第七回まめ知識講座

メテオ

1999年9月下旬、日本の民家に隕石とみられる落下物が直撃しました。民家への隕石の落下は世界的にもあまり例がなく、貴重なものと言えます。少し前に話題になった映画「ディープ・インパクト」や「アルマゲドン」は、巨大な彗星が地球を直撃して大惨事を招くというものですが、果たしてこうしたことは実際に起こるのでしょうか。答えは「イエス」です。

しかし、これにはただし書きがつきます。この100年程の間には、そうした可能性はありません。NASAでは太陽系にある、ある程度以上の大きさの彗星と小惑星の軌道をすべて計算し、それが地球に衝突することはないという結論を出しているのです。惑星や彗星の軌道計算というのは非常に難しいもので、その精度は100年も先のものになるとさほど高くはありません。その誤差を入れても、21世紀中に「ディープ・インパクト」は起こらないというのです。22世紀にもなれば、人類は宇宙に住居を広げており、科学技術も想像できない程進んでいるでしょうから、その頃には大した問題ではなくなっているかもしれませんね。

さて、軌道計算が難しいというのは何故でしょうか?これは英語で「Many-Body Problem」と言って、物理学や天文学における最も基本的な問題に起因します。つまり、たくさんの物体が相互に重力を及ぼす空間において、それぞれの軌道を正確に計算することはとても難しいということです。太陽系には、太陽の他に木星や土星といった巨大惑星があり、その近くを通過する彗星は軌道の変化を余儀無くされるのです。ほとんどの惑星はほぼ同一面上に軌道がありますが、彗星の軌道は惑星の軌道面から大きくずれていることが多く、そのため3次元的な軌道計算を行うのが難しくなるのです。

軌道計算を難しくしている木星や土星ですが、実はこの2つの巨大惑星にはもうひとつ彗星の軌道に関しての大きな役割があります。それは、巨大な重力ゆえに、小さな彗星の軌道を大きく変え、時には彗星を自らの重力で自身に衝突させるというものです。これは何を意味するのでしょうか?

惑星や衛星にとって、隕石が衝突したときの衝撃は大変なものです。1つの天体が他の物体と衝突したとき、天体自体が破壊されない限界というのは、その天体に対して衝突する物体の大きさが3分の1までの場合です。それ以上の物体が衝突したとき、衝突された天体は粉々に壊れてしまいます。最新の理論では、地球にかなりの大きさの天体が衝突して破壊され、その破片によって月が形成されたことになっています。また、太陽系にある天体のクレーターは、大きくてもその天体の3分の1以下のものしか見つかっていません。ですから、巨大な隕石や彗星が地球や火星、金星に衝突した場合には、まず壊滅的な結果に終わるのです。木星や土星は、その巨大な引力で彗星を引き付け、地球を彗星との衝突から守ってくれているわけです。

ところで、太陽系にある彗星や小惑星はどこからやってくるのでしょうか?これはオールトの雲と呼ばれる、海王星や冥王星のずっと外側にある小さな天体の集まりで出来た球場の場所があり、そこにある天体が何かのはずみで軌道をはずれ、太陽の重力によって太陽系の中心部へと進路を変えることによります。これがうまくだ円軌道になれば、回帰彗星となります。多くの場合は一回限りの接近で終わってしまい、中には惑星に衝突するものもあるわけです。もちろん、回帰彗星であっても、先年の百竹彗星のように惑星(木星)に衝突するものもあります。

流れ星を見たとき、そうした太陽系の果てから旅をしてきた天体の最後のきらめきかも知れないと思うと、ロマンチック以上の何かを感じませんか?

(終)


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