショームス・マーチであった。
会場に向け歩いていた私の横をかすめて、6段くらいのステアをひとっ飛びしていったのですぐに分かった。
例の如く、チャンバのZuluDSSにまたがり、RedBullカラーのメットを被り、
胸元でサムアップするチャンバくん(勝手に命名)が頼もしい。
もちろんフルサス遣いは彼一人であり、ギュインギュインという形容し難い音を立てつつ、
重量感あふれるライディングを見せ付けていた。
カイル・ストレートもRedBullメットを被り登場。この間まで24Bicyclesに乗っていた彼だが、
今日はHaroであった。Intense繋がりであろうか。バイクを変えたことが影響しているとは思えないが、
今日のイベントに限って言えば、終始冴えない雰囲気を払拭する事が出来なかった。
どっかで見た顔だなと思ったら、V-dubの兄貴、その人であった。
ワインレッドのエルスでバックサイドに合わせる姿は、正に漢。そんな性格が災いしてか、
他のライダーと談笑すると言う姿を見ることが出来なかった。イベント終了後も、一人で佇んでおり、
どこか寂しげ。密かにバックに忍ばせたメットにサインしてもらうべく、
様子を伺っていた私であったが、兄貴と目が合ってしまい、空白の数秒間の後、
気まずさのあまり握り締めた油性ペンをポケットにねじ込んだ程だ(激しく主観が含まれております)。
誰かV-dub兄貴と仲良くしてあげてください。舎弟からのお願いです。
DHライダーでもあるカート・ヴォレイスは、黒いテーザーでビデオ通りのハンドル、グルグル。
エアはタイミングがギリギリで、見ているこっちがヒヤヒヤ。
それでもきっちり決めるあたりはやはりワールドカッパー。
実は、ビデオの印象とのギャップが一番大きかったのが彼。
勝手にrudeな兄ちゃんなんだろうなと思っていたのだが、
インスペクション中に(彼の知り合いと思しき)中年の女性に話しかけられた時の、
彼の爽やかな笑顔と丁寧な対応を見て、近所のやさしい兄ちゃん的キャラであることが判明。
今のところ、私的高感度一位です。
史上最笑のバイクビデオ"Tricks and Stunts"の登場ライダーの一人であるマーチン・ホースは、
手の届く距離にアチラから何度も接近してきてくれたので、
思い出し笑いを堪えつつ、その妙技を味わう事が出来た。
誰かに似ているなと思い、改めてRedbullの公式イベントサイトを覗いたら、
誰か分かった。香取慎吾だ。(馬かナ)
で、肝心のアーロン・チェイス。朝のインスペクションに遅れて登場し、
貫禄を見せる(ただlazyなだけだと思う)。ダルそうにアップを始める。
他のライダーと比べ、取り立てて目立つライディングとはいえない感じだ。
トレードマークのバイクも、Leftyに見切りをつけたのか、フツーな感じ。フレームのカラーと相まって、
Cannondaleだと気づいた観客は何人いたのだろう。これって、マーケティング的にどうなのだろうか。
もしかすると、Cannondaleは、彼のようなライダーの全面的なバックアップに二の足を踏んでいるのかもしれない。
ストリートライディング自体、会社を上げて押していけるような健全なスポーツとしてのbikingではない。
「Cannondaleの看板をぶら下げて、あまり馬鹿やってもらっちゃ困るよ」って感じなのだろうか。
また、こうした特殊な用途のbike市場は、既に数多くのメーカーがしのぎを削っており、
この期に及んで参入するには、それなりの秘策があって然るべきだ。
が、その点、軽量アルミフレームを売りとするCannondaleにどういったビジョンがあるのかイマイチ不明瞭でもある。
そもそも、アングラな雰囲気が独創ハイテク企業Cannondaleの社風に合っていない(この頃悪ぶってますが)。
が、そんな”お上品bike”で過激なライディングをしてしまうのが彼の魅力の一部であるわけで、
確実に新しいCannondale fanを作っていたと考える。Leftyをしならせつつストリートライディングする彼を見て、
Lefty付きbikeが欲しくなってしまった人も多いと思う(私です)。
そういった意味でも、ごくごくフツーになってしまった彼のbikeに一抹の寂しさを感じたわけである。
そんな感傷をよそに、得意のHand Plantを繰り出す裏番長、チェイス。
嗚呼、この先彼はどうなっていくのか。引き続き観察していく所存です。
この日の男前No.1はこの人、ペトロ・クラウス。もちろん、ルックスだけではない。
せせこましい割りに面白いストラクチャーのないこの会場で、
トライアル系ライダーとしては群を抜いたパフォーマンスを発揮していた。
魅せるライディングが出来るライダーのようだ。
トライアル系ライダーを語るときに忘れちゃいけない、ジェフ・レノスキー。
この日は、あの独特なマニュアルを拝むチャンスはなかったが、
ベテランらしい落ち着きのあるライディングを見せていた。
スペースマンことヤロミール・スペシュニー。
なんと、彼はこの日の朝にBoston入りしたと言う。かなりの疲労困憊状態であろうことは容易に想像できた。
が、そんな様子を微塵も覗えなかった。
Pivot360→ダニエル→アブバカ→X-upと超絶技巧を軽々と繰り出すも、観客ポカーン。
彼もおかしいと思ったのか、同じルーティンを同じ場所で繰り返す。
今度は観客のリアクションもあり、彼も満足げ。きっと良い人です、この人。
某誌でも日本での露出度No.1と囁かれていたクリス・ドナヒュー。DJセクションを集中的に攻めておりました。
最後は、Mr. NO FEARことティモ・プリッツェル。
レンガ敷きの会場で、何度もバックフリップをお見舞いしてくれました。
その代償は二度のパンクとRホイールお釈迦。個人的には、
今イベントで一番のキレっぷりを見せて会場を何度も沸かせていたので、
彼が一位に相応しいと思う。
(2004年9月26日 改訂)