ここは私が最初に留学した、小さなコミュニティー・カレッジ(Eastern Arizona College)が一つある街です。小さな街で、大学があるのはThatcherという市の方です。Saffordの方が街としては大きいのですが、この2つの市は隣同士で住民は市の境をあまり気にすることはありませんでした。学校がユタ州にあるモルモン教の4年制大学と提携しているせいか、大学の生徒の多くはモルモン教徒でした。日本でのモルモン教のイメージとは違い、敬けんなモルモン教徒という人ばかりではありません。タバコを吸ったり、ビールを飲むのは珍しくなく、私のルームメイトなどは郵便でマリファナを誰かから送ってもらい寮の中で吸っていました(もっとも、モルモン教の教えとして、酒・タバコ・カフェインなどが悪いとされているようですが、ペプシコーラはよいそうです。ちなみなコカコーラはダメだそうです)。日本人学生は今でも毎年数人いるようですが、私の入学した年(10年以上前です)からESLはなくなりました。人数不足の為だそうです。ですから、ここに入学するにはESLのレベルでは入れません。授業も英語を母国語としない生徒に合わせてはくれないので、初めのうちは結構大変です。しかし学生数が少ない分、先生と直接話をする時間がいくらでも持てるので(ユニバーシティーでは考えられません!)、そこがコミュニティー・カレッジの長所です。
アリゾナの中でもここはかなり東側にあり、ニューメキシコへも車で2時間もかかりません(行ったことはないですが)。周りは山に囲まれていて、春になると雪解けの水が流れてきます。ただ、街から山までの間はサボテンや綿畑の広がる砂地で、夏になると小さな竜巻きがあちこちで見られます。よくニュースで聞くような大きなものではないので、家が吹き飛ばされるようなことはないのですが、交差点に止まっていたとき車ごと竜巻きの中に巻き込まれた時だけは、さすがに生きた心地はしませんでした(直径2メートル程の小さなものだったので、何も被害はありませんでしたが)。
夏は気温が40度を超えるので、みんな陽に焼けて真っ黒になります(ちなみにここの住人の多くは皮膚癌にかかっています)。日本食の店は当時はなかったので、休みの日に片道2〜3時間かけて大きな街(ツーソンやフェニックス)まで食料を買い出しに行く必要がありました。車は必需品です。私はある時期自転車で買い物に行っていました(片約30分)が、冷凍ものはもちろんダメになるし、第一日射病と熱射病にかかることは100%間違いありません。ここに住むには、何はなくとも車を買うことが先決です。ただしここでの車には冷房は効きません。熱すぎて冷房を入れると、すぐオーバーヒートしてしまうからです。
そんな凄まじい所ですが、住人はみないい人ばかりです。ここにはまだ古き良きアメリカが残っていて、メキシコ系やネイティブ・インディアンの住人と皆仲良く暮らしています。実は、アメリカで最も気に入っているのがこの街です。ここに住むと、広大な大地の中で埋もれてしまいそうな程ちっぽけな自分に、正面から取り組むことが出来ます。2年もここで学生をしていると、日本に帰った時はまさに浦島太郎の気分でした。