タイトル:すばらしき宇宙
第一回目のこの講座は、まず宇宙についての概要をお話します。今後この『まめ知識講座』で取り上げるつもりの、ほんのさわりをいくつか書いてみました。
太古の昔、人類がまだ直立歩行を初めてそう時間が経っていない頃、彼等は夜の暗さをとても恐怖に思っていたはずです。そこには数知れぬ星々がゆらめき、巨大な月も見えていたはずです(最近の発見によると、月は今よりも昔のほうがずっと地球の近くにあったそうです)。いつの頃からか、彼等の中に星々の動きに規則があることに気付いた者達がいました。四季の星座です。また、日中における太陽の位置の変化や日食などの現象にももちろん気付いていた筈です。彼等は何千年という時間を使って何世代にも渡るデータを積み重ねて、占星術やカレンダーをつくり出していきました。これが学問として人類が初めて手にした文化でしょう。
私のあるリサーチによると、人類は大きくわけて2種類のカレンダーを使っていたようです。太陽暦と太陰暦です。興味深いのは、海の近くにすむ民俗は太陽暦を、内陸部に住む民俗は太陰暦を比較的多く使用していたことです。太陽暦はその字のごとく、太陽の動きをもとに作られた暦です。太陰暦は月の動きや潮の満ち引きを基準に考え出されたものです。そこでどうして、海に近い民俗が太陰暦ではなく太陽暦を、そして海から遠く離れた内陸の民が太陰暦を採用していたのかは、私には分かりません。これは考古学の分野でもあるし、膨大な量のリサーチをする必要があるはずです。ですからこの話は、古代のミステリーとでもしておいて下さい。
さて、人類は宇宙の姿をどうとらえて来たのでしょうか?有名な古代の宇宙像としては、巨大なカメがゾウを背中に乗せて、(その上にもまだ何かいたような気がしましたが、)さらにその上に地球が乗っていたというような話をよく聞きます。また、地球は平坦で、海の端には大きな滝があり、そこが地の果てだということもそんなに遠くない昔の話です。宇宙について、地球についての姿が科学的に究明され始めたのは、つい最近のことです。
地球は丸く、そして宇宙の中心ではないということが分った(証明できた)のは、今世紀に入ってからのことでした。宇宙船が地球を外から観測し、地球は丸く、カメやゾウが地球を支えているわけではないことが証明できたのです。地球は太陽の周りを回り、太陽は銀河系の末端に位置するありふれた恒星のひとつで、銀河系さえも決してじっとしている訳ではありません。人類が何万年も信じてきた宇宙の姿は、ここ数十年のうちに大きく変わってきたのです。
宇宙に点在する星々は、その多くが銀河という星のあつまりの中に位置しています。銀河の大きさに対する、銀河と銀河の距離(銀河の分布密度)は、銀河の中の恒星同士の分布密度より大きく、あちこちで銀河同士の衝突も起こっています。これは想像を絶する壮大なスケールの出来事です。また銀河自体には強力な重力があり、その中心部には巨大ブラックホールの存在も考えられています。遠くに見える銀河は時間的にも遠い昔の姿をしていて、宇宙の始まりのころの姿をみせてくれるものもあります(クゥエーサーと呼ばれる天体です)。そして全銀河の分布は、あわが重なり合ってできた空間のようで、銀河などの天体はその泡の縁に集まり、中心部には何もない巨大な空間が広がっていることも分ってきました。
宇宙自体は現在膨張を続けています。この先この膨張が永遠に続くのか、やがて縮小に向かうのか、最先端の科学が解きあかそうと懸命です。さらに宇宙の始まり(ビックバン)や、宇宙の端(外側)といったものがあるのか、あるならどのようなものなのかも、まだまだ解明出来ない疑問です。いくつかの有力な理論が出て来てはいますが、どれもまだ決定的なものではありません。また、それが正しいかどうかを証明する方法が人類には見つけられるのかどうかも疑問です。
よく宇宙人についての話題やドラマ、映画が目につきますが、科学の立場(SFでなく)ではどのように解釈されているのでしょう?みなさんはドレイク方程式というのを聞いたことがありますか?これは宇宙にどのくらいの確立で生命体が存在するのかを表した、科学的な方程式です。それによると(細かい内容は別の機会にお話します)この銀河においてだけでも、我々以外に少なくとも一桁の数の文明をもった生命体が存在することになります。ただ、実際にいるかどうかは別の話です。確立として、それだけの数の生命体が存在するのだろうというのが、科学者の見識なのです。
科学者は冷静に物事を見極める必要があります。信じていることと、事実が異なるのは科学の世界では日常茶飯事です。宇宙人がいるかどうかにしても、科学者は「否定は出来ない」としか今は言えないのです。私も、いるとは思いますが、よく耳にするような宇宙人との遭遇等の話しは半信半疑です。
宇宙にはまだまだ分からないことや信じられないことが沢山存在します。そうしたことを考えるだけでも楽しいと思いませんか?もしそうなら、これから私といっしょに宇宙についての考えてみませんか。
(終)