ロング・グッドバイ(2004.12.5)
矢作俊彦   角川書店


 レイモンド・チャンドラーの超有名作、『長いお別れ(THE LONG GOODBYE)』に
対するパスティーシュと言われる本作。実はわたしは『長いお別れ』は未読(T_T)。
以前一度挑戦したことがあったのだけれど、ナゼか序盤で挫折してしまったのよ
ね…。今回もかなり苦戦。なんと読了までに5日もかかってしまった…!!

 自分の信条のために頑なに昇進試験を拒む刑事・二村。彼は張り込み終了後
の明け方に偶然ビリー・ルウと名乗る酔っぱらいと知り合う。意気投合する二人
だが、ある日ビリーは突然二村に車を出させ、大きな荷物と共に米軍基地から
飛び立っていく。「99時間後に戻ってくる」と言い残して…。
 しかしビリーは約束の時間が過ぎても戻ることはなく、二村は大きな事件に巻
き込まれていく。果たしてビリーは生きているのか。彼は戻ってくるのか…。

 静的で抑えの効いた、センチメンタルな文章。気の利いた会話。酒、そして女。
これがハードボイルドだ、と言わんばかりの内容に、なかなか入り込めなかった
序盤が過ぎると物語は一気に読みやすくなった。
 しかし登場人物やエピソードが多すぎて、頭が混乱することもしばしば。それな
りに美しい世界が築き上げられているのに、だんだん事件がデカくなりすぎじゃ…
という感もなきにしもあらず。

 思うにこれは、やっぱり本家を読んでいないと本当には楽しめないんじゃないか
しらん。これはこれで悪くないけれど、どうやら著者は強烈に『長いお別れ』を意
識しているようだから。

 男の美学、を目指している殿方は、ぜひ本作を参考に…ならないか…(笑)。